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第5回 マニュアルフォーカス

第5回 マニュアルフォーカス

おはようございます。
 朝は会社で事務的作業。午後はプレゼン準備等。編集者の求めに応じて、重たい写真データを自宅から送る。全体的には穏やかな一日だった。筋肉痛が残っているため、動きはちょっと鈍い。

「シャッターが押ささらない」問題

僕はオートフォーカス(AF)がどうも苦手。みんなよく不便に感じずに使っているなぁ……。本当に不思議です。ただ、18年前からデジカメを使うようになると、AFを使わないわけにはいかない。そもそも、最近のカメラでは、マニュアルフォーカス(MF)で使うことがあまり考慮されていないのです。
 最近のレンズ(いつ頃からなのだろう?)は、フォーカスリングが申し訳程度にしか付いていない。ズームリングが幅をきかせていて、フォーカスリングのほうは幅1センチ程度……。そんなレンズが多いのではないかと思います。さすがに単焦点レンズはズームリングがない分、ズームレンズよりはフォーカスリングの存在感はある。けれども、中にはフォーカスリングがほとんどなく、テレコンバーターのような外観をしている単焦点レンズもありますね。さびしい限りです。
 もしかしたら、僕がかつて使っていたレンズも「オールドレンズ」に分類されているのでしょうか? よくわかりませんが、MFのレンズには「被写界深度目盛」が付いています。今もレンズにも付いているものはある。ただ、活用されることを前提としていない。ものすごく見づらいのです。
 被写界深度目盛は距離目盛とセットで使用するものです。そして、距離目盛はMF撮影に必要なもので、AFではたぶん使わないでしょう。強いて使う場面があるとすれば、被写体までの距離を知りたいときくらいでしょうか。
 撮影では「タイミングを逃さない」ことが非常に重要。ですが、AFだと僕はしょっちゅうシャッターチャンスを逃してしまいます。ピントが合わないとシャッターが押ささらない(北海道弁です)のです。「じゃあ、MFで撮れば?」ということになるのですが、今のカメラでは撮りにくい。どちらで撮っても一定程度チャンスを逃すことになる。
 絞り込んでいるのだから、ピントは「だいだい合っていればいい」。そう思っても、カメラが許してくれない。モーター音がわびしく響いて、チャンスを逃す。カメラの使い方を熟知していなければ写真が撮れない時代になってしまいました。「写真を熟知する」よりも「カメラを熟知する」ことが、今の時代には求められているようです。

「目測+絞り込み」の気楽さ

距離目盛と被写界深度目盛に話を戻すと、これは目測で撮影するときに非常に便利なものです。
 日中、明るい場所で撮影するとき、F11とか16くらいの絞りがよく使われるはず。もちろん、意図的に絞りを開けてバックをぼかすこともあるでしょう。けれども、そういう写真は一部であって、それより「ぱっ」と撮りたいということが多い。
 そんなとき、距離目盛と被写界深度目盛があれば、非常に簡単。距離目盛はピントを合わせたい被写体までの距離。MFの場合は、通常ファインダーを覗きながらピント合わせをします。被写界深度目盛のほうは、ピントが合っているように見える範囲を示すものです。絞りを開けると被写界深度は浅くなり、絞り込むと被写界深度は深くなる。つまり、近くから遠くまでピントが合っているように見える。画面効果上、とても重要なことなので、写真好きな人であれば被写界深度はよく知っているはず。
 MFで絞り込んで撮る。そう決めてしまえば、望遠やクローズアップ撮影でない限り、ピント合わせなどする必要はない。たとえば、距離目盛を3メートルとか5メートルに合わせておき、絞りをF11とか16に設定し、絞り優先オートにしておく。レンズの焦点距離にもよりますが、ほとんどの場合、とっさの撮影はこれでOK。AFではないので、シャッターが「押ささらない」という心配もありません。
 目測での撮影。20年前までは当たり前のように行っていたはずなのに、AFを使いようになってから目測しなくなった。カメラに使われるようではいけないな……。今のカメラであっても、もっとMF、目測で撮るようにしなければ。
 カメラに限らず、機能が進歩したことによってかえって使いにくくなっているものが少なくありません。家電製品など典型的な例ですね。せっかく、自分の体はマニュアル撮影に慣れているというのに、どうしてMF専用のデジタルカメラがないのだろう? 
 アダプターを使って、昔愛用したレンズを使おうと思っていますが、果たして以前と同じような使い勝手になるのか? 恐くもありますが、試してみるのが楽しみです。
 MFの35ミリカメラを使っていたときには、フォーカシングスクリーンがピント合わせの決め手でした。人によって、マイクロプリズムがいいとか、全面マットとか好みが分かれますが、僕は何といってもスプリットイメージが使いやすかった。僕の使っていたコンタックスは斜め45度のスプリットイメージ。縦でも横でも即座にピント合わせができた。こういうデジカメが今もあったらいいのに……と思ってしまいます。
 僕が今使っているカメラは、MFに設定すると、「ピントの合った部分の輪郭が青く光る」ようになっています。無理すれば使えなくはないが、ピントの山がわかりにくい。それ以上に、青い筋が不気味で使いたいと思わない。カメラ業界全体、MFを排除する方向なのでしょうか?
 目測。あとは被写界深度まかせ。そんな気楽な写真の撮り方を取り戻そうと画策しているところです。

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