おはようございます。
朝礼後、少しだけ事務的作業。9時50分、ノースランドへ。山田氏と一緒に芽室の大野ファームさんを訪問。気温は低いものの、日差しが暖かく感じられた。1時間ほど施設見学と事業の説明を受ける。奥のほうまで案内していただいたのは初めて。昼食は平和園大成店。大成店は久しぶり。ひたすらジンギスカンを食べる。午後は我が社を案内させていただく。工場では、スロウ58号の製本作業が行われていた。3時50分、とかち館へ。4時からとかち支部四役会、4時半からは幹事会。山田氏もオブザーバーとして参加。
7時、とかち支部2月例会。大阪府同友会代表理事で(株)山田製作所代表取締役社長の山田茂氏が講師。中同協経営労働委員会副委員長でもある。テーマは「大阪の職人集団が挑む『働き方改革』 ~働きがいブラック企業からの脱却~」。情景が目に浮かぶような話しぶり。もし自分が社長としてその場にいたら……とイメージしてしまう。参加者は自社の現状や過去の風景と照らし合わせながら聴いていたのではなかろうか? プロジェクターなし。話だけで十分映像表現している。そんな講演に圧倒されながら、同時に共感していた。報告後はグループ討議。そして、質問に対する回答と補足説明。例会後は講師を囲む会。参加者は経営指針委員及び研究生。懇親会ではひたすら経営指針を中心とする企業経営の話。「経営指針成文化と実践を通じて人を生かす経営を目指す」という、もっとも同友会らしい集まり。それが経営指針委員会(中同協では経営労働委員会)と研究会だ。
社員共育力とは
山田製作所へは毎年200社以上、900名の見学者が訪れるといいます。海外からの見学者も多い。入社2年の若手社員が胸を張って自慢げに自社を説明する。そして、今とはまったく異なる20年前の社内風景をいかにも知っているように話す。これはすごいことだな……。自社に誇りを持ったり、愛着を感じている人は少なからずいるでしょう。しかし、20年前の自社を語ることのできる入社2年目の社員とは! 高卒入社だとしたら、自分の生まれた頃の出来事を見てきたかのように語っていることになる……。
それができる理由のひとつは、山田氏の「情景が浮かぶような語り口」なのかもしれません。しかし、それだけではないということも講演を聴くうちにわかってきました。
そういう企業文化が築かれているということでしょう。山田氏は「社員共育力のある会社」と言っていました。入社時には髪を染め、ピアスを3つもしているような社員が数ヵ月たって「何か勉強しないと」とふと思う。そんなとき気づくと横に先輩社員が立っていて「じゃあ、一緒にやってみようか」というような雰囲気のある会社。山田氏は「雰囲気のある会社」と2、3度繰り返していました。この「雰囲気」が社風であり、企業文化であるわけです。我が社も「ふと気づくと先輩が横に立っている」ような文化をつくっていかねばなりません。
情景が浮かぶ語り口と圧倒的迫力のある講演。そこから、単純に「社長の強力なリーダーシップが発揮されている企業」なのではないかとイメージしそうになります。しかし、どうやらそうではない。むしろ、社員のリーダーシップ力を伸ばしている会社であることがわかってきました。講演の中では「任せると社員が先頭に立つ」といった話が出てきました。
信頼関係と本気
講演の中にはキーワードがいくつもありました。「嘘をつかない経営」「言行一致」「経営指針は社員との約束」……。何だかちょっと、僕には耳の痛い言葉でもあります。我が社からは僕のほかに4名の幹部が参加していました。どのように山田氏の講演を聴いたのだろう? 気になりますね。
この3つのキーワードはすべて「信頼関係」と「本気」につながってきます。山田氏の話の中に登場する社員たちは、みな本気で働き、本気で生きているように感じられました。
我が社の行動指針には3つありますが、2番目に「本気」が掲げられています(2番目というのは順番であって、2番目に重要という意味ではありません)。山田製作所の本気と我が社の本気との間に違いはあるのだろうか? そんなことをずっと考えていました。
ちょっとした違いがあるのかもしれない。今朝になって、そう思いました。山田製作所の本気は、強固な信頼関係の中から生まれてきた本気なのではなかろうか。そう思ったのです。我が社も信頼関係や愛着心を高めるような活動を重視していますが、「強固か?」問われると、それは部分的、限定的と答えることになるでしょう。
鉄のような信頼関係という点では金属を扱っている山田製鉄所には敵いません。紙を扱っているソーゴー印刷の場合は、若干破れやすかったり水に弱かったりしますが、しなやかさで勝負(?)するしかないのかもしれません。
いずれにしても、経営者として本気でまとめるべきものは経営指針といえるでしょう。大阪の山田氏にしろ、1年前に講演していただいた京都の渡邊博子氏にしろ、経営指針成文化の出発点は経営者の「自己姿勢の確立にある」と述べていました。自己姿勢を確立することで経営姿勢が定まり、社員との信頼関係が生まれ、全社一丸経営になっていく。そう単純なものではありませんが、そうした強固な組織を目指していく。
企業の目指すところは、社員と組織の成長であったり、社員の自己実現や幸せだったり、顧客創造や社会貢献だったりします。経営者はその出発点となり、組織の目指す方向を常に伝え続けると同時に、自らも理念・ビジョンに沿った生き方をしなければなりません。
「働き方改革」についても、一人ひとりの自己実現、幸せという観点から、もっと社内で論議する必要があるのではないかと思いました。社風、企業文化は山田氏の会社とは違いがあるものの、根底に流れている精神は我が社にも共通するものがあります。
同友会のバイブルともいえる「人を生かす経営」をもっと読み込まなければ……。そのことを痛感させられる例会となりました。