
おはようございます。
「激訳・自分史作成講座」も10回を数えました。これまでは自分史の原稿づくりの話。後半は出版までの道のりについてお伝えしようと思います。
今朝は日曜日なので、ちょっと本論から離れた話をすることにしましょう。思いつくまま書くので、どんな展開になるのかわかりませんが、仕事人生の話になると思います。
一昨日の朝は、次世代幹部養成塾第9講でした。毎月前半の塾では読書会が開催されています。今月の課題図書は僕の書いた「激訳・キャリアデザイン」。40分グループディスカッションを行い、グループ発表と僕から短いコメントをするというシンプルな勉強会。僕はグループディスカッションには加わらないので、どんなことが話されているのかわかりません。わずかに、グループ発表から討議内容を伝えられるのみ。
発表の中に、なるほどと思う話がありました。新入社員としてある部署に配属されたとき、「自分には向いていない」と感じていた人が、仕事をするうちに「向いている」と思うようになり、思わぬ能力を身につけることができた・・・。そんな発表でした。
ここが会社組織のおもしろいところであり、人生の不思議さでもある。僕はそんなふうに感じていました。
新入社員が自分の希望する職種に就くとは限りません。会社では求めている職種、求めている部署があり、それが入社希望者のニーズと一致するわけではない。ニーズと違っていても納得して入社してもらうほかないわけです。
素晴らしい能力を持っていたとしても、その人が100%力を発揮できる部署では採用枠がない・・・。そんなケースが少なくありません。逆に、実力はまだまだなのに、運よく希望する部署に入ることができたという事例もあります。タイミングというか、運というべきか。配属を決める僕らとしても、実に不思議に感じることがあります。
ただ、第一希望ではなかったにせよ、80%くらいは希望に添った配属だったのではないかと思います。我が社の場合、無茶な配属をすることはありません。本人の成長の方向性を考えながら決めています。その結果、デザイナー志望の人が編集者になることもありますし、編集志望の人が営業メインの仕事に就くこともあります。そしてもちろん、本人の希望通りの職種に就くというケースもある。
本人の希望と会社の事情。それに加えて、本人がまだ気づいていない可能性。これも配属先を決める上で重要な要素となる。ですから、タイミングや運というよりも、決まるべくして決まったと考えるべきなのかもしれません。
こうした「決まるべくして決まったこと」は、新入社員だけが経験しているわけではありません。ベテランの人も経験しますし、僕も経験しています。そして、個人だけではなく、ソーゴー印刷という法人も経験しているのです。
自分の希望とか予測といったものとはかけ離れた展開。人生では何度か経験することになるはずです。
僕自身はフォトグラファーになるつもりで努力してきたわけですが、自分の仕事の2/3は写真以外のものが占めています。仕事人生序盤では、自立するために原稿を書くことに必死でしたし、40代からは自分がもっとも苦手と考えてきた経営に携わるようになりました。
そうした思わぬ展開によって、自分の働く意欲が低下したかというと、まったくそのようなことはなかったんですね。ここが不思議なところ。別な活動を行うことで、写真に対する考え方が変わったり、別な角度から物事を見る力がつくようになったのです。写真というものは、被写体を「発見」したり、物事をユニークな角度から「見る」という仕事。自分の仕事の中身が変わる、環境が変化するということは、写真人生にとってプラスになることなのです。
何をすることになってもOK。特に、帯広にUターンしてからは、そんな心境になっています。20年前なら考えられなかったようなことをするようになりました。ビジネス書を書くとか、講演・セミナーの講師を務めるといったようなこと。なぜ、そのようになったのか、実に不思議です。
そんな不思議な体験ができるところに、会社組織のおもしろみがあるといってよいでしょう。フリーの人も不思議体験をすると思いますが、会社員の場合は、自分の希望ではなく、会社の都合で決まることが多いというところに特徴があります。これを肯定的に受け入れると、思わぬ才能が開花することがある。
企業の成長・発展は、社員の成長にかかっていますから、「会社の都合」とはいっても、人数合わせ的な配属や異動を行うことはありません。考え抜いた上で配属が決定される。したがって、会社を信じて新天地で精一杯努力しようと覚悟を決めた人は、かなり高い確率で能力が開発されていくことになるでしょう。
仕事始めの日に配布した「2018年の年頭にあたって」の中で、イノベーションについて書いたのを我が社の社員であれば覚えているでしょう。
イノベーションとは「一見、関係なさそうな事柄を結びつける思考」といわれています。もし、僕が希望通りの職種に就き、学生時代に思い描いていた通りの仕事の仕方をしてきたなら、おそらくイノベーションとは無関係な活動となっていたでしょう。我が社がちょっと変わった商品やユニークな活動を展開できているのは、「一見、関係なさそうな事柄」が社内に数多く存在しているためではないかと思います。
これが仕事どうつながるのか? よくわからないところにイノベーションの種がある。同じように、個人が飛躍的に成長する際にも、意外で関係なさそうな事柄が案外役に立つ。そう考えてもよいでしょう。
ただ、何でもかんでも首を突っ込むとすべてが中途半端になってしまいます。社内の業務に関しては「会社の決定を信じる」ことが大事。自分で意思決定すべき事柄については、「自分の直感を信じる」ことでしょう。直感力がずれている人については、上司のサポートが必要となります。ですから、早めの報連相が欠かせませんね。
