
こんばんは。
今日は夜遅くまで活動することになりそう。そして明日は朝7時から次世代幹部養成塾。ふだんなら早朝に書くブログですが、今回は今の時間帯に書き終えておかねばなりません。
約半日、自宅で来年出版予定の本の修正作業を行っていました。校了まであとちょっとというところ。だが、油断は禁物。意外なミスが発見される可能性がある。今回は内校してもらおうと思います。
夕方7時からは中小企業家同友会とかち支部12月例会が開催されます。今日の講師は(株)平塚建具製作所の平塚勝也社長。南空知支部支部長でもあります。演題は「働く人が幸せになる会社づくりとは」。同社の社風、人材育成にはとても関心があります。どんな講演になるのか楽しみです。
能力より大切なもの
同友会では40年以上も前に「労使見解」が発表され、「人を生かす経営」の実践運動が展開されてきました。日本ではここ数年、「働き方改革」という言葉が使われるようになりましたが、同友会でははるか昔から「働き方改革」の先を行く概念が会員間で共有されていたのです。
とはいえ、中小企業経営において、真の意味で「人を生かす経営」が実践されていたのかと問われれば、YESと即答できる企業はなかなかないに違いありません。我が社にしても同様。厳しい経営環境の中で人も企業も生き残っていかねばなりません。社員のみんなには無理な負担をかけてきた面があったのではないかと思います。ですから、一部の社員が不満を持ったり、自社に失望を感じてしまう……というのも無理からぬことかもしれません。全員に満足を与え、幸せにすることなど不可能に近い。そう考えることがあります。
それでも、「自社の存続・成長」と「社員の成長・自己実現」を目指して、企業経営を行っていく。そこに企業経営者の使命があるし、その中に仕事の喜びがある。そう考えることのできる人が社内でリーダーとなり、経営幹部となり、経営者となっていく。
僕の場合は、ある日突然経営者になっていたというパターンでしたから、頭では理解できても、体と心がなかなかついていかず、しばらくの間ちくはぐな生き方をしていたと思います。この点、後継者として心構えができていて、自社のことを知り尽くしている人は立派な経営者になる可能性が高いはず。人生は何が正解かわかりませんが、「ある日突然」はリスクが高い。
僕の理想とする事業承継のイメージは、経営者と血のつながりのない社員が跡を継ぐ決意を固める……というものです。この場合、ある日突然、開眼することが望ましい。実力の高い低いではなく、気づきが深いかどうかがポイントでしょうね。何に気づくかにもよりますが……。
企業経営者には、たぶん高い能力が求められるでしょう。「たぶん」と書いたのは、この考えに異を唱える先輩経営者を何人か知っているからです。能力は高いほうがよいが、それ以上に大切なものがある、という意味。それは自社に対する深い愛着心であったり、人格・人間性であったり、強い使命感であっったりするでしょう。とりわけ、自分以外の人に対してどのように思っているか、どんな影響を与えたいのか? このあたりが重要となるはず。
人の中にある良質な部分を引き出す
僕はあまりのストレートな言葉に驚いたことがあります。それはもう10年以上も前のこと。ある会社を取材した際、「人を幸せにする」という理念が掲げられていたのでした。事業領域のことも、幸せにする方法についても触れられていない。「これだけ?」とそのときは思いました。
けれども、その会社では常識にとらわれない不思議な(僕から見ると神秘的な)経営が行われていました。やり方は何でもいい。今ならそのことが多少は理解できるようになりました。自分の考え方は革新的で常識にはとらわれていない……。そんな自己イメージが以前はあったのですが、今考えると僕はずいぶん保守的で現状維持的傾向が強いことがわかります。もっとシンプルに「人を幸せにする」ための活動に専念しなければ。自分の仕事も会社の事業活動も、ひと言で表現するならば、そのためにある。
ほとんどの社員も、やはり「人を幸せにする」ことを考えながら働いているに違いありません。実際には、目の前の仕事に困難を感じたり、人とのトラブルに悩まされたり、自己中心的な考えにとらわれたりすることも多いでしょう。それでも、自分の中にある良質な部分を探し出す努力をしてみると、ちゃんとあるもの。誰かを幸せにしたい。そう考えている自分がいるのです。
そうした良質な気持ちを引き出してあげることが人材育成の最大の目標なのではなかろうか? 平塚氏の講演を聴く前なのに、勝手にそのような話になることを予想してしまっている自分がいます。
働く人が幸せになる会社。それは、仕事を通じて誰かを幸せにする喜びを実感できる会社……。そう言ってもよいような気がします。
我が社の場合はどうなのだろう? そうした実感が得られているだろうか……。この点、至らないところが多いと反省せねばなりません。我が社の商品の中には、人に喜ばれているものが多数存在しています。実際に礼状が届くこともある。礼状の場合、回覧したり掲示板に貼っておくこともある。けれども、直接伝えられた言葉について、社内でいつも共有しているわけではありません。もっと、社内の隅々にまで伝える仕組みが必要です。内勤で働く人の場合、誰にどのように喜ばれているのか、ちゃんと知らないことがある。この点、改善せねば……。
人は仕事を通じて、さまざまなものを得ています。最初は形に見えるものを得ようとする。やがて成長とともに、目に見えない価値を求めるようになっていくものです。与えることで与えられる。多くの人はどこかでそのことに気づくわけですが、僕の場合は気づくのがちょっと遅かったかな……。僕より早い段階でこのコツをつかんだ人は、きっといい後継者になるのではないかと思います。