おはようございます。
午前9時出発。富良野へ。ちょっと出発が早すぎたか? 予定より30分早く到着。フラノマルシェに立ち寄ってから取材先へ。美しい料理を撮影する。午後は旭川。といっても、ずいぶん郊外。ナビもグーグルマップも役に立たない。雪も深くなってきた。道に迷ったため15分ほど遅れて到着。人里離れた一軒家に人が大勢集まっていた。何やら興味深いレクチャーが行われている。僕は撮影を急がねばならない。40分ほどで撮影を終了し、編集者I氏を残して、ひとりで帯広に戻る。帰宅、着替え、クリーニング店、会社、ホテルノースランド。何とか間に合った。7時から帯広ロータリークラブ次年度クラブ協議会。9時半帰宅。出張準備。写真セレクト作業。気づくと0時をまわっていた。
情報を求めて集まってくる人々
おもしろいと思うのは、情報発信する場所によって伝わるメッセージが違ってくるということ。僕らは帯広から情報発信活動を行っています。もし、この活動を札幌で行っていたらどうなるか? あるいは、東京に編集部があったらどうなるのだろうか? 仮に同じような編集理念、編集方針を掲げていたとしても、異なる媒体、異なるメッセージになるのではないかと思います。
どこから情報を発信するのか。この「場所」というものが実は非常に重要なのです。
昨日の旭川の取材では、僕は数カット撮影しただけ。取材内容の全貌はまったくわかりません。けれども、一面雪景色、周囲に人家が見当たらないこの場所で情報を伝えると、どういうことになるのだろう? 集まってきた人たちはどういう人たちなのだろう? とても興味深いものがあります。単なる知的好奇心というよりも、もっと「何かを求めて」集まってきている人たちに違いない。そんなイメージが膨らんでくるのです。
帯広という場所は、誰かが「中途半端な都会」と言っていましたが、僕の考えはちょっと異なります。ちょうどいいバランスのとれた場所と規模感。ここに帯広のおもしろさがあるような気がします。東京も札幌も大都市。帯広は地方都市ではありますが、少なくとも都会ではないな……。
そう思って試しにネットで検索してみたら、帯広の都会度ランキングは全国84位、道内では4位なのだとか。「商業的に栄えているかどうか」を基準にランク分けされたものとのこと。思ったよりも、上位にありますね。十勝管内、帯広以外の町村に住む人にとって、帯広は都会と映っているのでしょうか? このあたり、僕にはよくわかりません。僕の場合、市町村の境目はあまりなく、十勝でひとくくり……というイメージです。
そういえば、富良野での取材の中に気になった話がありました。その店は以前東京に店舗があったらしく、その頃から北海道の食材を使っていたとのこと。しかし、同じ食材を使っても、東京では輸送のため1日遅れて食材が到着する。この鮮度の違いが大きいのだそうです。最高の素材を使っても、最高の状態で提供できるというわけではないのでしょう。鮮度を保つ技術は進歩していると思いますが、やはり産地には敵わないに違いありません。
情報の産地と加工地
地産地消とはちょっと意味合いが異なるかもしれませんが、僕は「情報の鮮度」というものがとても重要ではないかと考えています。
できるだけ産地に近い場所から情報が発信されること。それを地元に住む人たちに届けることができれば、「情報の地産地消」といってもよいのではないでしょうか?
雑誌にしろ、ウェブサイトにしろ、情報そのものは腐るわけでもカビが生えるわけでもありません。古くはなっても、劣化することはない。しかも、今の時代は電子媒体なら、リアルタイムに世界中へ届けることが可能。このため、多くの人が誤解しているのではないかと思うことがあります。
情報はどこから発信されても同じではないか……という誤解。
僕は反対の考えを持っていて、「発信場所こそ重要」だと思っています。どんな人がどこから発信しているのか? それによって伝わるメッセージに違いがある。
同じ話を聴いたとしても、近所の人の話と著名人の話とでは、伝わり方に違いがあるわけです。近所の人の話のほうが信憑性が低い、という意味ではありません。経験上、近所の人の話のほうが正しい、信頼できるというケースも少なくない。テレビを見ていても、「実際とはずいぶん違うな」と思うことがあります。
情報にちょっとした違和感を感じることがあるのは、「情報の産地」と「情報の加工地」が離れているためではなかろうか? 情報を編集したり加工する人が産地のことを理解していないようなケース。現場を見ないで原稿を書くと、このようなことが起こりうる。情報発信地が大事である理由、わかっていただけるでしょうか。
人里離れた場所に住む人から見ると、帯広も都会ということになるでしょうから、僕らも情報の産地と加工地のギャップについて認識する必要があるのではないかと思います。先ほど、大雑把に「十勝でひとくくり」と書いてしまいましたが、そうした認識は少し改める必要があるかもしれません。
僕らは創刊以来、一貫して「現場主義」を基本方針として活動してきました。何といっても、直接取材場所へ出向き、自分の目で確かめる。これが何より重要。記事によっては、季節を変えて何度も訪問することがあります。鮮度の高い情報を得るだけではなく、本質に迫る情報を伝えようと意識すると、一度だけの取材では不十分なケースもあるのです。
情報の鮮度というのは、「新しい」という意味ではなく、「一次情報」であるということ。二次情報、三次情報を編集・加工すると、鮮度の低い記事になってしまうことでしょう。このため、情報の産地に近い場所に拠点を構えることが重要であり、ここ帯広は道内でも絶好のポジションにあるのではないかと考えています。