file 33 月刊しゅん

file 33 月刊しゅん

こんにちは。Wi-Fiがなかなかつながらず、投稿が夕方になってしまいました。
 午前中はプレゼン資料作成と事務的作業。昼は北海道ホテル共栄会幹事会。午後は全道経営指針委員会と出張の準備。出張前半は残務整理的な仕事。必要な書類の用意する。謄本と印鑑証明を取りに法務局へ。5時出社。5時半から次世代幹部養成塾第10講。「全国ぷらざ協議会第95回東京勉強会」の報告。いつもよりも20分くらい時間オーバーした。入念につくった資料。おおよその中身は理解してもらえたと思う。と同時に、僕の頭の中で「歴史は繰り返す」という言葉が浮かんだ。夜、書類等の確認等。

地域経済循環

「ソーゴー印刷事業案内」は今回をもっていったん終了します。本当はまだまだ紹介すべき事業、商品があるのですが、それはもう少し形になってからということにしましょう。締めくくりは、やはり「月刊しゅん」。これほど数々のエピソードと事件が散りばめられている事業は、我が社の中で他にありません。
 月刊しゅんが創刊されたのは1998年7月。創刊の経緯についてはどこかでさらりと書いているので、ここでは割愛します。あと10年くらいたってこの事業の意味をもっと深く理解できたなら、今度は細部に至るまで書いてみようと思います。
 今回書くべき内容は月刊しゅんの果たすべき役割について。創刊から20年、これまでもいくつかの役割を果たしてきたと思います。そして、今後も地域の中で役割を果たし続けなければなりません。創刊当時、いつ消えてなくなってもおかしくない危機的状況を経て、かろうじて生かされた。生かされただけではなく、2002年頃から大成長を遂げた。僕個人としては、危機的状況の中で耐え忍んだ先人たちと、広告出稿という形で支えていただいた地元企業、店舗の方々に何らかの形で報いたい……という気持ちが強い。また、当時は我が社の苦境を知ってか、「自信を持って続けなさい」と声をかけてくれた先輩経営者もいました。
 しゅんを創刊したのは先代社長であるため、創刊に至った本当の理由は僕にはわかりません。しかし、間違いなく考えていたことがある。そう確信しています。
 それは僕の知っている言葉で言えば、「地域経済循環」なんですね。先代がこの言葉を口にしたことはありません。また、「地域のため……」といったきれいごとを話すことも滅多にありませんでした。それでも地域経済循環を意識していたのは間違いありません。これは地方の印刷会社にとって宿命的といってよいでしょう。
 地方で事業を営む印刷会社にとって、ほとんどの顧客は地元企業や店舗。あとは官公庁や個人の顧客。大企業や地域外の顧客も皆無というわけではありませんが、売上比率としては非常に低い。つまり、地域経済に左右されやすいということになります。
 1990年代、十勝においてバブル崩壊後の影響がどの程度だったのか、僕にはよくわかりません。ただ、久しぶりに帰省して帯広市内を観察すると、かつての街並みとはずいぶん違ったものとなっていました。風景が一変していたのです。

変わることのないコンセプト

月刊しゅん創刊のために参考にしたフリーマガジンは、「月刊ぷらざ」でした。本家は1987年創刊の佐賀ぷらざ。佐賀を参考に、90年代全国で月刊ぷらざが創刊されることとなります。我が社の場合、「ぷらざ」ではなく「しゅん」と命名されましたが、コンセプトは同じ。地元経済が活性化することで自社が発展する。逆に言えば、地域の発展なくして我が社の発展はないということ。すでに、小売、飲食の分野では大手チェーン店が急増していました。もちろん選択肢はたくさんあってよい。そう思っていますが、地元資本の店が減っていくのは地域にとって好ましいことではありません。
 月刊しゅんはチラシを印刷、配布するだけの広告予算を持たない店舗が主要顧客。費用対効果の高いさまざまな企画が立てられています。これは創刊当初からほぼ一貫していること。ですから、1/8ページとか、1/12ページといった小さなスペースの記事広告が多い。取材にかかる時間と労力は1/12ページでも1ページでもさほど変わりません。けれども、フォーマットを共通化することで制作コストを抑え、出稿しやすい広告料金を設定したのです。
 記事広告にはもっと別な意図もありました。フォーマットを共通化したことにより、「広告の寄せ集め」ではなく、読者にとって読みやすい記事となったのです。創刊当初は苦戦したものの、次第に広告効果が大きなものとなっていき、2002年頃からしゅんは急成長を遂げていきます。この小さな広告スペースを上手に活用している店舗や企業もあります。地元資本の企業や店舗とともに成長する。2000年代は紆余曲折があったものの、地域経済に対して想像以上のインパクトを与えることができたのではないかと思います。
 2010年代に入ると、さまざまな難問を抱えることになりました。これは我が社にとっての難問。広告主や読者にとっては選択肢が増えたといえるでしょう。歴史的に紙媒体の強い十勝ではありますが、電子媒体がじわじわ市場を拡大させていったのです。
 しゅん編集部もそのことを十分認識していて、2000年代半ばから、ウェブサイトのリニューアルやモバイルクーポンなどを整備していきました。フリーマガジンを発行する企業共通の課題は、クロスメディアということになるでしょう。あとは読者にとって使いやすいかどうか? そして、広告主である地元企業、店舗にとって費用対効果が得られるかどうか?
 ただ、僕の思いとしては「地域経済循環につながる活動かどうか?」という点がもっとも気になります。できるだけ地域内でお金が循環するような経済活動。そうした情報や働きかけを促すというところに、しゅんの存在価値があるのではないかと考えています。先代社長が生きていれば、「きれいごとを言うな!」と言われそうですが……。

〒080-0046 北海道帯広市西16条北1丁目25
TEL.0155-34-1281 FAX.0155-34-1287

高原淳写真的業務日誌