おはようございます。
朝から猛然とプレゼン資料を作成する。すごい勢い。断片的なアイデアがつながるようになり、スピードがどんどん上がる。108ページになってしまった。午後には動作確認を行う。夕方は各種事務的作業。こちらも実は差し迫っていた。7時からS社にて帯広経営研究会総務広報委員会。3月例会の打ち合わせと今後の勉強会について。9時過ぎ帰宅。1時間ほど仕事をする。
自社商品から影響を受けている自分
今日午後7時から、とかちプラザで開催される帯広経営研究会3月例会。ここで「広報からの会社経営 ~ここまでできる広報の世界~」と題して、90分ほど講演することになりました。演題は総務広報委員会のT委員長からいただいたもの。最初は不思議なタイトルだと感じましたが、確かに我が社は広報から始まり、ひたすら広報活動を行っている会社だな……と再認識しました。あらゆる活動が広報につながっているのです。
昔も今も、我が社は印刷業。分類上では製造業として位置づけられています。仕事の仕方は「受注型」。しかも、「装置産業」であるため、同業他社と差別化しにくい傾向があります。もちろん、印刷物のクオリティには優劣があるでしょうが、デジタル化が進んでいる今日、目立った差はないといってもよい。同質化競争に巻き込まれている業界といえます。
僕は……というよりも、先代の時代から我が社は「受注型装置産業」に明るい展望を抱くことができず、別な業態を模索してきました。僕が入社する以前から、自費出版事業に活路を見いだそうとし、もう一方では月刊しゅんを創刊し、「受注」から「創注」へ変えていこうと改革に努めていました。
実際にその成果が見えるようになったのは、おそらく2000年代半ばのことでしょう。意識して変えていかないと業態も企業文化も変わらない。変わっていくための決め手になったものは何なのか? 説明の仕方はいくつかあるでしょうが、そのひとつは「広報による成果」であると思っています。
なぜかというと、ほとんどの人は(たぶん僕自身も)強力な先入観を持っているのです。
「我が社は製造業であり、我々は印刷物をつくっているのだ」という先入観。きっと今でもそう信じている人がいることでしょう。そう信じて、最高のものづくりを目指す人も社内には不可欠です。実際、そうしたプロ職人が我が社では活躍しています。
その一方で、「自社の強みはもっと別なところにある」と考える人がいなければ、我が社に発展の可能性はありません。月刊しゅんの創刊とその後の出版事業の拡大は、我が社に意識改革を浸透させる上で大きな出来事となりました。
商品というものは、お客様に向けて開発され、販売されるものです。これは当然といえば当然のこと。ですが、僕の考えでは「お客様のためだけではない」のです。商品はお客様のためでもあり、自分たちのためでもある。これはどの業種、どの会社にも当てはまるのではないでしょうか?
自分たちが生み出した商品に自分自身が強い影響を受ける。そんな体験をしたことのある人も多いのではないかと思います。生み出した直後、「自分のやりたかったことはまさにこれだったのだ!」と思うような体験。この体験に巡り会うかどうか? 僕は経営者として全社員に経験してほしいと思っています。
メッセージかインスピレーションか
自社をよりよい方向へ変えていくには、自分を含む多くの社員が変わっていく必要があります。中には頑固に「変化を拒む」ようなタイプの人もいるでしょう。自社に愛着心を持っている頑固な人はむしろ好ましい存在。我が社にとって歴史的価値(?)がありますから。ただ、全体の6割くらいは変化に対して柔軟な考え方を持ってほしいと思っています。世の中が変わり続けるように、自社も変わり、自分も変わっていく。変わることが「自分らしさ」「自社らしさ」を保つ秘訣でもあるのです。
こうしたメッセージを社内にも社外にも発し続けることが、経営者の大きな役割のひとつではないかと思います。我が社の社員のみんながどれほど読んでいるかはわかりませんが、僕の毎日のブログもそのための活動です。社内と社外、両方に向けてメッセージを送り続けています。
100%社内向けのメッセージとしては社内報があります。これもかなり力が入っていて、原稿を書くときは「親の敵」のようにキーボードを叩きます。僕個人の広報活動の約半分は社内向け。
話し言葉でメッセージを伝える機会はあまり多いとはいえません。どうしても特定の人に偏ってしまう。これは僕がフォトグラファーであり、編集者と一緒に取材に行く機会が多いためでしょう。また、長時間パソコンに向かう必要があるため、会話量は非常に少ない。社内でのコミュニケーション不足は僕の抱える問題のひとつです。
一対一のコミュニケーションが不足する分、朝礼や経営発表大会といった場で、全体に向けて意味のある話をしようと心がけています。ただ、僕は「話し言葉」は危ういものと捉えているんですね。実際、話し言葉を一言一句正確にテープ起こししてみるとわかります。たいていの人は、理路整然と話しておらず、間違いや矛盾が数多く含まれているのです。
ですから、聴き手に誤解や勘違いを与えてしまう可能性が高い、と認識するべきでしょう。正確にメッセージを伝えるためには、理解度を確認しながら伝える必要がある。ここがちょっと面倒なところ。僕としては、文章のほうがきちんとメッセージを伝えることができる、と考えています。これには異なる見解もあるはず。僕の場合は話し言葉より文章表現が向いているということです。
今日は講演なので話し言葉がメインとなります。講演の場合、重要なのは「メッセージを伝えること」よりも「インスピレーションを与えること」です。つまり、解釈に自由があってよいと思っています。聴き手に求められるのは理解力ではなく発想力。発表の準備は完璧です。きっと、聴き手の何人かに脳内革命が起こるのではないか? 楽しみにしているところです。