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全国ぷらざ協議会第94回勉強会

全国ぷらざ協議会第94回勉強会

おはようございます。
 全国ぷらざ協議会に参加するため東京へ。いつもと異なる会場。そして早い時間から始まるということで、千歳発の便を予約。このため、朝5時17分のミルキーライナーに乗る。8時発のエアドゥ。ここまでは順調だったが、羽田から目的地まで行き方を間違えた。10分くらい遅れそう……と思って、乗り換えを1回減らしてタクシーで行こうと考えたのが大間違い。付近にタクシーはまったくおらず、30分近く歩くことに。結局30分遅れで会場のH社に到着。講演は4本。さらにH社の印刷工場を見学。中身の濃い勉強会となった。いつも通り、懇親会では会員企業の興味深い事例を聞くことができた。

「過剰品質」という現状維持志向

今回の勉強会は半分くらいが印刷の話でした。それもオフセットではなく、異なる印刷方式の話。これから業界はこうなっていく……という話を予想していたのですが、よい意味で期待を裏切られました。人のやらないことをやる。そういう話。確かに、このような設備を備える会社は他にはないに違いない。
 だから利益率もいい。同じことをやると競争が発生しますから、利益率は当然落ちてしまう。この当たり前の事実に僕らは気づかなければなりません。気づくだけではなく、行動しなければならない。そう思わせる講演と会社見学でした。
 講演の中には「印刷機を自ら開発してしまった印刷会社」の話もありました。これまたすごい。自社の印刷物の特性に合うよう開発したところ、他社から引き合いがあって印刷機メーカーとなった。ユーザーは中国の印刷会社。日本の印刷会社との最大の違いは、品質に対する考え方の違いにあるようです。
 これは僕も日頃から思っていること。日本人は品質に対する要求が厳しい。日本の印刷会社の多くは、そう勝手に思い込んでいるんですね。もちろん高い品質を求められる印刷物もあるわけですが、「普通にきれいに印刷されてればよい」という印刷物が実は圧倒的に多い。この事実に気づかないと、どういうことが起こるか? そう、過剰品質になるわけです。
 講演テーマとなった印刷機で製造した書籍(中国の出版物)の見本を見ると、「日本人なら気になるかな?」というものがありました。しかし、それは表面のテカリが気になるといった程度。書籍用紙に印刷された本については、まったく違和感がなく、僕の目にはオフセット印刷と変わりなく感じられました。
 講演の中で「日本の印刷人はルーペを使って見る」と言っていました。そしてオフセットと比較して「まだ使えない」と考える。その結果、従来通りのやり方に固執する。これは我が社にも当てはまりそうな気がします。僕も網点を見るためのルーペを2本持っている。しかし、我が社の出版・広告部門の若手の人たちはそこまでは気にしていないはず(ただし、色味に対しては要求が厳しい)。技術を高めることは大事ですが、それ以上に感性レベルを高めることが求められているのではないかと思います。
 ビジネスのやり方が大きく変わるとき、品質が部分的に落ちてしまうことがあります。LPレコードからCDに変わったとき、オーディオマニアは質が落ちたと指摘していました。写植・版下からDTPに変わったとき、印刷人は「文字組みが崩れた」ことを嘆いた。オフセット印刷に慣れ親しんだ印刷人は、トナーやインクジェットの印刷物にも抵抗感を感じていることでしょう。しかし、ほとんどのユーザーは印刷方式など気にしない。「自分の見た目がすべて」なのです。

紙媒体が復権しつつある

紙媒体への回帰が進みつつある。そんな報告もありました。これは世界的な潮流のようです。日本はちょっと遅れているところがありますから、数年先の話かもしれません。ただ、IT企業が紙媒体を多用するようになってきているというのは周知の事実ですから、日本でも遠からず紙媒体の活用法がもっと論じられるようになっていくに違いありません。
 全体としては、ペーパーレス化の進むものと紙媒体を使うべきものとに分かれていく。何でもかんでもデジタル媒体ということにはならないでしょう。問題は「紙媒体によるプロモーションは古い」といった、古い考え方を持つクライアントの意識をどのように変えていくのかということ。この点、むしろ20代、30代の人たちのほうが理解度が高いように感じます。僕も含め、僕と同年代か少し下の年代の人たちは、妙に電子化したがる傾向にあるようです。反省せねばなりません。
 行きすぎたペーパーレス化と並んで、もうひとつ大きな問題となるのが印刷受注の地域間競争でしょう。これは北海道内で僕が講演する際にも主張していること。
 農産物や食品に関してはずいぶん地産地消という意識が定着してきました。しかし、なかなか次の段階に進みません。工業、商業の分野では、域外発注やネット通販が拡大していき、地元商工業者に支払われるお金が減っていく傾向にある。十勝は例外的に地元発注意識の高い地域だと思いますが、そうではないところでは間違いなく地域経済が疲弊していく。ちょっと考えればわかることなのに、「自分の懐は痛めたくない」という意識が強いのでしょう。地元の商工業が疲弊していくと、そこで働いている人たちの仕事が失われていく。ネット通販や域外企業へ安く発注できて得をした……と思っても、それは一時的な得であって、長期的には自分の顧客を減らすことになってしまうのです。自分の住む地域、商圏の人・企業がどうすれば豊かになっていくのかについて、敏感にならねばなりません。
 こうした話は講演テーマにはなりにくいため、懇親会の席での話題となります。その中にときどき有力なヒントがある。昨日も教えられることがありました。東京以外の印刷会社の抱えている悩みはほぼ共通しています。他地域の事例が非常に参考になる。2日目の今日は各地会員からの情報交換会が行われます。 

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