高原淳写真的業務日誌 > 激訳・自分史作成講座 > 第15回 本文レイアウト

第15回 本文レイアウト

第15回 本文レイアウト

おはようございます。
 1週間があっという間に過ぎてしまいます。今年はビックリするほどハードな2月を過ごしています。僕だけかな・・・と思っていたら、社内にも僕と同じような人が何人かいるようです。日報を読んでいて判明しました。
 我が社の印刷部門は年度末の2月、3月が書き入れ時となります。そして、出版・広告部門のほうも、どうやら複数の媒体の入稿時期が重なっているようです。全社を挙げて時短に取り組んでいるものの、3月まで残業が長くなるのはやむを得ませんね。4月にはみんなひと息つくことができるでしょう。
 仕事というものは、ある時期に集中しやすいもの。どうしてもスケジュールを詰め込まざるを得なくなります。けれども、ページに文字を詰め込みすぎるのは考えものです。
 というわけで、久しぶりに強引な話の展開をしてしまいましたが、今回は本文レイアウトについて考えてみたいと思います。

「読みやすさ優先」で決めていく

お手元にある本をいくつか開いてみるとおわかりいただけるでしょう。本のページには必ず余白があるものです。この余白にはそれぞれ名称があります。

小口 ページを開いたときの本文の外側
ノド ページを開いたときの中心部分(内側)
天  ページの上側の余白
地  ページの下側の余白

天と地はわかりやすいと思いますが、「小口」「ノド」は耳慣れない言葉かもしれません。
 この余白は案外重要なもので、デザイナーの腕が悪いと非常に読みにくい本になってしまいます。僕が一番気をつけているのはノドの幅。ノドを狭くとってしまうと、ページを思い切り開かないと本文を読むことができない・・・という本になるのです。滅多にありませんが、一部の自費出版物でそうした本を見たことがあります。
 プロのデザイナーの場合、そうした初歩的失敗をすることはありませんが、やや余裕を持ってノドの幅を決める必要があります。「小口」「天」「地」については、デザイナーのセンスと著者の好みによって決められていくことになるでしょう。
 本文ページには本文の文章が入るだけではありません。通常は、ノンブル(ページ番号)や柱(各ページ統一で入れる章のタイトル)が入っているはずです。ノンブル、柱を考慮して、天と地の幅を決める必要があります。

次に考えるべきことは、縦組みか横組みかという問題。どちらかというと、縦横を決めるのが最初かもしれません。
 縦か横か。これはハッキリ言って、好みの問題ということになるでしょう。けれども、長い文章をじっくり読むには縦組みのほうが読みやすいのではないかと思います。書店に並んでいる本を見ても、通常の書籍に関しては、縦組みが多数を占めているはずです。
 横組みの本に向いているのは、英数字が頻繁に出てくるようなもの。自分史であっても、外国語や数字が頻繁に出てくるようであれば、横組みでつくるほうがよいでしょう。
 縦組みと横組みは文字の流れる向きが違っているだけではありません。これにより、ページの開き方が変わってきます。縦組みでは右開き、横組みの場合は左開きとなるのです。本を手にとって、表紙の右に背表紙が見えるのが右開き、左にあるのが左開きです。

最後に考えるべきことは、本文の文字の大きさと書体、そして字間と行間です。
 まず何よりも考えるべきことは「読みやすいかどうか」でしょう。文字は大きすぎても小さすぎても読みにくいと感じるものです。ほどよい大きさというものがあります。これは年代によって違いがあるもの。若者向けの雑誌の中にはビックリするほど小さな文字で埋め尽くされているものがあります。自分史であれば、やや大きめの文字を使用するべきでしょう。
 文字の大きさは「ポイント」または「級」で表されます。「級」は印刷業界以外の人にはなじみが薄いかもしれません。ポイントで話を進めます。ちなみに、当社の「クナウこぞう文庫」の本文は、10ポイント弱という大きさ。中途半端に「弱」と書いたのは、ポイントではなく「級」で指定されているため。
 自分史の場合は、9ポイントあたりが最小サイズでしょうか。10ポイント、またはそれ以上のほうが年配の方々には読みやすいのではないかと思います。
 文字の大きさだけではなく、字間と行間も読みやすさを左右する重要な要素となります。字間とは文字と文字の間隔のこと。特殊な意図がない限り「ベタ組み」でよいでしょう。ベタとは隣り合う活字と隙間を空けずに文字を組むこと。わかりにくいですね。そもそも、今の時代、活字は使われていませんから・・・。字間を空けると、文字がゆったり、またはバラバラになった印象を与えることになります。逆に、「ツメ組み」といって文字の間隔をベタよりも詰めると、窮屈な印象となり、読みにくいものになってしまいます。
 字間は「ベタ」でよいとして、行間のほうはどうでしょう? 行間が狭いと読みにくい。ある程度、余裕を持って行間を設定する必要があります。文字の大きさと字間、行間。この3つのバランスがとれていると、読みやすい本文となります。せっかく文字を大きめに設定しても、行間が窮屈になると、読者はストレスを感じてしまいます。本文レイアウトについては、やはりプロに任せるのがよいと思います。
 

〒080-0046 北海道帯広市西16条北1丁目25
TEL.0155-34-1281 FAX.0155-34-1287

高原淳写真的業務日誌