file 30 自分史

file 30 自分史

おはようございます。
 朝6時15分出発。道東道は比較的空いていた。だが、予想通りと言うべきか、札幌市内は渋滞していた。早めに出発してよかった。9時15分、目的地に到着。9時半、K氏と合流。取材。撮影は2カットだけだったが、けっこう難度が高かった。10時半終了。その後、K氏と打ち合わせ。帰路、道東道は混んでいた。予定より少し遅れて出社。来客応対、校正作業。7時からは帯広経営研究会理事会。9時半帰宅。

自分史は未来志向の出版物

2月25日発売のスロウ58号は、おそらく今日が下版日。ということで、昨日、スロウ編集部では最終の校正作業が行われていました。今回はというか、今回もというべきか、僕はまたしてもギリギリ感を味わうことになりました。ギリギリに入稿するのはもうやめよう。そう思っているのですが、これは一種の中毒なのかもしれません。
 過去に例のないほどハードだった1月が終わりました。そして、印刷会社としては繁盛期の2月、3月を迎えます。僕も別な意味でハードな日々が続きそうです。スケジュールの断捨離が必要となりそう。少し身軽になって、本当に重要なことのために時間を使わねばなりません。
 昨日はその点、札幌でも帯広でも重要な活動ができて、有意義な一日となりました。何が有意義なのか? それは長期ビジョンについて考えたり、意見交換したり、ビジョン実現に向けた行動ができることです。
 僕らは目の前の仕事を完結させなければなりません。しかし、そのことに全エネルギーを費やすと、長期的に重要な事柄が先送りになってしまいます。ハードな日々が何ヵ月も続くと、目の前の業務以外について考えることができず、そのうち自分のビジョンが何だったのかすらわからなくなってしまう……。気をつけねば、企業経営者でもそうした事態に陥る。注意せねばなりません。
 前置きが長くなりました。久しぶりの「ソーゴー印刷事業案内」。今回は自分史です。
 自分史というものは、僕の解釈では過去志向ではなく、「未来志向の出版物」なんですね。自分史ですから、本に書かれている内容の大半は過去に起こった出来事ということになるでしょう。けれども、ちゃんと読み解いたならば、そこに書かれているのは「次世代の人たちに伝えたいメッセージ」であるはず。自分史が過去志向の産物であるならば、わざわざ出版物にする必要はない。自分が読むためだけに、プリンターから出力すれば事足りるでしょう。
 出版物は誰かに読んでもらうためにつくられるもの。そのメッセージは著者のためだけではなく、読み手の人生や仕事に何らかの影響を及ぼすものでなければなりません。自分の人生の歴史を伝えることが、誰かの役に立つかもしれない。多くの著者はそう考えて執筆しているはずです。
 数日前に行われた中同協経営労働委員会の中で、「経営指針作成に当たって自分史年表をつくっている」ところがありました。これは非常に重要なことです。経営者は自社の社歴と自分史とを重ね合わせて物事を考える必要があります。自分にはいずれ引退する日がやってきます。しかし、自社はその後も生き続けるわけですから、誰かに経営を託さなければなりません。次世代に伝えるメッセージがなければ、後継者も社員も困ることになるのです。

複数の伝達手段を活用する

企業経営者に限らず、どんな職種、どんな立場の人であっても、次の世代の人たちのために伝えるべきメッセージを持っています。人間には自己保存と種属保存の欲求が備わっています。自分史というものは種属保存欲求から生じる活動ではないかと思います。
 決して華々しい人生とはいえなくても、60年、70年の人生を通じて学んだことや身につけた能力が誰にでもあるはずです。話し言葉で身近な人に伝えている人もいるでしょうが、直接聴くことのできる人は限られてしまいます。また、文章でなければ表現できないような事柄もあるでしょう。
 本当に伝えたいメッセージというものは、伝わらなければ意味がありません。確実に伝わるよう、複数の伝達手段によって伝えるのが賢明といえます。「直接伝える」「自分史で伝える」「音声や動画で残す」。できれば、この3つが揃っているとよいでしょう。
 僕は「失敗を失敗と思わない」ようにしているのですが、「どう考えても失敗だった」と思えることがひとつだけあります。それは父である創業者のインタビューをしなかったこと。断片的に聴いてはいるのですが、改まって取材することはなかった。このため、我が社の創業期については大半が謎のままなのです。Uターンして亡くなるまで2年間ありました。せめて、ICレコーダーで音声だけでも記録しておけばよかった……。人生最大の後悔といえるかもしれません。
 僕個人としては「限りなくビジネス書に近い自分史」の出版を多くの人に勧めたいと考えています。人生にはさまざまな側面がありますが、「仕事を通じて得た考え方」というものは、誰にとっても価値のあるもの。とりわけ、後継者にとっては自社の理念を深めるための重要な情報源となるでしょう。
 自分史をつくるに当たって、もっとも困難に感じることは「一冊書き上げることができるかどうか?」という点かもしれません。ここをサポートするのが我が社の役目ということになります。
 今僕が考えているのは、ものすごく易しい自分史の作成方法について。構想はほぼまとまっています。これをテキストにまとめてみたいと考えているところ。拙著「激訳・自分史作成講座」とセットで活用すれば、ほぼ誰でも自分史を書き上げることができるに違いありません。年内には完成させようと思います。

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高原淳写真的業務日誌