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第6回 自分史の基本ルール

第6回 自分史の基本ルール

おはようございます。
 雪かきで筋肉痛・・・という人はいませんか? 昨日は朝雪かきしてから札幌出張。北海道中小企業家同友会常任理事会でした。こういう会議に出席すると、自分には得意分野と不得意分野との間に極端な落差があることを思い知らされます。知っていること以外何も知らない自分。当たり前ではあるものの、僕はその傾向が激しい。スペシャリストタイプなのでしょう。
 幸い、会社組織の場合は自分の苦手分野を周囲の人がカバーしてくれるものです。ジャンルの異なるスペシャリストが大勢いて、全体をつなぎ合わせるゼネラリストタイプの人が数名いれば、組織はうまくまわっていくのではないか? そう単純ではないでしょうが、そういう会社からユニークな商品が誕生するような気がします。
 当然といえば当然ですが、自分史においても「登場人物が自分だけ」ということはありません。数多くの他人が登場するはずです。自分という人間が曲がりなりにもやってこれたのは、周囲の人の支えや助けがあったからこそ。したがって、どのように表現するかは人それぞれとしても、根底に感謝の念を持つことが自分史づくりを行う上では欠かせませんね。
 僕自身、ルールに縛られるのは好きではないのですが、今回は自分史づくりで最低限守りたいルールについて押さえておきたいと思います。

大前提は「誰も傷つかない」こと

もう10年以上も前の話、当社元常務で自分史のアドバイザーを務めていたSさんが、少し困った表情を浮かべていました。受け取った原稿の中に「他人に対する批判、中傷が含まれている」というのです。
 自分史だからといって「何でも自由に書いてよい」というわけではありません。自分が書き表したことによって、誰かが傷ついたり、不利益を被るようなことはあってはいけない。これは自分史をつくる上で最低限守らなければならないルールのひとつです。
 原稿を持ち込んだ先が当社でよかった・・・。しばらくたってから、僕はそう思っていました。入稿された原稿をただ本にするだけの印刷会社だったら、そのまま出版されていたに違いありません。Sさんは苦労したと思いますが、適切にアドバイスし、原稿には手直しが加えられたはずです。
 自分史には主観が混じってもいいし、むしろ主観的表現の中に文章としてのおもしろさがあると僕は考えています。ただ、気をつけねばならないのは、他人をおとしめる気持ちはさらさらないのに、批判、中傷が混じってしまうことがあることです。日常会話の中にもあるでしょう。ちょっと皮肉っぽい言い回しになったり、相手の弱みを突いてみたり・・・。それが文章になると、問題表現となりやすいのです。

他人には厳しくとも、自分には甘くなってしまうことがあるものです。自分に甘い文章を書くとどうなるか? そう、自慢や自己正当化と受け取られるような文章になりやすい。ここも注意すべきポイントです。
 できるだけ、自分という人間を客観視する。一部に主観表現はあったとしても、公平な第三者的視点から自分の人生を振り返るという姿勢を持つべきでしょう。
 自分の人生の中でもっとも輝かし出来事、逆にもっとも不本意だった出来事に対して、自分がどのような記述をするのか? ここに書き手の人間性や人格が現れるような気がします。ゴーストライターが本人に代わって書いた「自分史」であれば、適度に抑制された表現となるため問題は起こらないでしょう。けれども、自分で書く自分史の場合は注意が必要です。

もっと問題が大きいのは、事実に反した内容を書いてしまうことです。そこまでひどいことはないだろう・・・と思いたいのですが、自分の記憶というものは曖昧にできているもの。記憶の曖昧なところに「偽の記憶」が植え付けられると、それが本物であるかのように思い込んでしまうことがあるものです。
 自分でも本当はそれが事実ではないとわかっていながら、あとから植え付けた「偽の記憶」を本当の出来事として記述してしまう・・・。自分史において、あり得ない話ではありません。自分が信じたいと思っている虚偽の事実。それは断固として排除するようにしましょう。事実に反した文章を書いてしまうと、本が完成したあと必ず後悔することになります。自分の中にある良心が傷つくのです。

たとえ事実であったとしても、書いてはならないことがある。そのこともぜひ心に留めてほしいと思います。
 以前、ある新聞に連載された著名人の自叙伝の中に、「こんなことを書いてよいのだろうか?」と思うような事実が書かれていました。それは自分が当事者だったら、絶対に書いてほしくないと思うような出来事だったのです。
 人間誰にも人目にさらされたくない秘密というものが存在します。たまたま他人がその秘密を知ってしまうこともあるし、秘密を共有することもあるでしょう。自分史を興味深いものとするために秘密を明かしたい・・・。そんな欲求が湧くことはあっても、それを実行に移すべきではありません。家族、友人、同僚の秘密は守られるべきなのです。
 問題の自叙伝はその後どうなったのかというと、後日、小さな「お詫び」が載っていました。関係者にとっては「お詫び」では済まされないこと。文章中に他人を登場させる際には、あらかじめ了解を得ることが基本といえます。

自分史づくりにおいて守るべきルールをまとめておきます。
1.他人を批判、中傷しない
2.自慢をしない
3.事実に反したことを書かない
4.他人の秘密を書かない
 本を読んだ人が心豊かになる、ハッピーな気持ちになる。そんな自分史づくりを心がけるようにしましょう。今朝はちょっと重い話になってしまいました。朝食は軽めにして、午後、釧路へ行ってきます。

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