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第17回 国別かテーマ別か

第17回 国別かテーマ別か

おはようございます。
 昨日は札幌で2件、小樽で1件の取材。朝7時から午後3時半まで。K氏は4時半からスカイプ会議予定が入っていた。札幌に戻ったのはちょうど4時半。たぶん5分遅れくらいで会議が行われたに違いない。僕は3時間かけて帯広に戻る。途中、オーディオブックを聴いていた。10年以上前に読んだ本の関連本。どこか懐かしい。

コレクションタイプ

小学から中学にかけて、僕は切手収集家でした。当時は切手ブームでしたから、めずらしい趣味ではありません。ただ、僕はずいぶん切手にのめり込んでいました。小学生ながら、日本郵趣協会の会員にもなった。同級生にも2、3人会員がいました。大人に混じって例会にも出席。今考えても、確かに切手収集には深入りしてしまうような魅力がある。
 切手のコレクションには2通りあります。国別で収集するか、テーマ別で収集するか。国別という場合には「国」だけではなく、「地域」も含まれます。すでに存在しない国の切手を集めている人もいました。
 テーマ別の場合はもっとバリエーションが豊富。動物、植物、絵画、人物……といったテーマを設定するのが一般的ですが、もっとジャンルを狭く限定するほうがおもしろい。こうしたテーマを設定する人は、切手そのものが好きというよりも、研究テーマが別にあって、その中に切手があるというケースが多い。動物の生態を研究するうちに動物切手を集めるようになった……というようなパターン。
 モノを収集する趣味として、4、50年前は切手が代表格でしたが、今では実に多種多様。僕も切手以外にいくつかのコレクションを持っていました。社会人になってしばらくたった頃、「笑っている牛」のラベルをコレクションしようと考えました。これはあっという間に終わってしまった。絶対数が少なすぎたのです。テーマが狭すぎると、コレクションは深まらない。
 あるとき、収集しているのは「モノだけではない」ということに気づきました。写真という活動もコレクションの一種なのではないか? そんなふうに思ったのです。
 これは僕にとっては「発見」でしたが、多くの人にとっては発見でも何でもないかもしれません。みんな当たり前のように、レストランで自分の注文した料理を撮影している。何かの儀式のようにスマホで撮ってから食べる。これもコレクション活動といえるでしょう。
 僕が写真を始めたばかりの頃のテーマは、「木」「石」「コンクリート」でした。もちろん、写真に撮るときには木の背景に山があったり、石のまわりに砂があったり、コンクリートは建物の一部だったりします。写真には他のものも写り込む。ですが、自分としてはあくまでも木、石、コンクリートが関心の対象でした。その質感や存在感に惹かれて写真に撮っていった。今でも、こうした素材が好きであるため、意味もなく撮ることがあります。
 テーマ別コレクションの場合は、「どこで撮っても構わない」というメリットがあります。帯広で撮っても大阪で撮ってもオーストラリアで撮っても構わない。個展等で発表する際にも、さまざまな撮影地が混在する。違和感が生じることもありません。

「北海道の……」がテーマに

僕の撮り方は長い間、ずっとテーマ別でした。テーマそのものは抽象的になっていきました。「無意識」とか「偶然」といった、自分でもよくわからないテーマに沿って撮影していた。あまりにも訳のわからないテーマであるため、木、石、コンクリートの3素材に戻ることもあった。いずれにせよ、1990年代まではずっとテーマ別の撮影でした。
 大きく変わったのは2004年から。「北海道を撮ろう」と決めました。それは仕事上の理由もあるのですが、僕自身、北海道はおもしろいと思うようになったことが大きい。北海道の日常風景がおもしろいと思えるようになりましたし、自分の知らないことが山ほどあることも知った。これは取材活動のおかげといえます。
 こうして、初めて僕は「国別コレクション」という活動を開始することになったわけです。当然ながら、木、石、コンクリート以外の素材にも積極的に目を向けるようになっていきました。僕にとって一番大きかったのは、「北海道の花」かもしれません。30代まで、花は被写体として眼中にありませんでした。木を撮っているときにたまたま写っていた……という程度。ジョージア・オキーフの絵を見てすごいなぁと思っても、自分で撮る気にはならなかった。
 「北海道の……」。この冠がつくだけで、ほとんどすべてのものが僕の被写体となっていきました。これは僕にとっては重要な変化。エリアを絞って、その中でどれだけ写真コレクションを深めることができるのか? こうした撮り方は決して真新しいものではありませんが、僕にとっては新鮮でした。
 そのうち、「北海道の幹線道路沿いから見える風景」というのが、僕の写真のメインテーマとなっていきました。
 風景写真(本当は自然写真)というと、山奥まで歩いてシャッターチャンスをじっと待つ……といったイメージを抱くことが多い。僕の撮り方はその真逆。歩きませんし、待つこともない(1、2分待つことはあります)。基本的には車で行ける場所が撮影地。乗っている車の普通の乗用車ですから、林道を走ることも滅多にありません。風景写真を撮る者としては、もっとも怠け者の部類に属するのではないかと思います。
 僕の意図としては「誰もが普通に見ることのできる風景」を撮ろうということ。特別な風景とか絶景ということではなく、北海道に住んでいれば誰もが見ることのできるもの。「普通の風景」を魅力的に感じることができれば、北海道に住んでいることの幸せを、より実感することができるのではないか? 何となく、スロウのコンセプトにも合っているような気がします。

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