第12回 本の体裁

第12回 本の体裁

おはようございます。
 3連休、いかがお過ごしでしたか? 僕は連休中に仕上げようと思っていた仕事が目標まで届かず、今日と明日の2日間勝負となりました。それでも、ゴールが見えてきました。今週で目処がつくでしょう。
 さて、今日も本づくりの話が続きます。出版に興味のない方にとっては退屈な話かもしれません。「激訳・自分史作成講座」もあと9回。興味のある人もない人も、もう少々お付き合いいただければ幸いです。

セオリーに沿って本をまとめる

一冊の本を書き上げる。人によって感じ方は異なるでしょうが、やはり大仕事といえるのではないでしょうか。特に、初めて出版する人にとってはなおさら。滅多にない人生経験と感じるかもしれません。
 僕の場合は、67,000字ほどの本文を書き上げたところで、体の中から力が抜けていくのを感じました。達成感のようでもあり、気が抜けたような状態でもありました。
 しかし、本づくりはそこで終わりではないのです。自分ひとりで原稿を完成させよう・・・。そう考えている人にとってはもうひと山残っています。本としての体裁を整えていく作業です。
 当社から自費出版する場合には、編集者がアシストするので、さほど苦労することはないでしょう。プロの編集者にとっては、難なくできる作業といえます。
 それでも、著者として最後に書くべき原稿があります。それは言うまでもなく、「あとがき」ですね。また、「まえがき」を最後に書く・・・という人もいるでしょう。「まえがき」「あとがき」だけは、著者自ら書かねばなりません。
 ほとんどの単行本は次のような体裁になっていると思います。

・見返し
 表紙裏と本文との間に補強として使われる紙。何も印刷しないのが基本で、本の前後に付きます。文庫や新書では省略されるのが普通です。
・扉
 本文最初のページとなるのが本扉。書名や著者名が入ります。
・まえがき
 本を書いたきっかけやエピソード、あるいは読み手に期待感を抱かせるような文章を書くとよいでしょう。
・もくじ
 目次は本全体の中身を把握する上で欠かせないものです。必ず入れるようにしましょう。
・中扉 
 章と章の区切りとなるページ。文章量の多い本の場合は必要となります。
・本文
 いわゆる「本の中身」。見出し、本文、キャプション等のフォント(書体)、ポイント数(文字の大きさ)を統一するのが基本です。
・あとがき
 本を書き上げての感想やお世話になった人々への感謝の言葉など、最後に感じたことを書くようにしましょう。
・索引
 必ずしも必要ではありません。史料として使われることを想定している本の場合は、索引を設けたほうが親切です。
・著者略歴
 奥付の上に記載するのが一般的。短い文か、箇条書きにまとめてもよいでしょう。
・奥付
 書名、発行日、定価、著者名、発行社名、印刷所、スタッフ名(編集、デザイン、写真、イラスト担当者など)、クレジット表記、ISBNコードなどを明記したページ。

奥付についてはちょっと説明が必要かもしれません。市販の本を見れば一目瞭然なのですが、だいたいの決まりごとがあって、どの本にも同じような情報が載っているはずです。
 自分史など自費出版物の際、見落としがちなのが「スタッフ名」ではないかと思います。著作物にはそれぞれ著作権が存在します。著作権については後日詳しく書くことにしますが、どのような本であっても、著作権者を明示するのが基本となります。
 クレジット表記とは「(C)Atsushi Takahara 2018」などと書かれているもののこと。「著作権を保有しています」という意味で、さらに「All Rights Reserved.」と書き加えることもあります。
 ISBN(アイエスビーエヌ、International Standard Book Number)とは、書籍を特定するための番号で、世界共通のものとなっています。2007年以降は13桁ISBNの規格が使われています。

自費出版物の場合は、さほど厳密に考える必要はないのかもしれません。けれども、このような基本に沿った本づくりを行ったほうが、本としての体裁が整い、本らしく見えるもの。編集者のアドバイスに沿ってまとめることをおすすめします。
 ここでは紹介しませんでしたが、自分史の場合は、写真だけを最初のほうのページにまとめて掲載することがあります。いわゆる「グラビアページ」ですね。ちなみに、グラビアとは凹版と呼ばれる印刷方式の一種のこと。今日、ほとんどの印刷物はオフセット印刷(平版)で刷られています。ですから、グラビアと呼んでいても、グラビア印刷されているわけではありません。
 これは僕の私見ですが、グラビアページを設けるよりも、本文ページの中に写真を分散させて掲載するほうが、読者としては読みやすいのではないかと思います。文字だらけの本を読むのは読者にとって負担に感じるもの。今日の印刷技術であれば、本文に使われる紙でも十分鑑賞に堪える画質で写真を再現できるはず。わざわざグラビアページに写真をまとめる必要はないのです。

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高原淳写真的業務日誌