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北海道の仕事と暮らし36 みんながガイド

北海道の仕事と暮らし36 みんながガイド

おはようございます。
 午前10時、K社T社長、O社M社長とともに帯広市役所へ。1時間ほどミーティング。11時半、自宅でスロウ編集会議。午後1時、再び市役所。帯広市産業振興会議の集客・交流部会。全委員が揃った。事前課題に沿って議論、検討が進められていく。僕は部会長で進行役。議長にはまったく向かないタイプなのだが、積極的、前向きの意見が多く、重要課題が集約されていくような手応えを感じた。4時、トマムに向けて出発。5時到着。視察と打ち合わせ。観光について考える一日となった。

情報編集力

帯広市産業振興会議の集客・交流部会の検討テーマは、「観光」に限定しているわけではありません。しかし、観光が重要であることに変わりはない。僕のイメージでは、旅行者→リピーター→季節移住→移住という流れをつくりだすこと。あるいは進学・就職等によって道外に住んでいる人が十勝にUターンしてくれること。
 まあ、そう簡単にUIJターンというわけにはいかないでしょう。まずは「十勝を気にかけてくれている」という状態をつくり出すのが第一段階ではないかと思います。会議の中では「十勝のファンを増やすことが大事」という発言が出ていました。
 新しいアクションを次々起こして、十勝に観光客を招き入れる……というよりも、「今の取り組みの精度を高める」「来ていただいた旅行者に快適に過ごしてもらう」といった意見が多かったと思います。まだ十分集約し切れてはいませんが、「数を追う」よりも「満足度を高める」ことのほうが重要だという点ではだいたい一致しているのではなかろうか? 
 これに関連して、僕のノートには2つの課題が書き込まれていました。ひとつは「地元に住む人が地域の魅力に気づくこと」。これはずっと以前から考え続けていること。スロウ創刊時からのテーマのひとつとなっている事柄です。
 もうひとつは「情報の編集」。この課題に関しては、比較的多くの時間が費やされましたが、まだ十分議論が深められているとはいえません。たぶん、我が社の編集部で議論しても、話が尽きないのではないかと思います。
 僕らは雑誌をつくる仕事をしているため、情報の編集に非常に熱心。単純に情報を伝えるのではなく、何らかの形で編集しようとする。情報収集し、取捨選択し、本質を浮かび上がらせたり、伝わりやすいよう加工したり、自分たちの考えや思いを付加するなどして、世に送り出す。
 どの程度まで加工すべきか、どこまで主観を表現すべきなのか? これは編集者によっても、媒体によっても違いがあります。いずれにせよ、情報は編集することによって価値が高まる。地域の魅力を発信する決め手のひとつは、情報編集力であると僕は考えています。
 同じような視点から、ガイドの重要性についても議論されていました。たとえば「青森のリンゴ産地の子供たちはリンゴの種類を全部知っていて、味の違いや食べ方についてもくわしい」といった話が出ていました。十勝に置き換えてみると、大いに考えさせられる事例です。畑の風景は十勝の大きな魅力のひとつですが、その作物について説明できる人がどれだけいるのでしょうか? 帯広空港から市内までの道すがら、旅行者に対してこうした畑のガイドができるかどうか。ちょっとした違いですが、十勝の魅力を伝えるという点では大きな違いのように思えます。

自分の住んでいる場所を好きになる

僕の記憶では、「子供ガイド」と「ガイド教育」の重要性が語られていたと思います。ガイドの質を保つためのガイドラインといった話も出てきたはず。意見を聴きながら、これは非常に大切なことだと感じていました。
 学校現場では地域エンゲージメントを高めるような教育が不可欠だと僕は考えています。そのためにもっとも有効なのは、地域の魅力、地域の産業について知ること。世界を知ることと同じくらい、地元を知ることも大切なのです。
 ですから「子供ガイド」といった考え方がこれから重要になってくるに違いありません。大人の教育も大事ではありますが、将来を担う今の子供に対して、もっと地域について知識を深めてもらうこと。これは数年では結果が出ない取り組み。長期にわたるプロジェクトといえるでしょう。産業振興ビジョンに盛り込むべきテーマといってもよいのではないでしょうか。
 大人は大人で、ある年代に差し掛かると「自分の住んでいる場所」について深く考えるようになっていくものです。それは自分の生まれ故郷かもしれないし、移り住んだ場所かもしれません。長く暮らした場所には複雑な感情や思い入れがあるもの。当然、謎も多く隠されていて、「ちゃんと知っておきたい」という欲求が湧いてくるのが自然といえます。
 たまに郷土史研究家の方々を取材することがあります。訪ねると、年配の方であることが多い。年を重ねることによって高まっていく知的欲求というものがある。自分はなぜここにいるのか? 自分の住む町はどのようにして誕生したのか? このあたりを知っているかどうか。それによって、人生の豊かさはずいぶん違ったものになるのではないかと思います。
 子供も大人も自分たちの住んでいる地域について詳しくなる。そして、旅行者に対して説明できるようになっていく。「みんながガイド」という地域になっていったとすれば、間違いなくそこは魅力的な地域となるはずです。愛は知ることから始まるわけですから、知れば知るほど地域への愛着は増していく。
 やはり、帯広及び十勝の産業振興は「教育」が最重要テーマとなるのではないかと確信しました。家庭教育、学校教育、職場教育、生涯教育。あらゆる段階で教育の質を高める必要がある。進学や業績向上だけが目的ではありません。「自分の住んでいる場所を好きになる」ことが何より重要であり、その結果として旅行者が増えたり、地域経済が活性化することにつながっていくわけです。それぞれの立場から情報を編集し、伝え続けることが重要だと感じています。

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