file 09 出版

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おはようございます。
 朝は会社でいくつか用事を済ます。昼は帯広ロータリークラブ例会。プログラム委員会担当例会。新会員卓話。午後は自宅でプレゼン資料作成等。

出版に手を出した印刷会社

今回は「出版」というざっくりとしたテーマ。以前の「印刷」と同じくらいざっくりしていますね。
 印刷会社がなぜ出版事業を行うのか? 質問されることもありますし、質問される以前に僕のほうから説明することもあります。印刷会社が出版事業を行うのは割とめずらしい。自費出版事業を行うのはめずらしくありませんが、商業印刷を事業化する会社は非常に少ないのではないかと思います(データはありませんが)。もっとも、出版社が印刷事業を行うのはもっと稀なこと。驚くほどではないのかもしれません。
 「印刷会社は出版に手を出すな」。そんな話を聞いたことがあります。これは印刷会社社長が言っていた話。18年くらい前の話。似たような話は何度も聞いています。印刷人に染みついてしまっている固定観念のようなものなのでしょうか。
 「出版は貧乏人のギャンブル」。これは某出版社社長の発言です。30年近く前に聞いて、おもしろうなぁと思ったものでした。当時の僕は、出版社も印刷会社も経営するつもりはなく、フォトグラファー、ライターとして生きていければよいと考えていました。
 両者の発言をひと言で表すと、「出版はリスキー」ということなのでしょう。
 東京で仕事をしていた頃、「自分たちの本を出してみたい」と考えたことがありました。テーマもだいたい決まっていました。ネックになっていたのは「どのくらいお金がかかるのだろう」ということ。
 印刷・製本にどの程度コストがかかるのか、よくわかっていなかったのです。100万、200万? そう考えると、なかなか踏み切ることはできません。そのうえ、取次口座もありませんから、流通させるには知り合いの出版社からコードを借りなければならない。なかなか出版のハードルは高いもののように思えました。
 思い切って出版に踏み込んだのは、ソーゴー印刷に入社する前、たぶん1年くらい前のことだったと記憶しています(曖昧な記憶ですが)。「PLAY MADE FACTORY Tシャツハンドブック」という本の印刷をソーゴー印刷に外注し、友人の出版社からコードを借りて出版したのです。それが僕にとっての商業出版第1号。
 ソーゴー印刷としての最初の商業印刷はなかなか特定が難しい。地元の書店にのみ流通させた「戦争体験記」(上下巻)もありますが、これは取次を介さない出版物。一般的な商業出版として捉えるならば、2000年12月発行の「声を聴かせて」(仁田尾さゆり著)ということになるでしょう。制作段階では、僕はまだ入社前のことでした。東京在住の著者とのやりとりを一部任されていたのです。第2号は「おいしいぞ@十勝」という本。どちらの本も東京の出版社を通じて全国出版されたもの。

なぜ地域出版なのか?

たとえ素晴らしい本をつくったとしても、それを全国の読者の手元に届けるのは容易なものではありません。本を生み出すだけでも相当なコストと労力を使っていますから、その上、広告・宣伝にまでエネルギーを投入するのは大変なもの。というわけで、つくった時点で仕事は完了……となりやすい。これが僕らの弱点でした(今も弱点かな?)。
 全国隅々にまで本を流通させようと考えるから大変なのだ。そんな結論に至ったのは自然なことといえます。
 スロウの創刊時、一冊の本を作り上げることが大変だったのは言うまでもないことですが、もうひとつのハードルは「流通」でした。僕はまったくタッチしていなかったので、大変だったのかすんなり事が運んだのかはわかりません。大手取次ではなく、北海道を専門に扱う取次会社、コア・アソシエイツさんと話を進めることができました。その結果、道内書店及びセイコーマートに本が並ぶこととなった。
 スローライフという言葉が市民権を得つつある頃。また地産地消も盛んになり始めていました。食べ物の世界では、多くの人が地産地消したいと考えています。口に入るものですから、当然のことといえるでしょう。誰がつくったのかわかる食べ物をできるだけ多く取り入れたい。僕も同感です。
 一方、「目に入るもの」のほうはどうでしょう? 僕は情報もまた地産地消という考え方を取り入れるべきだと考えています。ただ、直接的に健康に影響を及ぼすわけではない(当然ですが)。また、大手出版社が発行する本のほうが立派そうに思える……。というわけで、地域出版が優位になるという構図は考えにくい。
 それでも、僕らは「地元に住む編集者が本当にいいと感じた人、モノ、物語」を伝えたいと考え、本づくりを続けています。我が社の雑誌に登場する商品は、ふだん自分たちが愛用しているものがメイン。取材では、直接足を運び、時間をかけて話を聴く。取材相手の迷惑にならない程度に、何度も足を運ぶこともある。手間暇かけることができるのは、地元だからに他なりません。
 地域出版の仕事を続けているうちに、出版は“ギャンブル”などではなく、地域の関係を強化するための活動なのだ……ということがわかってきました。僕らの雑誌・書籍は道外の人も大勢読んでくれていますが、一番読んでほしいと思っている対象は、実は北海道に住んでいる人。地元の魅力と価値を深く知れば、もっと自分の住む地域への愛着心が増していく。
 11月13日14時20分から、そんなテーマで講演をすることとなりました。講師は僕とスロウ副編集長のK氏。場所は北海学園大学豊平キャンパス34教室。学生対象ですが、一般来場者も歓迎とのこと。予約不要、参加無料。どんな話になるのか、明日、K氏とのミーティングで方向性を決める予定です。

ソーゴー印刷株式会社

〒080-0046 北海道帯広市西16条北1丁目25
TEL.0155-34-1281 FAX.0155-34-1287

高原淳写真的業務日誌