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北海道の仕事と暮らし02 正当な対価

北海道の仕事と暮らし02 正当な対価

おはようございます。
 朝方は会社で資料作成等。だが、本格的に作業を進めるには自宅書斎に戻らねばならない。10時過ぎ帰宅。一気に完成させるぞ……と思いきや、力仕事的な用事が発生してしまった。屋内と屋外、3時間ほどかけて2つの用事を済ませると、体も頭も使い物にならなくなっていた。夕方、懸命に写真セレクト作業を進める。本来の仕事は週末に持ち越すこととなった。

高いか安いか

雑誌「northern style スロウ」の価格は、今のページ数に落ち着いた第2号(2004年10月発売)から本体価格838円となっています。この価格に当時の消費税5%を加えると880円。
 商品価格というものは非常に重要なものです。通常、どの企業でも価格戦略を重視しているはず。ところが、スロウ編集部では「税込880円だと末広がりでいいじゃない?」といったテキトーな議論が展開され、特に異論もなく、安易に価格が決まったのでした。消費税が上がると考える人もいませんでした。今は8%ですから税込905円。どうしてこの価格なのか、知っている編集者もいなくなってしまいました。
 スロウを読んだことのある人ならおわかりだと思いますが、スロウ本誌190ページの中に広告がどれほど入っているかというと、「広告」といえるのは表2、表3、表4のみ。本文ページに広告が入るのは稀なこと。ほぼ全ページが編集ページなのです。こんな雑誌はきっとめずらしいに違いありません。通常、雑誌の売り上げは「本の販売」と「広告料収入」で成り立っています。僕個人としては広告料収入を期待したいところですが、積極的な広告営業は行っていない。創刊から14年半、広告にほとんど依存しない形で雑誌の発行を続けています。
 190ページ前後の雑誌に50ページくらい広告が入っていれば、編集者が制作するのは140ページとなる。スロウの場合は190ページすべてを毎回制作しますから、他の雑誌の3割~4割くらい手間暇がかかることになる。それでいて価格は特に高いとはいえない税込905円。作り手の僕らからすると、これより低い価格は考えられない(広告がたくさん入れば話は別ですが)。
 ところが、社外の人の意見を聴くと、実にさまざまな感想が寄せられます。「高い」という人もけっこう多いのです。たまに「あり得ないほど安い」という感想もあります。そう言っていただけるのはスロウの愛読者。編集ページが多いというだけではなく、スロウがどのようにつくられているのか、知っていただいているのでしょう。ありがたいことです。
 同じ商品であっても、高いと感じる人と安いと感じる人がいます。これはどんな商品にも当てはまります。
 先日、テレビを見ていてハッとする場面に遭遇しました。ブラジルで焼き畑農業が大規模化していき、自分の住んでいる土地を奪われてしまった……という話でした(どうしてそんなことが起こるのでしょう?)。土地を奪われた人がテレビカメラに向かって語りました。
 「安く売られている商品の背景には、辛い思いを強いられている人がいるのです」。そんな内容の話でした。グローバル化している今日、世界中でこのような問題が発生しているに違いありません。

イメージ力と知識力

今日、消費者にもっとも求められる能力は「イメージ力」ではないかと思います。自分の反省も込めて言えば、「それがなかなかできていない」のです。同じ商品であれば安いほうを選んでしまいますし、同じように見える異なる商品であっても安いほうを選びやすい。つまり、「高いか安いか」が購買心理に与える影響は大きい。ある意味、健全なバランス感覚といえます。値段を気にせず買い続けると金欠になってしまいます。
 ただ、その一方で「商品の価値に見合う正当な対価を支払いたい」という気持ちを持つことも重要であるはず。
 スーパーで買い物をしてもネットショッピングをしても、「ありえない」と思うような安い商品が売られていることがあります。正当な理由があって安い場合もありますが、誰かに辛い思いをさせながら低価格で販売していると思われる商品もある。
 自分にとって損か得か。そうした観点だけで商品選びをすると、結果的に不幸な人を増やすことにもなりかねない。この商品はどのようにしてつくられたもので、どんな流通経路を経て販売されているのか? 正確に知ることは困難でも、イメージしてみることが重要ではなかろうか。
 食べ物のような口に入るものであれば、安全性の問題がありますから、敏感な人が多いことでしょう。けれども、工業製品の場合はどちらかというと無頓着になりやすい。かくいう僕も、安いという理由だけで買ってしまうことがあります。自己正当化するわけではありませんが、これだけグローバル化が進み、これだけ安い製品があふれていると、何が適正価格であるのかもわからなくなってしまいます。
 それでも、これから購入しようとする商品について、できるだけイメージ力を発揮しなければなりません。この商品に関わったすべての人たちのところに、正当な対価は支払われているのだろうか? 一部の人だけ儲けていて、その陰に搾取されている人はいないだろうか?
 世の中には「搾取の気配」を感じるような商品があふれています。その一方、売上金がどのように分配されていくのか、明示している商品もわずかながらあります。ただ、こうした商品は極めて少ない。消費者としては知識を豊かにして、自分の支払ったお金がどこへ行くのかについて知っておく必要があるのではないかと思います。
 できるだけ「不当な利益を得ている人」に自分のお金が渡らないよう気をつける。消費者に求められるスキルは、昔よりももっと複雑になっていることでしょう。賢い消費者とは「安く買うこと」ではなく、「正当な対価を支払うこと」。そのためには、世の中の仕組みを知ることが非常に重要なのです。

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