第10回 推敲と校正

第10回 推敲と校正

おはようございます。
 昨日は幹部会議の日でした。僕が入社したばかりの17年前には3時間近くかけて会議が行われました。ヘトヘトになりました。今はだいたい1時間以内に終わります。昨日は30分。最短記録かもしれません。あっさりしたものです。最大の違いは何か? 「会議の場で考える」か「会議の前に考えるか」の違いでしょうね。
 文章を書く際にも、パソコンの前で考えるか、書き始める前に考えるかによって、書くスピードが違ってきます。頭の中がまとまってから書くのが理想。とはいえ、いつもすっきりまとまっているとは限りません。少し混沌とした状態でも構わないと思います。その場合は、推敲にしっかり時間をかけるようにしましょう。

推敲も校正も「重ねる」こと

まず、推敲と校正の違いを明らかにしておきたいと思います。
 推敲というのは、自分の書いた文章の内容や構成を練り直す作業のこと。わかりやすく書き直したり、文章表現上の手直しを行っていくことをいいます。
 一方、校正のほうは、文章の内容を変えるのではなく、誤字、脱字などの間違いを正していく作業。したがって、推敲は基本的に書き手が行うものですが、校正はプロの校正者に任せることもあります。自分で校正し、再度校正者に見てもらうというのが確実ですね。
 自分史づくりにおいては、原稿執筆、推敲、校正の順番で進められることになるでしょう。

僕が入社したばかりの17年前には3時間近くかけて会議が行われました。ヘトヘトになりました。今はだいたい1時間以内に終わります。昨日は30分。最短記録かもしれません。

僕が入社したばかりの17年前、毎回3時間近くかけて会議が行われていました。終わる頃には、もうヘトヘト。今は同じ内容でも1時間以内。昨日の幹部会議は30分でした。最短記録かもしれません。

どちらでも、意味は通じるでしょうが、推敲前(上)では「ました」が続いているのが気になります。「行われました」より「行われていました」のほうが適切と思えます。さらに、「もうヘトヘト」とすることで、その時の気持ちを強調してみました。
 まあ、この程度の推敲は微調整レベルといえるでしょう。大がかりな推敲になると、作業は困難なものとなることもあります。僕の著書「激訳・キャリアデザイン」(2017年出版)では、1000文字単位で削除したり、別な原稿に差し替えたりしました。これを推敲といってよいのだろうかというレベル。
 甘い見通しで書き始めると、推敲作業の段階で非常に苦労することとなります。まずは原稿執筆の段階で完成度を高めておくことが基本ですね。
 完成度の高い文章ができあがったとしても、最後に読み通してみると「何となく物足りない」と感じることもあります。あるいは、書き終わったあとに、アイデアがひらめくことも。「推敲を重ねる」という言い方があるように、一度の推敲で満足してしまうのではなく、時間の許す限り何度でも「もっとよい文章にならないだろうか」と検討を重ねていくことが重要です。

一方、推敲に比べると、校正作業のほうが簡単に思えます。間違いを正すのですから、見落としがないよう、注意深く文章をチェックしていけばよいということになります。
 しかし、僕の場合は仕事で30年書き続けているというのに、未だに完璧な校正ができずにいます。注意力が求められますし、水準以上の日本語能力も必要となってきます。自分史を出版する際には、やはりプロの校正者がいる印刷会社や出版社に依頼するのが妥当でしょう。ただし、それでも完璧ではないと認識すべきです。市販の本を読むと、ときどき誤植や誤用を発見するものです。
 校正のポイントは次のようなものです。
・単純な入力ミス
・固有名詞に誤りはないか
・数字は正しいか
・表記が統一されているか
・英数字や記号などが適切に半角、全角になっているか
・日本語として正しいか
 このうち、入念にチェックすべきなのは「固有名詞」と「数字」です。人名、地名、社名に誤りがあると、出版後に問題となることがあります。訂正シールで対応するくらいしか対処法がありませんから、印刷前にしっかり確認しておくべきです。同様に、「数字」の取り扱いも重要となります。何といっても電話番号。自分史に電話番号を載せることはまずないでしょうから、さほど心配は要りませんが、フリーマガジンや雑誌の編集部では入念に校正が行われています。

ここでは入稿前の校正について説明してきました。印刷会社や出版社では、通常、「印刷物の仮刷りと原稿を照合し、誤植や体裁の誤りを正すこと」を校正といっています。校正も推敲と同じように何回も行われるものです。通常は一校、二校と二度校正を行い、校了(校正を終えて印刷にかかること)となります。また、発色の具合を確認する目的で出力される「色校」も校正の一種です。自分史の場合は、表紙、カバーの色校を確認する必要があります。
 校正は地道な作業となりますが、手を抜くと本のクオリティを落とすことになるばかりではなく、思わぬトラブルを招くことにもなりかねません。自分だけが読む本であれば問題ないでしょうが、広く読んでもらいたいという自分史であれば、幾重にも確認し、完璧を目指すようにしましょう。

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高原淳写真的業務日誌