
おはようございます。
午前中は観光関連のミーティング。正午から印刷工業組合十勝支部理事会。午後は自宅で多岐にわたる作業。半分くらいは写真関連。遅れがちだった作業がようやく追いついた。
自前主義かジョイントか
僕ら……といったらよいのか、ソーゴー印刷というべきでしょうか? これまで自前主義的な傾向が強かったのではないかと思います。
分業するほうがコストを抑えられるようなものであっても、社内でこなしてしまうことが多かった。それには相応の理由があって、僕の考える自前主義のメリットは「すべての著作権を自社で保有できる」というところ。デザイン、執筆、写真を社外の人に依頼すると、データを二次利用しにくくなる。特に、年数がたってしまうと、著作権者と連絡が取れなくなるかもしれない……というリスクがあります。
ただ、そうした経済的、実務的な理由だけで自前主義を保ってきたわけではありません。スロウのような出版物の場合は、理念的な整合性が求められるのです。整合性というと、ちょっとわかりにくいですね。理念が共有されていないと、何となくしっくりこない、スロウの世界観から少しずれた記事ができあがってしまう可能性があるということ。デザイン、執筆、写真を外注すると、そうなりやすい。技術ではカバーできないような気がします。
社員であっても、スロウの編集理念を理解しているという確証はありません。僕も創刊当時は怪しいものでした。ですから、たまに「微妙な記事」が掲載されることがありました。ここ数年のスロウはよい意味で安定していると思います。「よかった」と思う一方、ちょっと不思議な気持ちになることがあります。
どうして創刊時のことを知らない人たちなのに、スロウの編集理念を理解し、スロウの世界観を自分のものにしているのだろう? 僕が10年くらいかかってわかったことが、最初からわかってしまっている。ちょっと大袈裟かもしれませんが、そうした驚きを感じることがあります。取材時に感じることもあれば、記事を読んで感じることもある。
この疑問に対する答は、「スロウの世界観を最初から共有できる人が集まってきた」というものでしょう。実に簡単。また、スロウのような価値観は決して特別なものではなく、多くの人に共感してもらえるものでもあると僕は考えています。2004年の創刊当時はまだ一般的ではなかったかもしれませんが、今ではずいぶん当たり前のものとなってきた。世の中全体が変わってきたのです。
スロウの創刊の翌年からでしょうか、編集部のもとにさまざまなジョイントビジネスの話が舞い込みました。その中には実に魅力的で、今でも「話に乗っておけばよかった」と思うようなものもありました。けれども、すべて辞退することになりました。まだスロウ本誌を軌道に乗せるのに手一杯だったというのが理由のひとつ。もうひとつは、理念を共有できるかわからないという理由だったと思います。経済的なメリットだけでジョイントするのは危険だ。当時の編集部ではそう考えていました。中には理念的に合致する提案もひとつかふたつあったのですが……。
フラットな関係を築く
スロウの仕事に限らず、他社と一緒にビジネスをすることはよくあるものです。これが「元請け・下請け」とか「発注・受注」という関係であれば、比較的話は単純。受けるか受けないか選ぶだけということになります。そして、こうした関係では、元請け、発注側の主張が通りやすい。たとえ対等な関係を築くことができたとしても、下請けや受注側が決定権を持つケースは非常に少ない。
よいアイデアは現場から生まれることが多いものです。したがって、上下関係の強いチームからは斬新なビジネスは生まれにくい。その上、世の中は急速に変化していますから、どこから新しいアイデアが湧き出すかわかりません。組織、チームのあり方を旧態依然の上下関係ではなく、フラットなものに変えていく必要があるのです。
他社とジョイントする場合も、上下の関係にならないかどうか、注意深く見極める必要がある。僕はそう思っています。この原則から外れてしまい、経済的メリットを優先させてしまうと、プロジェクトはおもしろみを欠いたものとなる。ソーゴー印刷に入社して何度か経験しましたが、それはほぼ間違いのない事実。最近になって、大手広告代理店、大手出版社とジョイントする機会を得ましたが、この点について何度も念押しさせてもらいました。
力関係の強弱ではなく、理念やビジョンに沿って力を合わせていくというビジネスの仕方。これがこれからの北海道には必要であって、旧来の弱肉強食型のビジネスから脱する必要があるでしょう。そのためには、理念を共有したり、目的を明らかにすることが第一。さらに、「相手を利用しよう」という考えを持たないことが重要。相手のメリットと自分のメリットを双方比較してみる必要があるのではないでしょうか。
地域企業の中にはジョイントビジネスが得意な会社と不得意な会社がありますね。我が社はこれまで不得意な会社だったといえるでしょう。少し軌道修正したほうがよさそうです。
大企業の場合は利害関係によるジョイントが多いような気がします。理念の異なる企業同士なのに手を結んでいる……。そう感じることがあります。
一方、北海道で盛んなのはマイクロビジネスのジョイント。個人の作り手同士がジョイントしたり、素材の提供、作品制作、販路の提供といったジョイントもある。「スロウ村の仲間たち」の中でもそうした関係が次々誕生しているようです。そういえば、今月発行したクナウムック「北の焙煎人」では、本とドリップパックをセット販売するというジョイント企画がありました。
すべて自社だけで完結させるというビジネスは成り立ちにくくなっています。これから有望なのは、理念型ジョイントビジネスではないかと思います。
