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北海道の仕事と暮らし06 スローなマイクロビジネス

北海道の仕事と暮らし06 スローなマイクロビジネス

おはようございます。
 昨日は下川、旭川での取材。最初の取材先では、不思議な場所でユニークなビジネスが立ち上がろうとしていた。「ここは同業のいない空白地帯」という言葉が耳に残った。こういう発想は僕らにも必要だ。次の取材先は13年前から継続的に取材しているところ。着実にビジネスが発展している。最後の取材先は編集者I氏と同郷の移住者。旭川といってもずいぶん郊外にある。ギャンブレル屋根の牛舎だった建物が仕事場。興味深い。

雑誌スロウでよく取材するのは……

スモールビジネスとマイクロビジネス。北海道の企業の多くはそのどちらかといってよいのではないかと思います。もちろん大企業もあります。が、圧倒的に中小企業が多く、さらに言えば零細企業が多い。
 ただ、僕は「中小」「零細」といった言い方をできるだけ避けるようにしています。これは10年近く前に参加した講演会の中で、「中小企業ではなく、地域企業というべきだ」という講師の話を聞いてからのこと(誰の講演だったか忘れましたが……)。中小、零細という言葉を使いすぎると、「自社、自分の志まで小さく感じられる」ようになってしまうのではないか? そんな気づきがあり、我が社は地域企業であると位置づけています。
 もっとも、中小企業=地域企業というわけではありません。中小企業でもグローバルに事業展開している企業が少なくない。逆に、規模が大きくとも地域企業として活動しているところもある(数は少ないが)。まあ、あまり規模にはとらわれないことですね。
 マイクロビジネスという場合、一般的には零細企業を指しています。強いて定義づけるならば、5名以下の規模とされているようです。マイクロビジネスというと、僕には何となく「IT系の起業家」がイメージされますが、もちろんITには限らない。昨日取材した3件はいずれもものづくり系でした。
 スモール、マイクロといった規模感を表す言葉の他に、ファスト、スローというビジネス形態があることも思い出しました。スロウ編集部が取材するのは、たいていの場合スロービジネス。当然といえるかもしれません。
 「目先の利益に惑わされず、将来を見据えて前進していくビジネス」というのがスロービジネスの定義。スロウ創刊間もない頃、「スロービジネスのすすめ」(NHK「21世紀ビジネス塾」編集委員会、NHK出版)という本を読んで、なるほどなぁと思いました。スロウには「本物」といった意味合いもある。そう思って創刊した雑誌でしたから、「スロービジネスのすすめ」には共感するところがありました。
 雑誌スロウの取材では、スローでマイクロビジネスの人、企業がやたら多い。僕の取材先はもう少し規模が大きく、定義にしたがえばスモールビジネスの企業がメインとなるのですが、他の編集者と同行すると、ビジネス形態は個人事業主であることが圧倒的に多いのです。そして、僕はどのように経営しているのかがいつも気になる。ニッチな業種、不思議な業態であればあるほど、気になりますね。

「純度の高い仕事」と「生活の安定」

しかし、少し考えてみると、スローなマイクロビジネスの中に大きな可能性があるような気もします。
 我が社の場合、スモールビジネスといってもそれなりに規模がありますから、どうしても売上・利益を優先させなければならない局面がある。毎月、変動費、固定費の支払いがあり、社員には全員給与が振り込まれる。マイクロビジネスでも、この仕組みは変わらないわけですが、たとえば、最小単位である「自分ひとりのビジネス」だったらどうでしょう? 変動費、固定費は支払わねばなりませんが、今月は売上が上がらなかったから自分の給料はゼロ……。そんなこともあるのではないかと思います。一般企業では許されませんが、自分ひとりのビジネスならそれが可能(もちろん、それが続くと生きていけませんが)。
 スロウ創刊期から15年近く、道内各地を取材してまわりました。その中には「明らかに楽ではない暮らしを喜んで受け入れている」という人たちがいました。自給自足に近い暮らしぶりの人も多かった。自分には真似できないが、そうした生き方が輝いて見えた。
 自分のやりたいこと、実現させたい暮らし。そこにフォーカスし、それ以外の活動を排除していくと、どうしてもスローでマイクロな活動となっていくのではなかろうか? お金のためではない経済活動。お金は大切なものですが、もっと大切なものが他にある。そのもっとも大切な部分だけは絶対に譲らない……。そんな活動ができるのはスローでマイクロなビジネスのやり方であって、そうしたビジネスに目覚める人が少しずつ増えてきている。スロウ創刊直前の15年前よりも、今のほうが確実に多い。それは北海道にとって好ましいことではないかと思っています。
 ただ、多くの人たちは企業に勤めながら自分の人生目標や人生ビジョンを達成させようと日々努力しています。僕が毎日頭から離れないのは、「どうすれば大切なことを大切にしながら、経済的にバランスをとっていくのか」ということ。
 「人の役に立つ仕事」「努力に見合った収入」「プライベートの充実」「自社の成長・発展」。おおよそ、この4つのバランスが保たれていれば、企業に勤めている僕らは、やり甲斐を持って働くことができるのではないかと思います。どれかひとつでも著しく損なわれると、不安や不満が湧いてくる。
 会社組織には「個人では実現できない大きな仕事ができる」というメリットがあります。一方、マイクロビジネスでは「妥協することなく純度の高い仕事ができる」。どちらにもそれぞれ価値がある。
 会社勤めをする人には「安定した生活」という強いニーズがあります。もちろん、僕にもある。安定を保ちつつ、どれだけ「妥協のない純度の高い仕事」ができるのか? ここを我が社は目指すべきではないか? 道内には、規模に関係なく、そうした理想を追い求めている企業があります。スローなマイクロビジネスとスローな一般企業。その両方をこれからも取材、研究してみたいと思っています。

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