file 13 SLOWなお買い物

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おはようございます。
 朝は次世代幹部養成塾第3講。課題図書はスロウ57号。スロウは浅くも深くも読める本。できることなら深読みしてほしい。朝礼後はプレゼンデータ作成。達成度は50%くらいか。午後1時クナウマガジン会議。2時半、食事会の買い物。3時半、役員会。4時半、幹部会議。6時半、中小企業家同友会とかち支部四役会。9時少し前に帰宅。長い一日だったな……と思ったら、ここからが本番だった。自宅は食事会準備の真っ只中。料理手伝いと準備作業。気づくと0時をまわっていた。

通販ビジネス開始の頃

我が家で開催される食事会には、スロウでおなじみの食材や加工品が登場します。一番よく出てくるのはバナナ牛のローストビーフでしょう。これは「僕のお気に入りだから」という単純な理由から。冷凍のローストビーフを冷蔵庫で解凍し、半解凍状態になったところでスライス。山わさび醤油でいただくのがおいしい。数日前、山わさび+おろしニンニクで試してみたら、とてつもない辛さになってしまいました。気が遠くなった。が、それでもバナナ牛は素晴らしい味。
 おっと、バナナ牛の話ではありませんでした。今回は「SLOWなお買い物」という通販事業の話です。
 「SLOWなお買い物」は、雑誌スロウ創刊前から盛んに編集部内で議論されていました。スロウ本誌の販売収入だけでは成り立たない。広告料収入の見込みもない。だから、通信販売ページを設け、手数料収入を得ることでスロウ事業を維持しよう……。そんな考え方がありました。
 それはお金の流れだけから見た話。通販ページに掲載することによって、生産者の方々ともWin-Winの関係を築くことができるのではないか、という議論も行われました。我が社の売上のためだけではなく、スロウの編集理念とも合致しているはず……というのです。
 2003年秋から冬にかけて盛んに議論が戦わされました。実は僕は通販ビジネスには否定的だったのです。反対派は僕ひとり。他は全員推進派。抵抗するだけ無駄だなと思い、雑誌としての魅力が損なわれない形であればよいだろう、と考えを変えることにしました。
 僕が当初、通販事業に否定的だったのは、東京時代に痛い目に遭っているからです。扱っている商品は全然違っているものの、仕組みが大きく違うわけではない。通販には通販の奥深いノウハウが必要なはずであって、素人が気軽に参入できるものではないと僕は考えていました。
 その考えは今も基本的には変わっていません。けれども、「SLOWなお買い物」として14年も続けていると、次第に愛着のようなものを感じるようになっていきました。編集長のM氏は「SLOWなお買い物」のヘビーユーザーですし、他の編集者も、我が社の一部社員も「SLOWなお買い物」のユーザーとなっている。僕もバナナ牛のローストビーフだけではなく、他に買い物をすることもあります。
 「SLOWなお買い物」で買い物をすることは「消費」ではなく、何か意味のある活動であるかのように感じているのです。

商品情報以外の価値を伝える

この感覚、何かに近いなぁ……とぼんやり思っていて、あるとき気づきました。クラウドファンディングに近いのではなかろうか? 僕もこれまでクラウドファンディングで4、5回「支援」をしたことがあります。意味のある活動にお金を出し、代わりに商品または返礼品としていただく(購入型のクラウドファンディングの場合)。
 「SLOWなお買い物」はシンプルに「通販」ですから、クラウドファンディングとは異なる仕組み。ですが、申し込むときの感覚にはちょっと近いところがある。「この人の商品を買いたい」とか「自分のお金をこのように役立てたい」といった気持ちが購入者の中にあるのではないか? 仕組みとしては単純に「売る」「買う」であっても、そこにエンゲージメントのようなものが発生している。
 スロウ編集者の人たちは実際に取材していますから、生産者から話を聴き、生産現場を自分の目で見ています。だから人一倍愛着心が強くなる。一方、読者の方々の場合は「スロウの記事」を通じて知ることとなる。中間にワンクッション置かれているわけです。編集者、フォトグラファーの目を通じて、生産者や商品を見ている。
 そう考えると「SLOWなお買い物」のページに、僕らは今まで以上本気になって制作に取り組む必要がある。そう思い至るようになりました。「ただ売れればよい」というものではありませんし、単にきれいなページをつくればよいというものでもない。生産者の気持ちを代弁し、編集者がその人の思想、哲学、仕事に対する姿勢といったものを伝える必要がある。
 「SLOWなお買い物」では、そうした編集部の思いが勢い余って、「事業活動」とはほど遠いものとなることもあります。僕が記憶しているのは、数年前に掲載した、とあるめずらしい商品。10個か20個しかつくれないものなのに、単価が数100円。それを確か、2ページ見開きで紹介したことがあった。通常の雑誌通販ではあり得ない。完売しても「2ページ分の印刷代にすらならない」。
 スロウの場合、「通販=売上のための活動」と単純に捉えてはいけない。そうわかった瞬間でした。通販ページもスロウにとっては大切な記事ページ。他のページと変わりありません。
 さらに「SLOWなお買い物」の重要な役割にも気づくことになりました。スロウに載ったことがきっかけで、百貨店のバイヤーの目に留まったり、テレビの取材を受けたり……といった例が増えていったのです。生産者の販路拡大につながっている。これもスロウの編集理念に沿ったものといえそうです。
 昨年、webサイトをリニューアルし、見やすく、購入しやすくなりました。スロウ編集者が「本当にいい!」と思っている商品のみ掲載している通販サイト。そこに何らかのメッセージを感じ取っていただければ幸いです。

ソーゴー印刷株式会社

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高原淳写真的業務日誌