file 03 自費出版

file 03 自費出版

おはようございます。
 札幌出張の日。12時、北海道中小企業家同友会第3回理事会。いつもの理事会とは異なり、最初に基調報告が行われた。講師は道銀地域総合研究所主任研究員の坂野公紀氏。「胆振東部地震の影響をどう見るか」というテーマ。今回の地震による損失額と復興・復旧状況、それにBCPの必要性が示された。BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災などの緊急事態に遭遇したときのために、事業継続の方法、手段などを取り決めておく計画のこと。道内企業はBCPへの意識が低く、自然災害への備えが不十分とのこと。北海道は比較的災害が少ない地域とされてきたが、異常気象等を考えるとそうともいえなくなってきた。策定する必要がありそうだ。
 後半は通常通りの審議、報告事項。経営厚生労働委員会から「働く環境づくりのガイドライン」学習会についての案内があった。経営指針委員会、経営厚生労働委員会、共同求人委員会、共育委員会の4委員会が中心となり、普及・浸透を図っていかねばならない。

自費出版の裾野の広がり

このところ自費出版に関する相談、依頼が増えているような気がします。それも極小ロットのものから、商業出版に近い出版形態のものまでバリエーション豊富。ひと言でいってしまえば、「裾野が広がってきた」という感じでしょうか。
 一方、出版業界全体としてはここ20年縮小傾向にあります。本を読まない人が増えてきた。なのに、本をつくりたいという人も増えている。本をつくりたい人はもともと本が好きな人。二極化が進んでいるといえるのかもしれません。
 ソーゴー印刷の出版物は道外、一部海外(台湾)の書店にも並んでいます。ですが、大部分は道内の書店に置かれている。僕としては「地域出版」という位置づけの本づくり。我が社のようなスタンスの出版社は他にもいくつかあります。地域に特化した出版物は、売れるかどうかは別として今後も増えていくことでしょう。
 なぜ増えていくのかというと、地域にはそうした地域出版物が必要だからです。自分たちの住んでいる地域の魅力や価値を伝える媒体が必要。単に情報を伝えるだけではなく、思想・哲学を伝え、それを記録するという点でも、紙媒体を発行し続ける価値があると僕は考えています。
 地域の魅力や価値を伝えたいと考えているのは、地域の出版社だけではありません。個人でもそのように考えている人が大勢いるわけです。そうした人たちが自費出版について真剣に検討し始めている。
 こうしたムーブメントはいつ頃から起こったのだろうか? 僕の想像ではDTPが普及し、自費出版が「手の届くもの」となった2000年前後からではないかと思います。
 それ以前は、自費出版といえば自分史(昔は地域の名士によるものが多かった)や企業・団体の周年記念誌がメインでした。あるいは、趣味やサークルの会報や作品集といったものも盛んにつくられていました。
 こうした自費出版物は今も数多くつくられています。とりわけ、自分史に関心を持つ人は増えてきました。地元の名士には限りません。もっとカジュアルになっていますし、オンデマンド印刷を使えば、数部程度の出版も可能。「広く情報を伝達する」という印刷術誕生時の目的とは異なり、「記録」に重点が置かれている自費出版物が増えているような気がします。

哲学、メッセージを伝える媒体

もうひとつの傾向は「現在と将来について書かれている本」。目的は「記録すること」ではなく、「これからどうあるべきなのか」について書かれている。これは従来の自費出版とは趣がずいぶん異なっています。自費出版は自分史にしろ、記念誌にしろ、過去のことが大部分を占めているわけです。
 したがって、自費出版でありながら、本の中身は商業出版に近い内容になっている……。そうした本が少しずつ増えてきていますね。
 これはインターネット、とりわけSNSの普及と深い関係があるのではないかと僕は考えています。SNSによって、自分の感じたこと、考えていることを気軽に伝えることができるようになった。それによる弊害もあるわけですが、個人でも広く情報発信できることがわかった。それが意外に大きな力を持つこともわかってきた。
 しかし、SNSでは断片しか伝えることができないんですね。ブログの場合はもっとまとまった情報を伝えることができる。そうして、ブログに熱心になると、次なる欲求が次第に膨らんでくるものです。
 「これを本にできないだろうか?」
 そのあたりから自費出版熱が高まっていくという人がいるのではないかと想像します。かくいう僕もそのパターン。表紙デザインはプロに任せねばなりませんが、大部分は自力で一冊の本にまとめることができる。本を出したい人にとってはいい時代になりました。
 現在・未来志向の自費出版物が果たす役割は、思っている以上に大きなものなのかもしれません。これまでは作家、著名人でなければ、このような本は出しにくかった。しかし、深く物事を考えている人は作家、著名人だけではありません。雑誌スロウ等で取材活動を行っていると、実にさまざまな場所に魅力的な考えを持つ人がいることがわかります。実際、何人もの人に出版を勧めたことがありました。
 スロウの場合、ひとつの記事が10ページくらいになることがあります。その人の哲学や考え方を伝えることが可能な文章量ではあります。ただ、まとまった思想体系を伝えるには十分とは言えません。全体を伝えるには、やはり本一冊分くらいのページ数がほしくなる。
 伝えたいメッセージとその背景について表現するには、自費出版という媒体はかなり理想に近いものなのではなかろうか? 印刷・製本等の費用を考えると気軽に勧められるものではないのかもしれませんが、そのハードルは着実に低くなってきています。

ソーゴー印刷株式会社

〒080-0046 北海道帯広市西16条北1丁目25
TEL.0155-34-1281 FAX.0155-34-1287

高原淳写真的業務日誌