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北海道の仕事と暮らし89 町の規模感と理想の生き方

北海道の仕事と暮らし89 町の規模感と理想の生き方

おはようございます。
 朝6時過ぎ出発。11時頃、中川町に到着。第6回きこり祭はすでに始まっていた。気温が高い。にもかかわらず体が冷える。強風。マーケットブースのテントが飛ばされそうなほど。そんな中、会場ではきこり丸太レースやイケメンKIKORIコンテストが行われていた。夜は中川町、津和野町(島根県)、新聞記者の方々と。町内飲食店は日曜日のため休業。ポンピラアクアリズイングでの会食となった。

地域をつくる仕事

片道5時間かかる中川町に、もう何度訪れたことか。今年は2回目。来る度に発見があり、それがまたこの町を訪れる動機となっています。昨日もそのような発見がありました。興味の尽きることのない町です。
 人口約1500人。この規模感がおもしろいのかもしれません。大雑把にいえば、帯広の人口は中川町の100倍、札幌は1000倍。東京圏は10000倍ということになります。町の規模が大きくなればなるほど、個人は「大勢の中のひとり」となっていく。
 大都市ではどのようにがんばっても、個人の力で地域を変えていくことは不可能のように思えてしまいます。けれども、中川町の人口規模であれば、「もしかしたら変えられるのではないか?」という気持ちになるのではなかろうか。そんな気持ちを持つ人が何人か集まると、実際に何かが起こる。
 ここ数年、スロウの取材で中川町を何度も訪れるうちに、そのことがよくわかってきました。おそらくこれからも、取材を通じて中川町を観察することになるでしょう。
 20代の頃まで、僕は大都市にこそチャンスがたくさんある、と思い込んでいました。実際、大都市には自分を成長させてくれるようなチャンスが数多くあるわけですが、地方都市には少し違った形でのチャンスがあり、小さな町にはさらに違った形でのチャンスがある。取材で道内各地を訪ねるうちに、そうした事例を数多く知ることとなりました。
 億単位のお金を動かしたい……といった願望を持つ人であれば、東京で働くのが一番ですし、大企業に入社するのが正しい選択となるでしょう。地方で働く最大のメリットは「地域をつくる仕事」に関わることができるという点にあります。自分の仕事を通じて関わることもあれば、勤務時間外の活動として関わっている人もいます。
 どちらの場合も、活動の動機となっているのは地域エンゲージメント(愛着心)。自分の住んでいるところをよりよくしていきたい。そんな純粋な気持ちが根底にあって、個人的な損得勘定抜きで、深く関わっているのだと思います。
 東京や札幌でもこうした活動が不可能というわけではありません。けれども、個人の影響力は相対的に小さなものとなり、活動の範囲も限定的なものとなっていく。
 人口167000人の帯広はどうか? 僕個人としてはおもしろい規模だと感じています。十勝全体でも34万人。限定的ではあっても、何かを変えることができそうな人口規模ではないかと思っています。おもしろい人が集まって何か事業を興せば、おもしろい地域になっていく。今、十勝ではユニークな実験が各所で行われていますね。「何かを変えることができそうだ」という十勝の規模感が、モチベーションの源泉になっているのかもしれません。

地方に秘められたチャンス

人口1500人の町で、しかも隣接する町村の市街地とはそこそこ距離がある。中川町のような町であれば、「ひょっとすると理想郷をつくることができるかもしれない」という気持ちになるのではないでしょうか? 
 僕は取材で訪れるだけなので、実際のところはわかりません。あくまでも僕のイメージ。もし町民になったら……。理想郷の建設に向けて、何らかのアクションを起こすことになるかもしれません。20代か30代で移住してきたら、きっとそんな野望を抱いていたでしょうね。
 「町を変える」という大それた野望(?)ではなくても、「理想の生き方をする」という欲求から移り住む人もいることでしょう。むしろ、そのほうが自然であり、健全な欲求なのかもしれません。
 自分の追い求める生き方、働き方を貫くことで、結果として周囲に影響を及ぼし、町を変えることにもつながっていく……。ある程度の年月はかかるでしょうが、個人の人生は地域と密接につながっているものです。町の規模が大きくなればなるほどつながりは見えにくくなる。
 つながりがよく見える規模の町に住むという道を選択する人が、これから増えていくことになるのではないかと思います。地方から大都市への人口流出は止まらないと思われています。しかし、どこかの時点でその流れは逆方向へ向かっていくはず……というのが僕の読みです。確信しているわけではありません。ただ、経済的合理性よりも、理想的な生き方を求める人が増えていくのではないか。大都市でも理想的な生き方を求めることは可能ですが、そのチャンスは地方にこそたくさんあるように感じられます。
 僕の狭い範囲での情報ですが、二拠点生活を送る人が増えているような気がします。それぞれ理由があってそうした生活を送っていることでしょうが、僕にはある種の実験のように思えます。二拠点生活者にとって、地方におく拠点は「別荘」という位置づけではありません。大都市でも仕事をし、地方でも何らかの活動をしている。そして、どちらにウエイトを置いているのか、よくわからない人もいます。
 職種によりますが、仕事の仕方はこれからどんどん自由なものとなっていくはずです。ネット環境があればどこででもできる仕事がありますし、季節ごと異なる仕事をするという人もいます。お金のための副業ではなく、理想の生き方を実現するために複数の仕事をする……。そんな働き方もあるのではないかと思います。
 一人前の社会人、そして仕事のプロとなるためには、一定期間はひとつのことに集中する必要があるでしょう。しかし、仕事人生の中盤から後半にかけてはさまざまな選択肢がある。選択の自由度が増す分、自分の意志や本気度が問われることになるでしょう。

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