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第6回 フレーミング

第6回 フレーミング

(c) Atsushi Takahara

おはようございます。
 昨日はややハードな日。昼は帯広ロータリークラブ例会。プログラム委員会担当例会で、新会員2名の卓話が行われた。午後3時40分にはマレーシアからお客様が来社。当社工場を見学した後、40分ほど我が社の理念や事業活動の話をさせていただく。6時からは同友会事務所で「とかち道研」実行委員会。登録締め切りが近づいてきた。
 社内的には「スロウ村の仲間たち2018」が目前に迫っている。スタッフはいくつもの山を乗り越えてきたが、自分たちの手ではどうにもならない「台風」という山(というよりも嵐)が迫ってきそうだ。最善を尽くして、あとは祈るのみ。最善+祈り。これは写真にも人生にも、ひょっとすると企業経営にも当てはまることでもある。

空間と時間を捉える

前回は「目測+マニュアルフォーカス(MF)」という話をしましたが、これは「タイミングを逃さない」というのが最大の目的。ピント合わせを自分で行うこと自体に意味があるわけではありません。
 僕もこれまでの人生の中で、数多くのタイミングを逃してきました。我が社も64年の社歴の中で絶好のタイミングを何度か逃してきた。振り返ってみると、「ここだった!」と思える瞬間があります。写真でも人生でも企業経営でも、本当に重要なタイミングというものはオートフォーカス(AF)では捉えられないことが多い。「いつでもシャッターが押せる」という状態をつくっておかねばなりません。
 僕らの目の前には常に何らかの風景が広がっています。風景を「自然の景色」と捉えている人も多いと思います。「風景」という言葉がしっくりこない場合は、「光景」と言い換えてもよいでしょう。
 何らかの風景(または光景)を見て、「これだ!」と感じたときにカメラを向ける。それが撮影という行為です。シャッターを押す直前に撮影者が行うのは、ものすごく単純にいえば、フレーミングとタイミングを計ること。前者は空間を捉えることであり、後者は時間を捉えることにほかなりません。
 空間と時間。この2つで写真は成り立っている。どちらが重要かということではなく、どちらが欠けても写真は成立しない。
 目測+MFによって、タイミングを捉える可能性は大きく高まります。僕らが同時に考えるべきことは、どんな風景をどのように切り取るのかということ。つい「切り取る」と書いてしまいましたが、僕の感覚では切り取っているのではなく、フレーム内に「収める」という感じです。これがフレーミング。
 単純に被写体がフレームの中に収まっていればよい……というものではありません。ここに撮影者の思想、哲学、センスが表れる。どのように被写体を収めるのか、主題と背景をどのように関連づけるのか、何を強調し何をぼかすのか……。一瞬のフレーミングの間に撮影者は考えを巡らさなければなりません。もちろん、長時間考えるとタイミングを逃すことになりますから、通常の撮影ではごく一瞬のうちに考えを完結させる。0.5秒~3秒といった時間でしょうか。被写体によっては、何10分でも考え続けられるものもあるでしょう。

主題と背景との関連づけ

何をどう撮るのか(空間)。そして、いつどんなタイミングで撮るのか(時間)。この2つは人生と企業経営の問題でもあります。僕らは絶えずこの問題を突きつけられている。僕は「写真力=経営力」と定義づけていますが、これは無理矢理関連づけているわけではありません。心からそう思ってのこと。ただし、自分の写真力が単純に自社の経営力につながるものではない、ということもわかってきました。経営力には、撮影力に加えて「衆知を集める」という総合力も必要。ここが写真とはちょっと異なるところ。
 それはさておき、フレーミングのセンスというものは非常に重要なものです。ダメなフレーミングの代名詞といえば、昔はよく「日の丸写真」と言われたものです。今はあまり使われていないかな? 被写体が画面の真ん中にある。撮りたいものをただ撮りました……という写真。そういう写真もあってよいわけですが、写真としては単調になりやすい。
 企業経営に当てはめて考えると、「このビジネスは儲かりそう」と安易に参入するような事業展開。これは避けるべきですね。
 僕も日の丸写真のようなフレーミングをすることはあるのですが、それは訳がある場合のみ。写真には主題と背景がある。背景がちゃんと目に入っていないと、単調な日の丸写真になりやすい。背景に対して配慮されていれば、見た目には日の丸写真であっても単調にはならず、意味を感じ取ることのできるものとなる。この違い、わかるでしょうか?
 人間にはこれまで歩んできた人生の時間がある。企業にも社歴があり、創業の頃から脈々と流れている理念がある。自社の理念が具現化したもの、それが自社商品であるわけです。商品だけが単独で存在しているわけではない。したがって、自社商品の見せ方は「背景との関連づけ」が欠かせないということになります。
 こうしたことは経営の勉強、ビジネスの勉強をすると、左脳的には理解できるでしょう。実際に経営に携わるようになると、感覚的にも理解できるようになる。中堅幹部にもさまざまな意思決定の場面がありますから、商品と背景の関係について深く考えている人は少なくないと思います。
 写真活動のおもしろいところは、これを撮影という行為によっていつでも体験できるということ。主題と背景との間には複雑な関係性がある。また、本当は無関係であったとしても、見る人間の思想、哲学によって関連づけられることもあります。写真家の撮影行為によって、初めて関係ができる。我が社の事業の中にも「活動することで新たな関係ができた」というものがあるはずです。
 僕のフレーミングの仕方は、1990年代からさほど変わっているとはいえません。我が社には、僕とは異なるフレーミングセンスを持った人が求められます。別なアプローチで関連づけできる人がいると頼もしい。何人かの目で自社を見直すと、もっと別なコア・コンピタンスが浮かび上がってくるのかもしれません。

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