おはようございます。
日曜日、労働環境改善や働き方改革についての講義資料をまとめながら、自分の労働環境改善がすっかり置き去りにされているということに気づきました。ここは経営者の間でも意見が分かれるところ。「経営者は24時間働くべき」か「むしろ率先して休むべき」か? 両論あります。僕は「外形的には休んでいる」という状況をつくることが重要と考えています。しかし、2018年に入ってから、それがまったくできていない。これから改善していきます。
頭の中に情報をためすぎるのが問題なのでしょう。「脳は記憶装置ではない」という話がある本に書いてありました。情報を書き出す。ハードディスクなど別な記憶装置に記録する。脳本体はできるだけシンプルな状態を保つべきなのでしょう。
歳を重ねると増えていくものの中に「写真」があります。自分史づくりにおいて、写真は重要な要素となるもの。原稿執筆の前にきちんと整理しておくことが望ましいでしょう。
今回は写真の取り扱いについて話を進めていこうと思います。
壁一面に人生の歩みを再現する
デジタル写真が一般化したのは1990年代の後半あたりでしょうか。それ以前はフィルム写真。20代の人であれば、「物心ついたときからデジタル写真」という人が多いに違いありません。
一方、年配の人になればなるほど、自分の人生にとって重要な意味を持つ写真は紙焼き(プリント)の状態で保存されているはずです。あるいは、写真好きな人であれば、ポジフィルム(スライド)という人もいるかもしれません。
いずれにせよ、1990年代までのアナログ写真と2000年以降のデジタル写真が混在しているわけです。これらをどのように整理するのか? ここがひとつの課題となってきます。
写真の整理法は、フォトグラファーである僕にとっても頭痛の種。アナログ写真には、ネガ、ポジ、紙焼きの3種類が存在します。これを廃棄するようなことはまずありません。けれども、デジタル化されていないと使い勝手が悪い。僕の場合、記念写真に関してはできる限りデジタル化するようにしています。
紙焼きであれば、家庭用のスキャナー(または複合機)で十分。この際、画質にこだわるとものすごく時間を要することになります。さくさくデジタル化することが望ましい。スピードと画質の兼ね合いで設定を決めていきます。
問題はネガやポジの取り扱い。フィルムスキャナーでデジタル化する方法もありますが、ちょっと手間がかかる。思い切って、外注するというのも一案。わざわざフィルムスキャナーを購入するよりも合理的といえるでしょう。ネットで検索すると、スキャンサービスの業者がたくさん出てきます。
さて、こうして自分史に関係する写真をすべてデジタル化したならば、次に行うべき作業は「分類」ということになります。一番お勧めなのは、「7×7の法則」に沿って、7つのフォルダをつくり、そこに写真を収納することです。
どのような章立てにするか決めかねている場合は、とりあえず10年単位でフォルダをつくるか、「学生時代」「○○会社勤務時代」といった具合に、ライフステージごとにまとめていくのがよいでしょう。写真が多すぎる場合は、ここである程度選別することになります。
フォルダに写真を収納すると、映像を通じて当時の記憶がよみがえってくることでしょう。本のイメージが湧いてくるというものです。
写真はデジタルのままでもよいのですが、僕(1961年生まれ)から上の世代の人にとって、パソコン画面上ですべての作業を完結させるのは困難と思われます。そこで、デジタル写真をいったんプリントアウトします(出力は普通紙で構いません)。手もとに紙焼きがあればそのまま使ってもOKです。
映画やテレビドラマを見ると、よくFBIとか天才数学者が大型のホワイトボードを使っていることに気づくと思います。天才数学者の場合はなぜか黒板も登場しますね。ハイテク機器に囲まれているのに、なぜか手書きで数式を書いたり、容疑者の相関関係を書き込んだりしている・・・。なぜなのでしょう?
きっと、そのほうがイメージがつかみやすいからに違いありません。僕自身も、原稿を書く際にはホワイトボードを使用します。小さな紙片にアイデアを書き込んで、マグネットで貼っていく。そうしたプロセスを経て、ひとつの原稿を完成させることが多い。
この方法を自分史づくりのも応用してよいのではないかと思います。空間的に可能であれば、壁など広いスペースに写真を貼っていく。自分の人生数10年の歩みが壁一面に再現されているという状態にする。これだけでも感慨深いものを感じるはずです。
自宅にそうしたスペースを確保できない人の場合は、大型のスケッチブックのようなものでもよいでしょう。大きければ大きいほどよい。ページ見開き単位で写真を貼付していきます。写真はびっしり詰めて貼るのではなく、余白を設けるようにしてください。
ここまで完成させたたら、次は「それをしばらく眺めてみる」という時間が必要です。
写真を見て思い出したこと、文章にしたいことなどを写真の脇にメモしていきます。あるいは、関連深い写真があれば並べ替えるといった作業を行います。
自分の頭の中のイメージが壁一面、またはスケッチブックの中に表現されているという状態をつくる。人間の記憶やイメージは実に曖昧なものですが、このようにして壁や紙の上に記録していけば、翌日になっても1ヵ月後でも消えてしまうことはありません。さらに別な記憶や別な写真を加えていくこともできる。記憶を増殖させたり、編集し直したりできるのです。
雑誌の記事を書く際は、こうした作業を1日の中で行うことが多いのですが、自分史であればたっぷり時間をかけることができます。「アイデアはほぼ出尽くした」。そう思ってから、書き始めればよいのです。