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北海道の仕事と暮らし63 天然林経営

北海道の仕事と暮らし63 天然林経営

おはようございます。
 中川町内で長靴を購入。昼からの取材準備は整った。道内各所、暴風雪という日だったが、中川に関しては雪が積もった程度。風はほとんどない。午後1時、A校とT社の研修に合流。北大中川研究林へ。車でどんどん山を登っていく。これなら「ほとんど歩かなくて済むかも」と淡い期待を抱いたが、そんなはずはなかった。駐車地点から坂道を歩く。学生、若手社員らはさすがに軽快な足取り。僕とM氏はどんどん離されていった。彼らが目視できなくなった頃、救いの手が差し伸べられた。雪上車が迎えに来たのだ。追いついた。目的地のあたりは雪が深かった。足がときどき埋まる。それでも場所を確保しながら撮影する。少し余裕ができたので、動画も撮影。山の中での取材は無事終了。後半は学生宿舎で座学が行われた。北海道の森林については知らないことだらけ。講義は非常に興味深いもので、しかもわかりやすかった。夕方は懇親会。8時頃宿に戻る。

定住者と放浪者

昨日のY教授の講義、おもしろかったな……。僕は森林の話として聴きながら、なぜか人間や会社組織に置き換えながら考えていました。
 特におもしろいと思ったのは、樹木を「定住者タイプ」(陰樹)と「放浪者タイプ」(陽樹)に分けて説明されていたところ。前者は種が重く、暗い場所が好き。重い材となり、長い寿命を持つ。後者は逆に種が軽いため、遠くまで飛んでいく。明るい場所を好み、生長が早い。材は軽く、寿命は短い(回転が速い)。
 これは人間にも組織にも当てはまりそうです。また、ひとりの人間の中にも「定住者の自分」と「放浪者の自分」が存在しているような気がします。明るい場所を求めながらも、実は暗い場所が好き……。そんな人もいますし、一度は遠くへ飛んでいったものの、人生の後半には定住者タイプになっていた、という人もいます。人間はやはり複雑にできているものです。
 林業の場合、人間がつくった森林である人工林が主力となるわけですが、人工林の大半は針葉樹。広葉樹を使うには天然林を持続可能な形で活用していくこととなる。そんな話だったと思います。天然林では多くの樹種が共存しています。定住者タイプと放浪者タイプ。両者が混じり合っているからこそ、豊かな森林が形成されているのでしょう。
 我が社の中にも定住者タイプと放浪者タイプの両方がいます。放浪者タイプだから寿命が短い……というわけではありません。ここは樹木とは少し違うところ。ただ、軽くて明るい場所が好きだという人は確かにいますね。出版や広告の仕事が増えていくにつれ、こうしたタイプの人は着実に増えています。
 職種はさまざまですが、定住者タイプの人も大勢います。成長速度はゆっくりしているものの、社歴を重ねるごとにいい仕事をするようになっていく。暗い場所が好きというわけではないでしょうが、目立つことよりも、いい仕事をすることに価値を置くようなタイプの人。
 どちらも我が社には必要であり、さまざまなタイプの人が共存できる組織であることが望ましい。

天然林の保持

我が社として目指すところは「天然林経営」だな……。そんな経営用語は存在しないと思いますが、昨日は勝手ながらイメージが広がっていきました。
 昨日初めて知ったことの中に、「天然林といってもいろいろある」というものがありました。原生林も天然林の一種ですが、これは森林の1%程度を占めるに過ぎない貴重なもの。北海道といっても、ほとんどは人為的な影響を受けています。大規模に森林の伐採が行われた時期がありました。それでも自然に再生した森林のことを「天然生林」または「二次林」というのだそうです。天然生林と二次林の違いは、人為的影響の強さの違い。強い影響を受けた後、自然に再生した森林は二次林。それほど強くない影響から再生したのが天然生林。そんな理解でよかったかな?
 森林全体に占める天然林の割合は約70%。かつて北海道では広く森林の伐採が行われ、原生林はほとんどなくなってしまったわけですが、それでも自然に再生している。昨日の講義内容のメインではなかったと思いますが、僕はこのあたりに感銘を受けました。
 人工林は人が常に働きかけていなければ、森林として健全な状態を保つことは困難。一方、天然林のほうは、定住者タイプと放浪者タイプがお互いに棲み分けながら上手に共存している。たとえ、人為的影響を受けたとしても、元通り再生していく機能が備わっている。
 これは会社組織にも当てはまるのでしょうか? 企業経営者の中には、絶えず手を入れ続けなければ自社の健全性は保てない、と考える人が多いのではないかと思います。僕もときどきそういう気持ちになる。しかし、天然林のような会社組織のほうが組織としては強いのではなかろうか? 経済的側面から捉えれば人工林のほうがはるかに効率的ではあるのですが、長期的な豊かさ、あるいは個人の幸せという観点で捉えるならば、天然林的な要素が企業には必要となるでしょう。
 森林と会社組織を単純に結びつけるには無理がありそうです。しかし、多くの樹種が共存できる森のほうが、僕には魅力的に映ります。その中にはきっと変わった性格を持つ木がいるに違いない。逆に頑固で融通が利かないという木もいることでしょう。
 昨日は「保持林業」という話がメインだったと思います。生物の多様性と林業としての経済性。それを両立させる林業。なるほど。多様性と経済性を両立させること。これはあらゆる業種にとって、今日的な課題と言えるのではないでしょうか? 講義の中ではその具体的方法についても述べられていました。答は自然の中にある。これは重要なヒント。何かインスピレーションを得たような気持ちになりました。

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