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北海道の仕事と暮らし62 興味・関心・取材力

北海道の仕事と暮らし62 興味・関心・取材力

おはようございます。
 朝のうちに済ませておくべき仕事があった。M氏もパソコンに向かっていた。出発したのは午前10時半。目的地は中川町。途中2度仮眠。午後4時半到着。5時から打ち合わせ。そのまま飲み会に……といっても、5人中3人はノンアルコール。僕も車の運転があるのでノンアル。
 それでも、話は興味深い方向へ展開していった。どういうきっかけだったのか? いつの間にか、T氏がM編集長の半生を「取材」するという構図になっていた。これは非常にめずらしい光景。M氏の人生に関心を持つ人はいても、これまで深く聞き出した人は皆無に近かったと思う。T氏の取材力に僕は内心驚いていた。もう少し時間があったら、核心に迫っていたかもしれない。気づくと3時間たっていた。宿から「到着はまだか」という電話がかかってきた。10時でお開きとなった。次の「取材」がいつ行われるのか、楽しみだ。

取材される側に

そんなわけで、これまでとは立ち位置が逆転。M氏が人生を語るという、非常にめずらしい場面に立ち会わせてもらいました。M氏と僕の付き合いは34年ちょっと。それ以前の出来事については非常に謎が多い。また、僕とは異なる物事の捉え方をしていますから、気づかされる点がたくさんあります。これが本になったらすごくおもしろいのに……。ある意味、波瀾万丈の物語です。
 人間、ある程度の年齢に達する頃には「本に著すべき物語」を心の中に持っているに違いありません。「これまで平坦な人生を歩んできた」という人であっても、よく聴くと他人にはないユニークな経験を積み重ねてきているものです。一人ひとり異なる人生なのですから、当たり前といってもよいでしょう。自分とは異なる人生を数多く知ることで、人の感性は豊かなものとなっていくはず。雑誌スロウの果たすべき役割は、このあたりにある、と僕は捉えています。
 スロウの取材では、モノや出来事の話を聴くだけで終わることはまずありません。必ず、何らかの形で取材相手の人生そのものについて伺うこととなる。取材時間は限られていますから、人生のダイジェスト版であったり、ほんの一部を聴くだけで終わってしまいます。それでも、取材時間の中に、その人が一番大切にしている考え方であったり、興味深いエピソードが語られることとなる。大切なものを見せてもらえるかどうか? ここがポイント。編集者には、何よりも人間関係構築力が求められます。
 たいていの人は「自分のことを知ってほしい」という気持ちを持っています。同時に、自分の大事な人生を否定されたくない、軽く扱われたくないという気持ちもあるはずです。
 したがって、純粋な興味・関心を示せば、多くの場合は語ってもらえることとなる。加えて、相応の取材力があれば、かなり深い話が引き出されていきます。スロウ編集部にはM氏を筆頭に、卓越した取材力を持つ編集者が揃っています。僕は近くで写真を撮りながら、ときどき驚かされることがあります。記事になるのは話のほんの一部。文字にはならないものの、行間からその背景が染み出してくるような記事もありますね。
 スロウのひとつの記事は、長くても10ページちょっと。ですから、人生の一部分を紹介するのみ。それでも、そこには「その人の真実の姿」が描かれています。一読者としてスロウを読むと、「これは名言ではないか?」と思うような言葉に出合うことが多い。

自分・自社の真実の姿

雑多な情報が飛び交いすぎているためか、今は真実の姿が見えにくい時代と言えるかもしれません。自分自身、真実の姿がどんなものなのか、よくわからないという人も多い。そして、事実=真実だと思い込んでいる人もいます。
 自分にとっての真の姿が真実であるとすれば、それを形あるものに記録しておくべきではないか……というのが僕の考え。自分史としてまとめるのもよいですし、作品という形で表現している人も少なくないでしょう。
 個人の人生に限らず、企業やさまざまな組織においても、同じことが当てはまるのではないかと思います。その組織にとっての真実の姿。それを簡潔な言葉で表すと経営理念ということになるでしょう。詳細に表現すれば、社史のような冊子となるに違いありません。
 フェイクニュースとは言えないまでも、真実ではない情報があまりにも多い今日、「真実の姿」はとても大きな意味と価値を持っているのではないかと思います。自社の、そして自分の好ましい部分とダメな部分。そのすべてをできるだけそのまま見せる。そんな素直さが人生にも企業経営にも求められているといってよいでしょう。
 好ましい部分とダメな部分の背景には、「意志」や「純粋な思い」があります。「自分はこう生きよう」とか「自社はこうありたい」といったもの。めまぐるしく経営環境が変わりますから、必ずしも思い通りにはならず、純粋にはなりきれない自分・自社になることもある。それでも「真実の姿はこれなのだ」と気づかせてくれるものが、僕らの人生には必要ですね。
 自分史を著す人の多くは、「人生の集大成」というつもりで取りかかると思いますが、どこかの時点で、今の自分のために著していることに気づくでしょう。社史のような冊子にしても、「過去の記録」だけではなく、「これからの自社のため」という側面があるはずです。
 一番大事にしている考え方を伝えたいと思う人に伝える。そのためにはSNSよりもブログ、ブログよりも紙媒体のほうが伝わりやすい。
 伝えたいと思う人は誰なのか? 目をつぶるとだいたいイメージすることができます。今朝見た夢の中では、そうした人が大勢登場していました。その中には、もちろん自分もいました。僕の考えるところでは、一番伝えたい相手は自分自身。人生の真実を一番知りたがっているのは、何といっても「自分」なのではないかと思います。

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