おはようございます。
先週から急ピッチで仕事を進めています。ところが、どうにもこうにも時間が足りない。これが最速のスピードなのか? 原稿を催促されそうだ・・・。僕の仕事の仕方にもイノベーションが必要なのでしょう。昨夜は熟睡しながら、そんなことを考えていました。皆さんはいかがでしょう?
それでも「激訳・自分史作成講座」は続きます。今回は「ページ数と紙質」について考えてみましょう。
紙は「読みやすさ優先」で選ぶ
ページ数を数える際、表紙や見返しは除外して考えてください。これらは本文ページとは別な紙を使うことになるからです。一番先頭に来るのが、書名や著者名が入る「扉」ページ。これを1ページ目とカウントします。最終ページに入るのは、通常の場合「奥付」ですね。
扉や奥付にノンブル(ページ番号)を入れることはありませんが、これらを最初と最後のページとして数え、全体で何ページの本にするかを決定します。
この場合、印刷の工程上守っていただきたい決まり事があります。それは「4の倍数、または8の倍数でページを設定する」ということです。
まず、紙には表裏がありますから、奇数ページで終わることはあり得ない、というのはおわかりいただけると思います。加えて、印刷会社のオフセット印刷機で印刷する場合は、複数ページを面付けします。紙の片面に4ページ分、あるいは8ページ分、いっぺんに印刷することになるのです。両面に印刷しますから、1枚の紙に8ページ、16ページ分印刷されることになります。
本のページ数が2の倍数では、紙の無駄がいっぱい出てしまうことになってしまいます。8の倍数に設定すれば効率よく印刷できるのです。僕が2017年に出版した本は、2冊とも208ページでした。16の倍数。文庫本のような小さなサイズでは、B5サイズの本の倍のページをいっぺんに印刷しますから、8よりも16の倍数のほうが効率がよいのです。
ページ数の設定の仕方について、おわかりいただけたでしょうか?
次は用紙について考えてみましょう。
印刷会社に自分史など自費出版の印刷を依頼する場合、「紙をどうしますか?」と尋ねられるでしょう。あるいは、紙見本やサンプルとなる本を参考に、使用する紙を選択することになるはずです。
どんな紙を選んだらよいのか? 選ぼうとすると無限と思えるほど選択肢があります。しかし、本の目的と内容がはっきりしていれば、自ずと選ぶべき紙の種類が決まってくるものです。
最終的には「著者の好きな紙」ということになるのかもしれません。けれども、読み手のことを考えると「読みやすい紙」を選択すべきです。
当社の雑誌「northern style スロウ」創刊当時、編集部内ではずいぶん時間をかけて紙選びを行いました。ただ、経験が浅かったためか、最初に選んだ紙は表面がつるつるのコート系の紙。編集部内では、「ちょっと違うな・・・」と誰もが感じていたはずです。「目にやさしい」「長い文章でも読みやすい」「ページをめくりやすい」。そんな基準で選び直したのが、現在スロウで使われている紙。スロウは発色のよさよりも、文章の読みやすさを選択したのです。
雑誌の場合は発色優先という考え方でもよいのですが、文字主体の書籍では避けるべきでしょう。特殊な意図がない限り、塗料を塗布していない非塗工紙の中から選びましょう。
おすすめは、やはり書籍用紙です。上質紙の一種ですが、通常の上質紙よりもクリーム色をしていることに気づくでしょう。長時間本を読むとき、紙が白いと目が疲れやすいものです。少し色の付いた書籍用紙であれば、読書が苦になりません。
さらには紙の硬さや手触りといったものも、紙選びでは案外重要なポイントとなります。僕個人としては腰の強い紙は好きではありません。腰が強いとページがめくりにくいのです。また、少しざらざらとした感触のほうが手になじむような気がします。
出版社では「嵩高(かさだか)」の紙が好まれる傾向があります。これは、少ないページ数でも本の束幅(背表紙のボリューム)を出すことができるからです。
非塗工紙、クリーム色、腰が弱く、ざらざらしていて、嵩高の紙。そして、手の届く価格。僕自身、そんな紙をいつも求めているのですが、100%理想通りという紙にはまだ出合っていません。また、紙にもずいぶん価格差がありますから、特殊な紙を選択するとずいぶん割高なものとなってしまうことがあります。
本文の紙に比べると、表紙の紙選びは簡単な気がします。ただ、紙の厚みについてはサンプルを比べながら慎重に選ぶべきでしょう。薄すぎると、本らしくないものとなってしまいます。手に取ったときの感触、そしてページを開いたときにしっくりくるかどうか。
表紙に関していえば、紙よりも印刷後の表面処理のほうが気になります。印刷したばかりの本は、どれも表紙がきれいなものですが、表紙はこすれるうちに汚れてしまうことがあります。
書店に並べられる本はこすれても汚くならないよう、ニス引きやPP加工が施されています。ニス引きは樹脂を塗って表面の強度を高める方法。PP加工はフィルムを貼り付けるタイプ。自費出版でもこうした加工を施すことが多いはずですが、この点は印刷する前に確認しておいたほうがよいでしょう。