高原淳写真的業務日誌 > 北海道の仕事と暮らし > 北海道の仕事と暮らし86 地域と組織に自分をなじませる

北海道の仕事と暮らし86 地域と組織に自分をなじませる

北海道の仕事と暮らし86 地域と組織に自分をなじませる

おはようございます。
 午前中は会社で仕事。午後1時、帯広市産業振興会議集客・交流部会。3時半から5時10分まで自宅で仕事。6時、清水寺。8時半帰宅。めまぐるしく時間の過ぎていった日。ところどころ記憶が欠落してる。何か見落としていそうな気がする。

移住と転職

帯広市産業振興会議集客・交流部会も3回目。各委員の考えがほぼ出揃ってきました。ユニークな意見もあり、これをどのように議事録にまとめるのか、事務方の仕事は大変そうです。3月にも集客・交流部会を開催するとのことなので、次回は重点課題としてまとめ上げていきたいと思っています。
 前回は観光の話がメインとなりましたが、今回は移住・定住の議論が活発に繰り広げられました。ひと口に移住と言っても、さまざまなパターンがあります。従来イメージの移住だけではない。移住に見えない移住もずいぶん増えています。と同時に、旅行に見えない旅行も増えてきている。両者の境目は明確ではない。ここがおもしろいところです。
 よい意味でも悪い意味でも、人材の流動化が進んでいます。転職することによって自分の能力が発揮できたり、新たな能力を身につけることもできる。ですから、転職することで自己実現に近づくという人がきっと大勢いることでしょう。
 十勝の経済を考えるならば、こうした人たちに活躍の場があることを知ってもらうことが重要といえます。我が社が発行している「わくらす」はまさにそれを伝えるための雑誌。採用情報が載っているわけではありませんから、即効性があるかどうかは何ともいえません。けれども、移住を真剣に検討している人にとって重要な情報が載っています。
 人はお金のためだけに働いているわけではなく、勤務時間を切り売りしているわけではないのです。そういう働き方をしている人もいるとは思いますが、それが本来の仕事の姿ではありません。
 仕事をしている時間が充実しているか? 何が大切かは人によって異なるでしょうが、僕は「仕事の充実度」こそ、仕事選びで譲れないポイントだと考えています。また、そういう考えを持っている人に入社してほしいと思っています。「仕事がつまらなくても稼げればいい」という考えの人は我が社には向いていません。
 移住に関しても同じようなことが当てはまるのではないかと思います。
 移住の場合は「人生の充実度」について深く考えることになるでしょう。自分はこの土地の住民になって幸せだと感じるのかどうか? こればかりは実際に暮らしてみなければわかりません。ですから、季節移住を試みる人もいれば、まずは1年間暮らしてみるという人もいます。お試し移住のできる施設も増えています。利用する人はこれから増えていくことでしょう。

「なじむ自分」と「緊張感のある自分」

移住というのは転職と同じようなものだな……。ふとそんなふうに感じました。会社組織もひとつのコミュニティですから、その場になじむかどうか、自分の居場所があるかどうかが重要となってきます。「自分には居場所がない」と感じてしまったら、会社になじむことはできず、別な居場所を求めることになるでしょう。移住の場合、住む場所はあっても地域社会の中で「居場所がない」と感じてしまうと、その土地になじめない、住民にはなれないということになります。
 会社組織の場合、入社してきた人にとってなじみやすい社風や居場所を用意することが重要となります。我が社はどうなのだろう? もっと改善が必要ですね、きっと。このあたりについては、社歴の浅い人たちの意見と取り入れる必要がありそうです。
 同様に、移住歴の浅い人たちの考えを取り入れることが、UIJターン促進につながっていくはず。僕もUターンから19年たち、今ではすっかり帯広市民となっています。たぶん、移住したばかりの人にとって、住みにくいところやなじみにくいところがいくつもあるに違いありません。
 一方、移住者や入社したばかりの人にも気をつけるべき点があると考えています。それは移住した地域や入社した会社の文化になじもうとすること。
 企業の場合、ビックリするほど文化が違っているものです。同じ業種であっても、まるで文化が異なる。僕の場合、ソーゴー印刷が初めて入社した印刷会社ではなく、新入社員時代には準大手の印刷会社に勤めていました(1年間だけですが)。規模だけではなく、文化が違う。自分の慣れ親しんできた文化や価値観をそのまま新天地に当てはめようとすると、きっと働きにくいと感じることになるでしょう。
 これまでの価値観を捨てる必要も否定する必要もない。単に、新しい文化や価値観に関心を持ち、その一部を取り入れ、自分の新しい居場所になじめるような体質に変わっていく……。それが移住者や新入社員のすべきことといえます。
 学生から社会人になった人は、比較的スムースに新しい環境になじんでいくもの。一方、中途入社の人の中には、「組織に自分をなじませる」ことに苦労している人が少なくありません。僕も19年前は39歳での中途入社でした。後継者とはいえ(後継者だから?)、なかなかなじめるものではありません。実は今でも半分なじんでいません。なじみすぎて、気が緩むのを警戒しているところもあります。
 会社の仕事では、「なじむ自分」と「緊張感のある自分」の両方が必要。なじみすぎると、質の高い仕事にはならない。常に「これでよいのだろうか?」と自問することが大切です。
 この論法でいくと、移住者の「なじみきれない部分」に地域の可能性が秘められている……と考えられるかもしれません。移住者の人たちが「もっとこうだったらいいのに!」と思っているようなこと。それをいくつか実現、または改善することで、地域はもっとよくなっていくはず。もともと十勝で生まれ育った人にとっても、こうした変化は歓迎すべきことといえるでしょう。

〒080-0046 北海道帯広市西16条北1丁目25
TEL.0155-34-1281 FAX.0155-34-1287

高原淳写真的業務日誌