file 11 年賀状印刷

file 11 年賀状印刷

おはようございます。
 10月31日。午前中は自宅で写真セレクト作業。午後、いつもとは異なる場所で原稿を書く。やはり執筆は自宅書斎のほうがはかどる。それでも1時間で短い原稿を1本書き終えた。夕方、道研実行委員会慰労会。

意外に需要が減らない商品

早いもので今日から11月。多くの印刷会社では年賀状印刷の受付が本格的に始まります。
 その昔、年賀状印刷は印刷会社にとってドル箱でした。「冬のボーナスの原資だった」という話を聞かされたものです。今、そのようなことを口にする人はいません。利益率も高いとはいえない。受注件数は我が社の場合は横ばいといったところ。一定の需要があります。
 年明けに毎年受け取る年賀状を見ると、印刷会社が印刷したと思われる葉書が一定数あるものです。パソコンの普及に伴い、「みんな家庭用プリンタから出力するようになるのでは……」といった懸念も一部にありましたが、そのようにはなりませんでした。近年ではメールやSNSでの年賀状もあるでしょう。けれども、年賀葉書の件数が著しく減ったという感じはしません。だいたい日本の人口減少分程度の減り方ではないでしょうか。
 思い起こせば1970年代後半、プリントゴッコが誕生したときにも、印刷会社は戦々恐々だったのではないかと思います。プリントゴッコは理想科学工業が発売した家庭用の小型印刷機(孔版印刷)。爆発的に普及し、年賀状印刷に使用する人が多かった。
 新しい技術が誕生すると、その都度、既存の技術や既存商品を扱う会社は戦々恐々となる。これは印刷会社に限らず、あらゆる業種にいえることでしょう。場合によっては業界そのものが消えてしまうこともある。印刷業も健全な意味で危機感を持たねばなりません。
 年賀状印刷も10年後、20年後には、それぞれの企業や家庭で内製化されるようになっていくのかもしれません。ただ、そうした予測は10年前、20年前、30年前にもなされていた。実際にはそうならなかった。やはり、印刷会社に発注するほうが楽であり、一定のクオリティが確保できるからでしょう。
 手づくり感も大切ではあるものの、大量に印刷するとなると、家庭用インクジェットプリンタでは心許ない。手間暇もかかる上、インク代もけっこう高い。
 僕も宛名印刷にはインクジェットプリンタを使いますが、絵柄のほうは自社で印刷してもらいます。毎年、年賀状印刷受付終了ギリギリのタイミングで発注する。大晦日に宛名印刷するという年も多い。今年はもう少し余裕を持って進めていきたいところ。今から住所録データをまとめていかねばなりません。

年賀状印刷の昔と今

ソーゴー印刷の年賀状印刷はいつから始まったのか? 僕には正確な記憶がありません。ぼんやり覚えているのは、小学生の頃のこと。印刷ミスや在庫として残った年賀葉書の当選番号を調べるという作業を手伝っていたのです。1等、2等が当たったという記憶はありませんが、切手シートは何100枚も当たりました。
 もうひとつの記憶は、年賀状の絵柄だけ印刷し、それを10枚ごと袋詰めして文房具店や書店等で販売するというビジネス。これを全国に先駆けて我が社が行ったらしい。「らしい」と書いたのは、それが日本で初めてなのかどうか、僕にはわからないからです。今も、コンビニなどで5枚パックか10枚パックの印刷済み年賀状が販売されています。
 絵柄だけ印刷して販売する(つまり個人の住所・氏名は印刷しない)というアイデアは、僕の小学生の頃に聞いた記憶があります。我が社の創業者はよく子供に新ビジネスのアイデアを語っていました。小学生の頃で覚えているのは、年賀状印刷、幸福駅レターセット、謄写印刷のちょっとした技術(これはたぶん1950年代の話)といった話。その後も、製版フィルムのファイリングシステムであるとか、家系図作成ソフト、年賀状受注システムなどについて聞いたことがあります。アイデアの一部は事業化されましたが、ヒットしたものと不発に終わったものとがありました。
 年賀状印刷というビジネスは、僕の子供の頃には新しい事業でしたが、今では価格競争にさらされる商品となりました。今年のおもしろい動きとしては、スロウの年賀状印刷商品が誕生したことでしょうか。スロウの読者にどれだけ訴えかけるか、気になるところです。
 年賀状印刷はなかなか革新的にはなりにくいところがあります。革新的な絵柄は思ったほど受注が伸びない。伝統的な絵柄のほうが売れるのです。したがって、毎年同じようなデザインとなる。長年担当している営業やデザイナーはこのあたりの事情を知っていますから、毎年同じような商品のラインナップになる。スロウオリジナルデザインの年賀状がヒットしてくれるとおもしろいのですが……。
 僕自身、保守的なものよりも革新的なデザインを好む傾向にありますから、年賀状印刷には口をはさまないようにしています。10年くらい前から、まったくのノータッチ。ですから、スロウオリジナルデザインができていたことも、スロウ57号発売の直前まで知りませんでした。11月1日からwebサイトで注文できるようになっているようなので、僕もさっそく試してみようと思います。
 年賀状を送るという日本人の慣習はよいものだと僕は思っています。年に一度だけ消息を確認し合っているという友人も何人かいます。わざわざ会いに行ったり、電話をするというわけでもない。一枚の葉書だけでつながっているという関係。社会人になって30年くらいたつと、そうした友人が増えていき、そんなかすかなつながりが貴重なものと思えるようになっていく。僕にとって年賀状とはそのようなツールといえます。今はFacebookで30年ぶりにつながることもありますが、かすかなつながりを30年続けるほうが価値があるように僕には感じられます。

ソーゴー印刷株式会社

〒080-0046 北海道帯広市西16条北1丁目25
TEL.0155-34-1281 FAX.0155-34-1287

高原淳写真的業務日誌