
おはようございます。
午前9時、新入社員研修第2講「なぜ出版なのか」。10時半からは第3講「印刷の歴史」。午後1時半、個人面談。札幌での新入社員研修を終えての感想等。夕方、自宅で夕食を兼ねたミーティング。
「何のために」という問いを持つ
社内での新入社員研修が本格的に始まりました。
いつも思うことは「なぜやるのか?」という目的意識の大切さについて。目的意識が希薄になると、必ずといってよいほど方向性がずれていく。ずれすぎて修正がきかなくなる前に、自分で軌道修正しなければなりません。上司が気づいて軌道修正を試みることもあるでしょう。けれども、気づかないこともありますし、気づいたときにはどうにもならないという場合もある。自分で気づいて、自分で修正するのが一人前の社会人といえるでしょう。
会社としてできることは、気づくための機会をできるだけ多く提供することではないかと思っています。次世代幹部養成塾はそうした機会のひとつ。多くの若手社員は「具体的なスキル」を手に入れたいと考えていますが、次世代幹部養成塾でそうしたテーマを扱うことはあまりありません(たまにありますが)。それよりも、もっと本質的なことについて自分の頭で考えてほしいと思って毎回開催しています。
目的意識なく働くと、手段が目的化するという傾向が出てくることになるでしょう。たとえば、「何のために営業活動を行うのか?」がわからくなると、「売上を上げること」が目的となってしまいます。売上を上げる、利益を上げる。これは「手段」であって、目的とはいえません。売上・利益を上げることでどのように自己実現に向かっていくのか? あるいは、自分の能力をどのように世の中に役立てられるのか? 日々の仕事に全力を傾けながらも、「何のために?」という問いを持ち続けなければなりません。
ただ、四六時中「何のために」について考えているわけにはいきませんから、営業の人は目標数字を追いかける、編集職は締め切りに間に合わせる、クリエイティブ職はユニークな発想を形にする……といったことに没頭することが多いでしょう。それでよいと思います。
大きな仕事の山を乗り越えたとき、あるいは一日仕事が終わってリラックスしているとき、少し考えてみてほしいのです。一生懸命働いているのは何のためなのだろうか……ということ。これが「売上を上げるため」だったり「ただ生活費を稼ぐため」だったとしたら、空虚な気持ちになってしまうのではないでしょうか?
もちろん、生活費を稼いで家族を養うというのも立派な目的ではあります。しかし、経済的側面以外にも意味ある目的を持ってほしいと思っています。お金のためだけだったとすれば、もっと稼げる会社は世の中にたくさんあります。我が社でなければできないと思える何かを見つけ、自分にとってこの会社で働く意味を見つけること。僕の願望も多分に含まれていますが、ソーゴー印刷はそういう集団でありたいと考えています。
一人ひとり目的意識を持って、意味のある仕事、世の中に価値をもたらす仕事をし続けている会社。それが我が社の目指すところなのです。
歴史を手がかりに
そのためには「歴史観を持つことが重要ではないか」という話を新入社員研修の中で行いました。
歴史をどのように捉え、歴史上の出来事をどのような目で見るか? これは本当に大切なことではないかと思います。もっとも、特定の歴史観を押しつけようという気持ちはみじんもありません。特に、思想や宗教が絡むような歴史観について触れることは皆無。
僕の伝えたい歴史観はおもに自社の所属する業界の歴史観。業界の歴史は自社のビジネスに貴重なインスピレーションをもたらすものです。極端に言えば、「答は歴史の中に埋もれている」と言ってよいかもしれません。研修資料を作成している間にも、僕は重要なヒントが隠されていたことに気づきました。この産業はなぜ興ったのだろう? そんな素朴な疑問が、今抱えている問題を解決するための重要な手がかりになることもあるのです。
新入社員及び社歴の浅い人たちは、まだ「何のために自分はこの仕事をしているのか」が、明確になっていないのではないかと思います。自分の経験の中から答を見いだす。それが望ましいわけですが、数年の経験から簡単に答が発見できるとは思えません。勉強する必要があるのです。勉強し、知識を身につけた上で、さまざまな経験を重ねていく。そのようにして、自分ならではの答を見つけるのが望ましい。経験だけでは非常に危なっかしいのです。
印刷産業ということでいえば、我が業界は少なくとも570年の歴史を有しています(グーテンベルクの活版印刷を起点とした場合)。印刷の起源を「ファイストスの円盤」と定めるならば、3600年の歴史ということになるでしょうか。グーテンベルクによる活版印刷以前にも、中国を起源とする木版印刷が7、8世紀から広く行われていました。
そうした印刷は何のために行われたのか? ここを深く考えると、今僕らが行っているビジネスの意味と価値をイメージすることができるでしょう。ファイストスの円盤をつくった人は、果たして経済活動として行ったのか? もしかしたらそうなのかもしれませんが、もっと別な目的もあったはず。何らかのメッセージを記録に留めたい。そんな強い欲求があって、印刷という手法を用いたのではないか。そう僕は想像しています。
新入社員にしてもベテラン社員にしても、ソーゴー印刷の活動に何かしらの興味や関心があって入社したに違いありません。全国に380万の事業所がある中で我が社を選んだわけです。そこには「何らかの目的意識」や「欲求・願望」があったはず。
できれば、新入社員のうちにそれを言葉として書き留めておくことが重要です。数年たつと目の前の仕事に追われて、すっかり忘れてしまうという人もいるからです。今日の次世代幹部養成塾は、忘れてしまった人に向けて、再び思い出すチャレンジを行います。
