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北海道の仕事と暮らし64 先見力とビジョン

北海道の仕事と暮らし64 先見力とビジョン

おはようございます。
 午前9時集合。再び森林の中へ。前日は人工林、この日は天然林だった。ふだん見ることのできない光景。なるほど、このようにするのか。林業の現場は過去何度か見ているが、昨日のような方法で伐採するところを見るのは初めてだ。すごい技術だと思った。昼は駐車地点まで下りていき、そこで焚き火料理と豚汁。五感が刺激される食べ方だ。中川町での取材はこれで完了。途中、一度仮眠しただけで帯広に戻る。6時半帰宅。

20年後どうなっているか?

昨日「なるほど」と思ったのは、伐採する木をどのように選んでいるのか、という理由についてでした。正しいかどうかの確証はどこにもありません。そんな中で、「将来どうなっていくのか?」という予測のもと、伐採すべき木を選んでいく。「今はよいが、20年後になると腐ってしまい、材として使えなくなる可能性がある」。そんな先見力を発揮させながら、残すか伐採するか選択していました。
 長期的視点で物事を考える。これは林業では当たり前のことなのかもしれません。何10年も経たないと価値が出てこない商品。そして、一本の木を倒すにしても、これまで何10年もかかって育ってきたわけですから、慎重に選んでいるはずです。先見力を持った人でなければ、経済面からも環境面からも損失が大きいに違いありません。
 20年後どうなっているのか? これは誰にとっても重い質問といえるでしょう。森林のプロであれば、20年後の森の姿をある程度予測し、イメージできるのかもしれません。企業経営者の中に、果たして20年後の経営環境を予測、イメージできる人はいるのでしょうか? もしそうした人がいれば、20年後の経営環境に合わせて、自社を業態変革させていくことができるに違いありません。この時代、20年後はおろか、5年後、10年後であっても僕には予測困難に思えます。
 ずっと前の話ですが、僕はあるときから予測しすぎないことにしました。予測は立てるのですが、予測通りになることは少ない。また、一部の予測が当たったからといって、それが自社にとってプラスになるとは限らない。
 予測しながらも、自分はこうなりたい、自社をこのように変えていきたい……。そういう気持ちを持つことのほうがはるかに重要ではないか。そう思うようになったのです。
 会社にはさまざまな立場、職種の人がいますから、60人いれば60通りの意志やビジョンが存在することになります。僕の考えでは、企業のトップが「自社をこう変えていきたい」と思っても、その通りにすることは容易ではない。さまざまな意志が作用していますから、思い通りにはならないわけです。
 社長の思い通りにしすぎてはいけない。そのようにも感じています。トップの思いが反映されていなければ、健全な組織とはいえません。けれども、100%思い通りにしてしまった会社が魅力的だとは僕には思えません。ときには若手社員の思い通りになっていったり、パート社員の声が経営に生かされていく……。そんな組織が健全であり、理想的といえるでしょう。

実物を見て学んでいく

先見力を持っている人は、会社の中に大勢いるわけではありません。経営者には必須といえますが、幹部の中に数人、若手社員の中に若干名いるかどうか。企業規模にもよりますが、そのくらいではないでしょうか?
 将来の見通しや環境変化について、僕はさまざまなルートを通じて社内に伝えようとしています。最大の伝達手段は、社内報と次世代幹部養成塾。本ブログでもときどき環境変化について書くことがあります。
 僕は熱心に伝えようとしていますが、それがどの程度の精度を持つものなのか、自分ではよくわかりません。また、どの程度、僕のメッセージが伝わっているのかも、ハッキリ言ってわかりませんね。いつも、「うまく伝わらないものだ」と思いながら、文章を書いたり、講義を行っているというのが現状です。
 何事にもタイムラグがありますから、おそらく、僕の忘れた頃に伝わるのでしょう。僕自身にも経験があります。親からのメッセージは、両親の存命中には僕に伝わらず、他界してしばらくたってからその意味するところがわかりました。目の前の現象に振り回されて、目が曇っているときには本質が見えてこないもの。親子間では、おそらく僕のようなパターンが多いのではないかと思います。
 ただ、社内では10年、20年というタイムラグでは長すぎますから、もう少し迅速.に伝わる手法を考えなければなりません。
 僕が昨日と一昨日、森の中で学んだことのひとつは、「実物を指さしながら伝えていく」ということでした。実物に勝る教材はありません。専門的な事柄なのに、僕のような素人にも理解できる。それは実物があるからに他なりません。プロは実物がなくてもイメージできる。素人は実際に目で見ることで理解する。五感を最大限活用するような伝え方をすれば、伝わりにくいメッセージも伝わっていく。このあたりにコツがありそうな気がしてきました。
 僕らに必要なものは、先見力とビジョンです。「なりたい自分」や「あるべき自社の姿」。それがどれほど魅力的なものであっても、経営環境に適応したものでなければ、実現はほぼ不可能。努力の仕方によっては、環境に影響を及ぼすような事業展開はできるでしょう。しかし、経営環境を自由に変えることはできません。
 10年後、20年後どのようになっているのか、正確な予測は不可能であっても、最大限情報を集め、社内の衆知を集め、イメージしてみることが重要ではないかと思います。それと同時に、個人としても組織としてもビジョンを持つことが大切。環境に振り回されて変わっていくだけでは、何のための人生かわからなくなってしまいます。たぶん、森の中で生きている樹木も、「理想の姿」を追い求めて懸命に枝を伸ばしているに違いありません。

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