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第8回 カメラか写真か

第8回 カメラか写真か

おはようございます。
 昨日は、大した仕事はしていないのに、やけにハードな一日だった。気づくと10軒くらい店、銀行、郵便局をはしごしていた。
 会社には、僕とは比較にならないほどハードに業務をこなしている人たちがいた。「スロウ村の仲間たち2018」の準備作業が佳境を迎えていた。最大の課題はイベント準備そのものよりも、台風対策、とりわけ実施か中止か天候判断することだった。昨夕の時点で、10月7日(1日目)は中止、8日(2日目)のみ開催することに決定。夕方、差し入れのおにぎり、果物、ゆで卵、栄養ドリンクを持って出社したときには、みんな出展者への電話連絡に追われていた。ふだんとは異なる活気を感じた。
 期間短縮での開催となったが、8日(月)はどうやら晴れそうだ。楽しいイベントになるに違いない。

技術が進歩すると使いにくくなる?

実は昨日カメラを購入しました。今使っているカメラよりも、画質のいいカメラがほしくなったのです。
 世の中にはたぶんカメラ好きと写真好きの2種類の人がいるのではないかと思います。オーディオ好きと音楽好きの人がいるのと一緒ですね。どちらもおもしろくて奥の深い世界だと思います。ただ、僕の場合は、写真が仕事になっていますから、カメラ機材よりも写真そのもののほうに関心が向かいます。カメラに求められるのは、使いやすさと画質ということになります。
 使いやすさという点では、今日のカメラには大いに不満があります。昔のペンタックスSPくらいシンプルなデジカメがあったらよいのに……。そう思ってしまうのです。もっとも、僕はペンタックスSPを使ったことはないのですが。6×6でいえば、ヤシカマット124Gですね。これは長年愛用しましたが、超シンプルで使いやすかった。必要最低限のものしか付いていない。余計なことを考えず、撮影に集中することのできるカメラ。
 デジカメの時代になると、「集中できない」という悩みが発生します。今、僕はミラーレスがメインのカメラ。一応、操作には慣れたのですが、バッテリーの消耗が激しいという問題がある。肝心なところでバッテリー交換の点滅マークが出ると、集中力が途切れてしまいます。ここがミラーレス最大の弱点かな?
 最新の技術を駆使することによって使いやすくなる。つい、そのように思い込みがちですが、ひとつ重要な問題が置き去りにされています。それは、機械を操作する人間の側が最新の脳(?)になっていないこと。このため、技術が進めば進むほど、最新機能が理解不能となり、使いにくくなってしまうのです。
 素晴らしい写真を撮るためには、学ぶ、練習するというプロセスは不可欠でしょう。アナログの時代には、絞りとシャッター速度の関係とか被写界深度が写真表現に及ぼす影響といったことを学びました。また、数々の失敗を重ねながら、フィルム現像やプリントのトレーニングを重ねていった。
 フィルムカメラの時代には「自分の意志で必要な能力を身につけている」という感覚がありました。
 今はどうでしょう? 自分の意志には変わりないのかもしれませんが、カメラメーカーの都合で余計なことまで覚えなければならないことが増えてしまっているような気がします。カメラ好きには楽しいかもしれないが、写真好きな人には負担に感じることでしょう。

必要な技術、機能を絞り込む

ただ、これらの不満や悩みといってものも、考え方ひとつでプラスに転換できるような気がしてきました。
 どんなに素晴らしい機能が付いていたとしても、自分の必要とする機能以外は使わない。そう決めてしまうのです。昨日購入したカメラにMF用のレンズを装着し、試しに撮ってみました。幅の広いピントリングを回して、自分でピントを合わせる。10数年間、無理矢理AFに慣れようと努力してきたのが、まったく無意味だったことがわかりました。見やすいファインダーと回しやすいピントリング。圧倒的に撮りやすい。僕は完全に旧世代のフォトグラファーに転落(?)してしまいました。
 あとは画質の問題が残るのみ。カメラ店の話では、「デジタル対応のレンズを使ったほうがよい」とのこと。果たして、30年前に揃えた6×7用レンズは実用に耐えるのか? 修理・調整から戻ってくる来週火曜日には判明でしょう。
 僕の楽観的予測では大丈夫なはず。6×7レンズでは広いイメージサークルの中心部だけ使うことになるので、周辺部の画質低下はあまり考える必要がない。それに今持っているのはいずれも単焦点。きっと問題ない……と信じたい。
 フィルムカメラの時代、画質を左右するのはフィルムサイズでした。当然、35ミリより6×6や6×7(中判)のほうが画質がよい。それよりも、4×5や8×10(大判)のほうが画質が上であるわけです。学生時代、35ミリカメラで4×5に匹敵する画質が得られる手法として、ミニコピー(複写用フィルム)をPOTA(超軟調現像液)で現像するというやり方を試したことがあります。うまくいくと、確かに4×5のような画質になる。実際、それで個展を開いたこともありましたが、たぶん35ミリカメラとは誰も思わなかったことでしょう。
 ただ、ミニコピー+POTAは失敗率が非常に高く、まったく実用的とはいえない手法でした。技術にこだわりすぎりと、表現の幅は狭くなる。自分の技術力を試してみるのはよいけれど、何が目的かを知っておかないと本末転倒なことになりやすい。画質至上主義になってしまうと、写真的魅力が後まわしになる。それが20数年前の僕の結論です。
 実験によって自分の技術力を高めることは必要。ですが、実際の仕事では必要な技術だけを使い、被写体の認識と表現により多くのエネルギーを使うべきでしょう。このことは他のジャンルの仕事にも当てはまりそうですね。

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