file 28 チビスロウ

file 28 チビスロウ

おはようございます。
 朝は役員会。終了後、自宅に戻って原稿執筆。1時間ちょっとだが80%まで書き進めた。昼は帯広ロータリークラブ例会。担当なので休むわけにはいかない。午後は帯広市内で取材。風邪の症状が明確になりつつある。夜のうちに完了させねばならない仕事が少なくとも2本ある。どうしたものか……。そう思っていたら、電話がかかってきた。
 またしても、奇跡が起きた。やや次元の低い奇跡かもしれないが、ともかく僕としては救われた。今日予定されていた網走取材が延期になったという連絡だった。僕にはこの手の奇跡がやけに多い。とことん困った状況になると、必ずといってよいほど、動かしがたい予定が動く。しかし、本当は僕の仕事スピードを上げるのが本筋だ。この課題は来年に持ち越されることになった。

チビスロウの元祖は……

昨日は「スロウな旅北海道」について書きました。考えてみると、「チビスロウ」も旅をテーマにした媒体という位置づけになっています。ただ、最初に誕生したチビスロウはもっと別な役割持った媒体でした。このあたりの経緯を知る人は少ないかもしれません。
 2004年、スロウを創刊した当時、「この本を多くの人に知ってもらい、購入してもらうにはどうすればよいか?」について、編集部の中で議論を重ねていました。その頃は月刊しゅんがすごい勢いで成長していました。フリーマガジンの影響力に自分たちでも驚いていたほど。
 スロウのダイジェスト版をつくり、フリーマガジンとして配布してみてはどうだろう……。そんなアイデアが誰かの口から出てきました(発案者は不明)。会議の中では「子スロウ、孫スロウができたらおもしろいね」といった話もありましたが、「コスロウ」では変なので、結局「チビスロウ」という誌名に落ち着きました。
 フリーマガジンですから、広告営業を行いましたが、さほど広告が入るわけでもなく、あくまでも「本誌スロウの認知度を高める」というのがチビスロウの使命。ですが、目立った効果を上げるには至らず、4号目のチビスロウを最後に発行されなくなりました。
 編集部の人たちがチビスロウのことを忘れかけていた頃、意外なところからチビスロウ復活の話が飛び込んできました。鹿追町観光協会のどなたかがチビスロウのことを覚えていてくれたのです。チビスロウを町のPRに使えないだろうか……。そんなところから、チビスロウ鹿追版が誕生しました。2008年のことです。
 第1弾が好評だったためか、鹿追町では3年連続でチビスロウを発行することとなりました。他の自治体にも採用され、鹿追町、東川町、黒松内町などでも発行。チビスロウ、及び関連媒体は29冊を数えるまでになりました。

まちおこしのツールとして

チビスロウのビジネスモデルはちょっとユニークなものです。本体価格300円とありますが、これを書店、コンビニ、ウェブサイトで販売しても黒字になることはまずありません。
 チビスロウは各自治体の観光協会(他団体の場合もある)からの依頼を受けて制作されます。取材・制作費、印刷・製本代がこの時点で発生します。つまり、チビスロウは印刷会社のビジネスモデルに近いのです。我が社としては、受注した時点で利益が確保できるという仕事。ですから、本の販売収入は手数料を差し引いて、発注元に売上を還元するという仕組みを採用することが多い(方式の異なる自治体もある)。
 チビスロウはビジネスとしてもおもしろいのですが、それ以上に興味深いのは「それぞれの町に観光資源が眠っている」ということでした。
 チビスロウでは、ひとつの町、ひとつの村を集中的に取材していきます。中には「うちの町で一冊つくるのは大変でしょう?」と心配される方もいます。けれども、そんなことはないのです。町の中には地元の人でも知らないような魅力的な場所や人が存在する。あるいは、知っていても本当の魅力について知らなかった……ということが多い。
 取材は観光協会の協力を得ながら進めていくことになりますが、取材・編集に関してはほぼ当社にお任せいただいています。ここが重要なポイントで、当社が一制作会社という位置づけになると、従来通りの観光パンフレットになってしまうでしょう。スロウ編集部の視点から取材・編集することがチビスロウでは欠かせないのです。
 チビスロウには波及効果があって、僕らも知らなかったその町の魅力が発掘されることがあります。チビスロウで取材したところを、改めてスロウ本誌でも取材する。そんなパターンもある。今は「スロウな旅北海道」や「keran keran」もありますから、ひとつの取材先を複数媒体に紹介させていただくこともある。観光PRという点で有効なのではないかと思います。
 チビスロウを発行したことで、「住民の意識が変わった」という話を聞いたことがあります。今は割合少なくなりましたが、「自分の住む町には何もない」と思っている人がいるのです。買い物をする場所や遊ぶ場所がない。観光資源がない。たぶんそんな意味でしょう。
 けれども、それらに代わる奥深い魅力がある。チビスロウで誌面に紹介すると、自分の近所の人が魅力的に取り上げられていたりする。メディアに登場することで再発見する……。これは僕らもときどき体験することです。テレビや新聞に載ったことで、その価値を再認識するということがある。
 これはまちおこしにちょっとした刺激を加えるものといえます。自分や近所の人たちの行っている仕事や活動には価値がある。そして、自分の住む町にはたくさんの魅力が埋もれている。それを掘り起こすのがまちおこしということになるのでしょう。チビスロウはそのきっかけ作りのためのツールと言ってよいのかもしれません。

ソーゴー印刷株式会社

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高原淳写真的業務日誌