
おはようございます。
午前10時半、マレーシアから38名のお客様が来社。まずは会社見学。後半は我が社の事業紹介。時間は30分。僕が日本語で話し、それを英語と中国語に通訳。話すことのできる分量は10分程度ということになる。質疑応答も活発に行われた。続いて記念品の交換。ペトロナスツインタワーの置物をいただく。こちらからは僕の写真集「記憶の中の風景2」を参加者全員に。その結果、どうなったか? 僕のサイン会のようになってしまった。出発に30分以上の遅れが出た。
午後1時、帯広信用金庫中央支店セミナールームへ。予定より若干遅れて「マレーシア経済団体OE北海道と十勝企業の交流会」が開催された。OEはOutstanding Entrepreneurの略。起業家の集まりで、会員は1000人ほどいるらしい。交流会には北海道十勝総合振興局の三井局長、帯広商工会議所の野村副会頭をはじめ、十勝から18名様が参加。あいさつの後、参加者紹介、記者会見、記念撮影、自由交流(ビジネスマッチング)が行われた。短い時間ではあったが、具体的なビジネスの話がいくつか出ていたようだ。僕のところにも具体的提案が寄せられた。3時過ぎ終了。マレーシアの起業家38名はバスで千歳へ向かって出発した。
4時、中小企業家同友会とかち支部四役会、4時半、幹事会。7時から帯広経営研究会総務広報委員会。
目的の明確な旅
久しぶりに「ソーゴー印刷事業案内」を再開します。
昨日の会社案内や交流会は、当社の「Slow Travel HOKKAIDO」(STH)という部署が企画したもの。昨年末、第2種旅行業となり、海外の募集型企画旅行以外は自由に扱えるようになりました。しかし、知識、経験、ノウハウは不十分……というか、まだまだこれからという段階。今回のマレーシア経済団体OEのツアーでは、一部を担当させていただいたのみ。
それでも我が社にとっては大きな一歩でした。交流会の中では「これからどんなツアーを行っていくのか?」といった質問を受けました。もっと十分に時間があれば、本当はたっぷり話したいテーマ。通訳を介して数分で伝えられることではなさそう。僕らのツアー事業のコンセプトは文章にまとめておく必要がある、とわかりました。
これからの旅は、たぶん目的の明確なものが増えていくはずです。北海道には見どころがたくさんあるといっても、観光地めぐりばかりでは物足りなさを感じることになるでしょう。今回は企業経営者ばかりのツアーでしたから、視察・研修旅行という明確な目的がありました。目的が明確になると、参加姿勢が積極的になるものです。旅にもいろいろありますが、きっとこのほうがおもしろいに違いありません。
目的が明確で、見た目的には正反対という旅もあるでしょう。僕が少し憧れているのは「何もしない旅」。仕事につながるようなことをまったく何もしないという旅。僕の場合、写真や文章を書くことから離れることができないため、プライベートな旅であっても何もしないということはあり得ない。そして、「これは仕事につながるのではないか?」とつい考えてしまいます。
考えることすらしない。そんな旅もアリでしょうね。
旅に求めているもの
1988年、ソウルオリンピックの年の春、僕はソウルに3週間ほど滞在していました。その間、寝起きしていたのは1泊800円程度の安宿。部屋は3畳くらい。ネズミが屋根裏を駆け抜ける音が聞こえてきました。部屋の外には共有スペースがあって、そこにはいつも数名の外国人がたむろしていました。一番長時間いたのはオーストラリア人。次がフランス人。日本人もいましたが、コーヒーを飲み終えるとさっさといなくなった。毎日がそんな感じ。
僕が不思議に思ったのは、このオーストラリア人は「何をしにソウルへやってきたのか?」ということ。いつもそこにいる。宿の外へ出て行ったところを見たことがない。しかも、僕以上に長く滞在しているのです。本人はジャーナリストと自称していました。ちょっと怪しい。何かから逃れ、潜伏することが目的だったのだろうか? 当時としては大きな謎でした。
それから30年。僕にも少しわかってきました。見どころを訪ね歩かない旅。もっと積極的(?)な言い方をすれば、極力何もしない旅。その魅力がわかってきた。僕の勝手な想像では30年前に知り合ったオーストラリア人は、自分の何かをリセットしようとしていたに違いありません。同じような宿泊客が他にもいました。きっと、1ヵ月も2ヵ月も安宿に泊まり、雑念を取り払ってから、次の人生をスタートしようと考えていたのでしょう。
「何もしない旅」はちょっとハードルが高そうな気がします。「のんびりした旅」であれば、誰もが気軽に体験できるでしょう。いま、社内でどんな旅が企画されているのか、僕はまだ詳細を知りません。できれば、ひとつくらいは「旅行日程がスカスカな旅」といったものを商品化してほしいと思っています。一日中宿に滞在、適当に周辺を散歩してください……といったツアーがあってもいいですね(たぶん商品化は困難)。
僕の好きな旅のスタイルは、現地でレンタカーを借り、宿を予約せずに気に入った町でモーテルに泊まるというもの。そして、近所のスーパーで食材を購入し、料理をする。求めているものは非日常ではなく、いつもとは違う日常だったような気がします。
そういう旅をしなくなってから20年も経ってしまいました。北海道でならできるはずですが、残念ながらキッチン付きという宿が非常に少ない。「新鮮な日常」を求める旅行者に向けた施設がもう少し豊富にあるといいですね。
我が社のツアー事業がどのようなものになるのかはわかりません。案外、自分の内なるニーズに耳を傾けると、ユニークな商品が誕生することになるような気がします。