file 15 わくらす

file 15 わくらす

おはようございます。
 一日、自宅にこもって仕事をしていた。写真を探したり、調べ物をするのに時間がかかり、なかなかスピードが上がらない。だが、95%くらいまで作業を進めることができた。希望的観測かもしれないが……。

出発点は「ワークワーク」

昨日「りくらす」について書いたので、今回は「わくらす」をテーマにしようと思います。
 りくらすとわくらす。ネーミングからわかる通り、姉妹誌という位置づけになっています。表紙デザインにも共通性がある。ただ、このような形になったのは2016年から。わくらすはりくらすと異なる源流を持つ雑誌なのです。
 わくらすの出発点となったのは、2014年に発行された「十勝で働きたくなる本 ワークワーク」という本。帯広市役所、帯広地域雇用創出促進協議会、中小企業家同友会とかち支部と一緒につくっていったもの。翌年も同じスキームで進められ、「十勝で暮らそう、働こう ワークワークとかち2015-2016」というタイトルで発行されました。どちらの本も「ワークワークとかち」というwebサイトから、全ページダウンロードすることができます。
 2014年発行の「十勝で働きたくなる本 ワークワーク」、2015年発行の「ワークワークとかち」。前者はA4判84ページ、後者はA4判188ページ。実に立派な冊子なのですが、販売用ではなく、いずれも配布用。我が社の雑誌ではなく、発行は帯広地域雇用創出促進協議会ですから当然ですね。
 これを自前の雑誌にリニューアルし、雑誌として発行にこぎ着けたのが「わくらす」ということになります。サイズはA4判からB5判に変更。これは学生にとって持ちやすいから……という理由だったと記憶しています。企画段階では賛否両論ありましたが、できあがってみると、このサイズもなかなかよいものです。
 わくらすは「北海道十勝 仕事の本」というサブタイトルがついている通り、十勝の仕事事情や企業情報を掲載している本。大手の就職情報サイトが圧倒的影響力を持っている時代に、こうした紙媒体の企業情報がどれほど有効なのか? 提案のため訪問した企業では、こうした声が各所から出てきたのではないかと思います。本書の意図を伝えることに、編集者、営業パーソンは苦労したことでしょう。
 わくらすは就職情報誌ではない。そう理解してもらうところに第一関門がありました。そもそも、就職情報誌なら載っているであろう、募集人員、職種、採用条件といった情報がない。あくまでも、十勝の企業を紹介することに徹しています。それも、業務案内だけではなく、各企業の理念やビジョン、価値観、社風といったものを重点的に伝えるようにしている。これは「ワークワーク」から「わくらす」に変わっても、一貫している編集方針といえます。
 本書の目指すところは、理念・ビジョンを持って事業活動を行っている企業、やり甲斐を持って働くことのできる企業、自分を成長させてくれる社風・文化を持つ企業が、十勝には多数存在していると伝えること。事実その通りなのです。しかし、そうした肝心な情報が学生や大都市で働いている人たちには十分伝わっていません。

地域企業の本当のよさを伝える

自分の生まれ育った町には自分の能力を活かすことのできる場所はない。本当にやりたいと思える仕事はない。そう思い込んでいる人があまりにも多い。僕も20年前まではそう思っていましたから、無理もありません。
 こうした誤解を解いていくのは簡単なことではありません。2004年にスロウを創刊し、北海道のあちこちに素晴らしい仕事をする人がいることを伝え続けています。ただし、スロウで取材するのは、個人がメイン。一般企業が取り上げられることは比較的少ない。これは雑誌の性格上そうなっているだけであって、北海道内には素晴らしい企業、ユニークな商品を持つ企業、自分を成長させてくれる企業がたくさんあるのです。
 大企業には大企業のよさがあり、大都市には大都市で暮らすメリットがある。そこを否定するつもりはまったくありません。けれども、地域企業にも地方での仕事にも、それと同等以上のよさやメリットがあるんですね。そうした情報がこれまであまりにも伝えられてこなかった。この空白の部分を埋めていくのが我が社の務めではないか? そんな思いを持って編集者は十勝管内の企業に提案したり、取材・執筆しているはずです。
 情報の地域間格差、企業間格差を埋めるのは、容易なことではありません。多くの学生は大手就職情報サイトを主な情報源としています。自分から情報を集めようという強い意欲を持っている人は少ないのが実情(もちろんそうではない人もいますが)。大都市で働いている人もほしい情報にたどりつくのに苦労していることでしょう。大都市で開催されている移住フェアまで足を運べばある程度情報収集できるとは思いますが。
 外形的なメリット・デメリットでいうと、地域企業はどうしても大企業や大都市の企業と比べて見劣りしてしまう。しかし、地域企業の多くは「地域の人に役立っている」と実感できる仕事をしています。また「仕事」と「暮らし」が近く、心豊かに働くことができるのではないかと思います。
 僕の個人的なおすすめポイントとしては、地域の中小企業のほうが「早く出世できる」というところ。優良企業であっても後継者がおらず廃業していく……という時代。やる気と能力を持っている人は、地域企業で活躍すべきでしょう。
 昔はエネルギーの高い人は大都会へ向かう傾向が強かった。今も大きくは変わりません。しかし、志に燃えている一部の人が地方で頭角を現すようになってきています。起業もよいのですが、僕としては地域企業の後継者として活躍してくれることを願っています。

〒080-0046 北海道帯広市西16条北1丁目25
TEL.0155-34-1281 FAX.0155-34-1287

高原淳写真的業務日誌