高原淳写真的業務日誌 > 北海道の仕事と暮らし > 北海道の仕事と暮らし30 本物を伝える難しさ

北海道の仕事と暮らし30 本物を伝える難しさ

北海道の仕事と暮らし30 本物を伝える難しさ

おはようございます。
 ある種の奇跡によって得られた1日を有効に活用せねばならない。まず、猛然とメールに返信していった。保留状態のものが多数あった。案外時間を使ってしまった。次は原稿執筆。こちらは2時間弱で完成。さらに、帯広市産業振興会議の事前課題。少し考えたが、1時間ほどで記入を終える。他に、スケジュール調整、事務的活動等。風邪の症状は相変わらず。その割には仕事が進んだ。あとは睡眠時間を確保することに努めるだけ。陶盤浴で体を温めてから眠った。

減ってしまった本物

帯広市産業振興会議では「集客・交流部会」に所属しているため、必然的に十勝の観光のあるべき姿について考えることとなります。十勝と同時に、僕は北海道についても考えることが多い。
 北海道、十勝には限りませんが、これからの観光のキーワードのひとつは「本物」だと考えています。というのも、何だか、ここ50年くらいの間に本物と呼べるものがずいぶん減ってしまったような気がするのです。
 本物が駆逐されてしまう理由は、「偽物」や「本物に見えるもの」や「不自然なもの」のほうがある種、魅力的に見えてしまうからではないかと思います。僕が初めて味わった不自然体験。それは、漬物に化学調味料を振りかけるという行為でした。これは当時どの家庭でも普通に行われていたのではないでしょうか。そのまま食べて十分おいしいはずなのに、化学調味料をかけるともっとおいしいと信じて食べていた。子供ながら、実際においしいと感じていたのかもしれません。
 今なら、自然のままのほうがおいしいと断言できます。たまにジャンクフードを食べるというのはアリだと思います(その人の体質にもよりますが)。けれども、本物の食べ物の味を知らないと、本物と偽物、自然と不自然の区別がつかなくなる。区別がつかないと感性は豊かになっていきません。残念ながら、市販の漬物の多くには不自然な添加物が入っています。苦労して探すか、自分で作るしかありません。
 食べ物の話であれば、非常にわかりやすい。しかし、文化、芸術、イベント、レジャーといったものになると、本物と偽物、自然と不自然の区別はつきにくいですね。また、今存在するものを偽物、不自然と断じてしまうのも、ちょっとおかしいような気がします。本物至上主義に陥ってしまうと、非常に堅苦しく、楽しめないものとなってしまいそうです。
 そもそも、観光というものは適度に偽物が混じっているほうが楽しめるのではなかろうか? 観光客が求めているものは「本物100%」よりも「本物に見えて旅行者でも気軽に楽しめるもの」でしょう。わかりやすいところでは、テーマパークが挙げられます。人工的に再現したちょっと本物っぽい空間。動物園や美術館のように、人工的空間に本物の生き物を配置した施設もたくさんあります。
 やはり、食べ物ほど明確な区別はつけにくい。人工的空間だから偽物ということにはならない。メッセージが本物であれば、見せ方や伝え方はさまざまあってよいはずです。

新しい本物を育てる

ここで僕が伝えたいのは、表面的な体裁だけ整えた観光施設や観光者向け商品は次第に支持されなくなっていくのではないかということ。メッセージが本物であるかどうか。
 たとえば、こういうケースが考えられるのではないかと思います。楽しさや感動をウリにしている観光施設であるはずなのに、出入りする業者に対して乱暴な口をきいたり無茶な要求を強いたりする。そういうことがあると、どんなに素晴らしく見える施設であっても、一部の人にとっては苦々しい記憶が刻まれた場所ということになります。本来とは正反対のメッセージを受信することになるのです。人間には敏感なところがありますから、旅行客もそうした不自然なところ、偽物っぽいところを感じ取ることになるでしょう。
 道内を取材していてときどき感じるのは、「本物」を感じる人や企業はどこかしら控えめなところがあるということです。控えめではない「本物」もある一方、控えめな「本物」が非常に多い。このため、ひっそりと活動していたり、知名度が低かったりします。
 理由はいくつかあると思います。ひとつには「量産できない」というものがあるでしょう。注文が増えても対応できない。だから、今くらいのペースがよいというわけです。
 また、団体客が来られると困る……というのもよく聞く話です。あくまでも自然な環境や静けさを保ちたい。経済活動という側面はあるものの、売上よりも優先させるべきものが確かに存在する。「本物」を大事にする人・企業であれば、どの程度まで許容できるのかについて考えているはずです。
 北海道の観光を考える際、これから重要になってくるのは、「いかに本物に近づけていくか」ではないかと思います。これまでのことは過去なのですから、変えることはできません。変えられるのはこれから。今は不自然だったり、偽物が混じっていたとしても、これからいくらでも変えていくことができる。
 これまでよりも少し「本物」に近づいている。そういう活動の仕方を北海道のあらゆる人・企業が行っていけば、大きく変わっていくに違いありません。
 我が社にも僕個人にも、本物と偽物、自然と不自然が混在しています。その事実を認めながら、できるだけ「本物」と自信を持つことができるような事業活動、商品展開を行っていくことが重要ではないかと考えています。
 十勝は観光地として伸びしろが大きい。本物を育ているような施策が望まれます。何が「本物」といえるのか? その定義は容易ではありませんが、僕としては「本物の魅力が詰まった十勝」というものと打ち出していきたいと考えているところです。

〒080-0046 北海道帯広市西16条北1丁目25
TEL.0155-34-1281 FAX.0155-34-1287

高原淳写真的業務日誌