おはようございます。
昨日は津別町での取材・撮影。何度も通ううちに、距離的にも心理的にもずいぶん近いと感じられるようになりました。取材の合間に出てきたのは津別の歴史の話。町史が自分の記憶細胞を刺激する・・・といった内容だったと思います。これは自分史と関連の深い話。自分史づくりの準備は「調べること」から始めるのがよいのでしょう。そんな気がしてきました。
帯広に戻ると、食事会の準備が最終盤を迎えていました。急遽開催となった食事会のタイトルは、「Kさん いってらっしゃい会」。1週間後から産前産後休業に入る編集者K氏のための会。こうした趣旨の会を開くのは初めて。これから我が社で恒例となるかもしれません。ここでもK氏入社以来の歴史が語られました。
ひとりの人間の人生には、さまざまな伝説、エピソードが刻まれているものです。一部は明らかになっていますが、案外わからなかったり、曖昧なものが多い。人生には謎が多いのです。自分の人生なのに自分でもよくわからないこと。振り返ってみると、ひとつやふたつではないはずです。
これらを解き明かしていくことも、自分史づくりの目的のひとつといってよいかもしれません。
情報さん、いらっしゃい
僕が思うに、自分史も雑誌づくりと同じように取材活動が欠かせませんね。
取材にはさまざまな方法があります。文献を調べる、インターネットで検索する、昔のことに詳しい人から話を聴く・・・。
まずは残っている資料や文献を調べる。このあたりから始めるのが妥当ですね。昨日、K氏は「家系図を作成するために過去帳を調べた」という話をしていました。どのような自分史をつくるのかにもよりますが、自分の生まれる前の歴史を知っておくことが重要でしょう。
町の歴史、地域の歴史を一通り調べると、自分の記憶を引き出す呼び水となるはずです。町史、市史など案外貴重な情報源となるもの。昔の住宅地図などが見つかると最高ですね。ネット検索は手軽ではありますが、本当にほしい情報にはたどり着かないことが多い。必要な情報は紙媒体の中に存在する。そう考えてもよいと思います。
自分自身が書き記したもの、集めたものがあると貴重な情報となるでしょう。このあたりはどうしても個人差あります。引っ越しを繰り返してきた人であれば、自分史の手がかりとなる資料が処分されてしまっている可能性が高い。逆に、地元から一歩も外に出たことがなく、あらゆるものが物置や屋根裏に保存されているという人もいます。
将来処分される可能性を見越して、デジタル保存しようと試みている人も多いでしょう。僕もそうした人間のひとり。まだ保存法を確立していないのですが、文書はスキャナーに取り込みPDFで保存。立体物は写真に撮っておこうと思っています。現物は存在しなくてもいい。そう思えるようになってきました。記憶の中に現物がある。それだけでも十分だと思うのです。
スロウの編集者はみんな取材ノートを使用しています。ノートをちゃんと活用できていないのは、きっと僕だけでしょう。自分の書いた文字が判読不能になる・・・。僕の場合はほとんど唯一、ICレコーダーの音声データが貴重な情報源となります。
それはともかく、さまざまな人から話を聴くことですね。雑誌の取材ならともかく、自分史づくりのために、改まって「取材させてください」とは言いにくいかもしれません。そういう場合は、日常の雑談を通じてさりげなく情報収集するのがよいでしょう。
これは雑誌の取材でもよく使う手法です。記事として取材しようかどうか決めかねている段階でのプレ取材活動。「編集部です」と名乗ることもあれば、一般の客として会話することもある。そして、実際に単なる買い物客で終わるケースも少なくありません。
人から話を聴くという意味で、情報の宝庫となりそうなのが学校の同窓会です。前回述べた通り、僕には中学、高校のときの記憶がほとんどありません。けれども、帯広にUターンしてからというもの、高校の同窓会活動に関わりを持つようになっていきました。そうすると、僕の記憶を呼び覚ますきっかけとなるような言葉や出来事が誰かの口から飛び出すのです。
おそらくそうした理由からでしょう。僕の高校の同窓会では僕よりも上の世代の人たちのほうが参加率が高い。過去の記憶をよみがえらせることで脳の若さを保っている。そんな傾向が見られます。
ここまでの話を整理します。
雑誌の取材同様、素材を収集するために調査活動を行います。インターネットでざっくりと情報収集してもよいのですが、それだけでは不十分なので、文献・資料を探します。最初は図書館あたりが確実でしょうか。個人的な資料は自宅の物置、屋根裏部屋等で探すなど試みます。この際、資料を複写したり、スキャナーで取り込むなどすると、原稿執筆時に役立つことでしょう。立体物であれば写真を撮っておくようにします。
続いて、人から話を聴くという活動。自分や家族のことを知っていそうな人にインタビューできればベスト。ただ、改まって取材するのは気が引ける・・・という人は、ふだんの会話の中から必要な情報を拾い集めましょう。
情報の宝庫となりそうなのは同窓会。ここでは昔話に花を咲かせながら、しっかり記録をとっておくことです。中には、自分の外部記憶装置ではないかと思えるくらい、過去の出来事を詳しく覚えている同級生がいるものです。
集めた素材と自分の頭の中にある記憶。両者をもとに、いよいよ自分史の制作を進めていくことになります。
(写真は「Kさん いってらっしゃい会」の料理を準備しているところ)