
おはようございます。
ほぼ一日休日として過ごす。冬に備えての活動等。頭の中でこれからすべき仕事をまとめる。少し気が遠くなった。
スキャニングできるかどうか
たぶん、印刷会社が取り扱う中で一番小さな印刷物といえば名刺でしょう。ソーゴー印刷の昔の印刷物を見ると、名刺より小さな豆本のような冊子がありました。しかし、これは例外的なもの。日常的に印刷するものでは名刺が最小。
最小で、単価も低い。しかし、名刺ほどあなどれない印刷物はないのではないか、と僕は考えています。初対面の人に対して最初に使われるコミュニケーションツール。55×91ミリという小さな世界の中に、どんな情報が盛り込まれているのか。そこにメッセージ性があるかどうか。単に、社名、名前、住所、電話番号が載っているだけでよいのかどうか。
名刺を使うようになって30数年。実に多種多様な名刺があるものですね。デザイン的におもしろいものもあれば、素材に凝ったものもある。たまに活版印刷の名刺も見かけます。メッセージがすごいという名刺がある一方、著名人の場合は、シンプルに名前しか書いていないということもある。
ユニークな名刺というものは限りなくたくさんあるのですが、僕は今日的な意味での「よい名刺」というものがあるのではないかと考えています。
ただ、それは我が社の社内でも守られていない。僕が勝手にそう考えているというだけに過ぎません。それでも少しだけ持論を展開してみたい。
大した持論ではありませんが、僕は「スキャナーに取り込んで活用できる名刺であること」が重要ではないかと考えています。
したがって、サイズは55×91ミリであることが望ましい。これより小さすぎるものは取り込みにくい。紙質はさほど問いませんが、プラスチック等、特殊なものはやはり扱いにくい。たまに経木の名刺をいただくことがあります。これはギリギリOK。僕の使っているスキャンスナップでは特別硬いものでない限り大丈夫なようです。
次に名刺デザイン。写真をバックに白抜き文字といった名刺がよく見られます。これは画像としてスキャニングできても、文字としては認識されない。ちょっと困るというのが正直なところ。実は、我が社の中にそうしたデザインを採用している部署がある。「つながる名刺」(名刺を横に並べると手をつないでいるように見える名刺)という特殊な意図があるので、これはやむを得ないでしょう。コミュニケーションツールとしては秀逸だと思います。
フォントも要注意。特殊なフォントを選んでしまうと、OCRが機能しない。同じような理由で、縦書きの名刺も読み取りにくいもの。横書きで明朝体かゴシック体というのが望ましい……。
このように書いてしまうと、何のおもしろみもない名刺になってしまいそうな気がしますね。
コミュニケーションツールとして
名刺という印刷物には制約があるからこそのおもしろさがある。僕はそう思っています。55×91ミリの中で可能な限り簡潔にメッセージを伝える。それが名刺の役割でしょう。ときどき、2つ折り、3つ折りの名刺を受け取ることがあります。我が社でも、しゅん編集部が2つ折り名刺を使っていました(今もかな?)。これはメッセージがたくさんある場合やむを得ないことですが、僕はスキャナーで取り込むときにはカッターで切断し、社名、名前、連絡先が載っている部分だけを取り込んでいます。名刺にカッターを入れるときはちょっと申し訳ない気持ちになる。
メッセージがたくさんある場合には、QRかARを使うのがいいですね。もっとも、実際にスマホを操作する人は限られると思いますが……。
僕の考える理想の名刺は、白地に文字はスミ(黒)。老眼の人にも読みやすいよう、デザイン性を多少犠牲にしてでも「ちょっと大きめな文字」であること。フォントは明朝かゴシック。そして、横書き。
問題は、その他の情報をどうするかという点。社名、名前、住所、電話、メールアドレスといった基本情報だけでは、味も素っ気もない名刺になりやすい。メッセージもほとんど伝わらない。
したがって、メッセージ性のある何かを付加した名刺が多いのではないかと思います。経営者であれば、自社の経営理念や基本的考え方を名刺に盛り込むべきでしょう。営業系の人の場合は、個人的な情報を入れる場合があります。我が社の営業・編集者を見ると、出身地や得意なこと、趣味を入れたりする。コミュニケーションツールとして名刺を活用しているためでしょう。
僕の名刺では、表面には僕個人のスローガン、裏面には経営理念、行動指針、事業領域、主な事業内容、僕の個人ブログのアドレスといったものを記載しています。次に印刷するときにはQRコードを加えて、動画を見せられるようにしてみたいところ。
今僕の手元にある名刺を見たら、4割程度の名刺が表面だけの印刷でした。裏面が印刷されていないというのは、ちょっともったいないこと。個人的な情報でも、写真の一枚でも、何でもいいから印刷したほうがよいのではないかと思います。
それはどうしてかというと、名刺交換したとき、まず表面を見てからチラリと裏返すという動作を多くの人はすることになるのです。このとき、裏面が真っ白だと何となくバツが悪い……。僕は多くの人と名刺交換するうちに、両面印刷か片面印刷か直感的に判別できるようになりました(たまに間違えますが)。多くの人は名刺に特別関心を持っているわけではありませんから、何かあるだろうと思って裏返します。特別載せるべき情報がなかったとしても、両面印刷にしておくほうが相手に気まずい思いをさせずに済む。そんな、ちょっとした配慮が名刺印刷には求められますね。
