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広報と広告06 地方で働く意味を伝える

広報と広告06 地方で働く意味を伝える

おはようございます。
 昨日は完全休養日。雑然とした書斎を片付けようと思ったが、それすらせずにひたすら休むことにした。夕方、買い物へ。

「りくらす」と「わくらす」

今日午後、東京で20分ほど事例発表を行います。「じゃぱにうむ2019 ~印刷産業の地方創生事業事例発表会~」というもの。主催は日本印刷産業連合会。会場は大日本印刷五反田ビル1Fホール。発表するのは我が社を含め、全国で9社の印刷会社。発表順を見ると、僕の出番は午後2時40分。20分という短い時間で話し切ることができるかどうか? というよりも、伝わるかどうか? 的を絞った話し方をせねばなりません。
 テーマは「移住本りくらす&仕事の本わくらすによるUIJターン事業」。本当は「りくらす」「わくらす」の発案者や担当者が語るべきテーマ。しかし、3月という繁盛期ですから、無理に連れていくわけにはいきません。適任かどうかわかりませんが、今日は僕の知る限り、両媒体の背景と今後の展望について語ろうと思います。
 印刷会社が行っている地方創生事業。そのほとんどは広い意味で広報活動といえるのではないかと思います。「りくらす」「わくらす」は地域の暮らしやすさや働き方に関する広報活動。
 そもそも、「札幌以外、北海道には仕事らしい仕事がないのではないか」などと思っている人が大勢います。東京にはやり甲斐のある仕事がある。だが、地方へ行けば行くほど、自分のやりたいと感じる仕事はないに違いない……。勝手にそう思い込んでいるんですね。仕事に規模を求めるのであれば、確かにそうなのかもしれません。地方における仕事のやり甲斐。それはもっと別なところに基準があるのです。
 そのひとつが「地域をつくる」「地域を変える」ことにつながっているかどうかというところ。どの業種、どの職種でも、本気で取り組んでいけば、地域との関わりが深まり、地域をつくっている、変えているという実感が得られる……。ここに地方で働く意味と価値がある。僕はそんなふうに考えています。
 自分も地域づくりに参加しているという実感。それは何にも代えがたい仕事のやり甲斐と言えるのではないでしょうか?
 東京時代、僕もかなり真剣に仕事をしていました。体力があったせいか、超長時間労働で仕事をこなしていた。多いときには、ひと月で50ページ以上のタイアップ広告を作成していました。撮影のみの仕事を含めるとそれ以上のページ数となります。おもしろくて刺激的な仕事でもありました。しかし、地域を変えるわけでも日本を変えるわけでもありませんでした。誰かの人生に役立っているという実感も薄かった。
 東京も一地域ですから、地域密着型の仕事の仕方もあったとは思いますが、僕の場合はそのような仕事とはほとんど縁がなかったのです。地域をつくる、変えるという仕事のおもしろさに気づいたのは、帯広にUターンしてからのこと。自分の関わっているプロジェクトが何らかの形で地域に影響を及ぼしている……。思い込みや錯覚もあるのかもしれませんが、自分にはそのように感じられる。それは大都市で働いているときには得られなかった感覚といえます。

無関係に見える事業がつながりだす

自分の働きが地域に役立っている。少なくとも周囲の人々のためになっている。そんな実感を得やすいのが地方のよいところではないかと思います。
 自己重要感が得られやすいのですね。これは自分の心の豊かさを保つ上で、とても重要なことといえるでしょう。誰かの役に立っているという実感。これが得られないと殺伐とした気持ちとなり、自分が何のために働いているのかわからなくなる。その結果、規模やお金を追い求めるようになってしまうわけです。
 もちろん、東京にも札幌にもやり甲斐のある仕事はたくさんあります。そうした仕事を通じて自己重要感も得られるでしょう。だが、今のような大都市偏重の考えはもっと改められるべきだと思っています。
 地方から大都市への人口流出を食い止めたいというのが、僕の主張の根底にあります。印刷事業者の成功事例発表というわけではないのです。まだまだ成功しているとはいえず、成果も十分とは考えていません。ただ、このエネルギー投入量でこのまま突き進んでいけば、道が開けてくるに違いないと思っているだけ。
 事実、「りくらす」「わくらす」に関連する新規事業が増えてきている。社内には関連性に気づいていない人もいるかもしれません。何がどうつながっているのかについて、もっとていねいに社内で説明する必要がありそうです。
 プレゼン資料を読み返しながら思ったのは、全体のつながりを説明するのは容易ではない、ということでした。社内のそれぞれの人が新たな可能性を模索するうちに、ほぼ同時期に複数のチャレンジを行った。表面だけを観察すると、関連性の薄い事業のようにも思われます。けれども、根底ではつながっている。チャレンジは、今も連続的、継続的に行われています。
 数年たち、一見無関係のように思われていた事業や商品がつながりだしてきました。「たまたまつながっただけ」と考える人もいるでしょう。けれども、そういうわけではありません。根底に流れる思想が共通しているから、タイムラグはあってもつながってくる。僕はそう考えています。理念が共有されていれば、目指すべきところはほぼ同じということになるのです。
 結局、「足元の豊かさに光をあてながら、わくわく北海道をつくります」というスロウの編集理念がいかに強力であるかについて、僕は思い知らされています。我が社の媒体は、しゅんかスロウ、いずれかの編集理念に沿ってつくられている。それは出版物に限らず、イベントでもツアー商品でも変わることがありません。我が社の場合、編集理念=広報理念となっている。そう考えるべきでしょう。

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