第16回 編集者の役割

第16回 編集者の役割

おはようございます。
 またしても超早起きしてしまいました。午前1時起床。日曜日、最高と思えるスピードで原稿を書いたためでしょうか? ブログを書いたあと、二度寝することになりそうです。
 それはさておき、これまで15回にわたって書いた「激訳・自分史作成講座」ですが、少しわかりにくいと感じた点はないでしょうか? おそらく、本ブログを読まれている方の大部分は、印刷・編集の専門家ではないはず。できるだけわかりやすく解説したものの、専門用語などが出てくることもありましたから、少しとっつきにくかったのではないかと思います。
 出版にはどうしても専門知識が必要となる部分があります。自分ひとりで自分史を出版しようと意気込むと、けっこう大きな壁に突き当たってしまうことになるでしょう。したがって、アドバイザー、または編集者の手助けが欠かせません。

もっとも信頼できるアドバイザー

印刷会社に自分史をはじめとする自費出版を依頼すると、最初にコンタクトをとるのは、その会社の営業パーソンということになるでしょう。当社の場合は営業職を兼ねた編集者というケースもあります。また、営業パーソンの中にも編集に精通した人がいますから、両者の間にハッキリ境界線があるわけではありません。
 本のクオリティを左右する最大の決め手は、当然ながら「原稿の質」ということになります。しかし、どのようにすれば見栄えがよくなるか、もう一段質を高めることができるか? それを左右するのは、編集者の力量といえるでしょう。著者にとっては、「よい編集者と出会うことができるかどうか」が実は非常に重要な決め手となるのです。
 著者が作成した原稿が「完全原稿」に近く、しかもつくりたい本がどのようなものかハッキリしている・・・という場合であれば、編集者の出番はあまりないかもしれません。けれども、「どのように書き進めていったらよいかわからない」「本の構成についてアドバイスがほしい」「これでよいのか自信が持てない」といったことであれば、編集者は著者にとって大きな心の支えとなってくれることでしょう。
 これは商業出版でも自費出版でも変わりありません。数多くの本を出版してきた著名人であっても、たいていは編集者との共同作業で本を生み出しています。初出版という人であれば、大いに編集者を頼るべきでしょう。

編集者はその道のプロ。数多くの出版物を手掛けてきた経験から、「どんな本が魅力的なのか」について、それぞれ持論を持っているはずです。
 その一方、自費出版の場合は、すべての決定権が著者に委ねられています。ですから、中には「一言一句たりとも直してほしくない」という著者もいます。ただ、どうなのでしょう? 気持ちとしてはわかりますが、プロの編集者のアドバイスを参考にすることで、本のクオリティは格段に高まる可能性があるのです。できれば、「よりよい本をつくる」という共通の目標を持って、コラボレーションしたいところです。
 ですから、編集者のアドバイスが得られない印刷会社に自費出版を発注するのは考えものだ・・・と僕は思っています。もちろん、編集経験豊富な営業パーソンもいますから、肩書きがすべてではありません。この点では、著者がよく納得した上で印刷会社と契約を結ぶべきではないかと思います。価格を重視するか、本としての魅力や完成度を優先させるか? 自費出版の費用は決して安いものではありませんから、慎重に検討するようにしてください。
 今回が初めての自費出版というケースであれば、やはり編集者と相談しながら進めていくことをおすすめします。原稿が完成しているという場合であれば別ですが、一冊の本を書き上げる、そして完成させるには数ヵ月、場合によっては1年以上かかるものです。編集者がいなければ、大きく遠回りしたり、出版に至らず挫折してしまうかもしれません。

一通り原稿が完成したあと、編集者が行うのは次のような仕事です。
1.原稿のチェック
2.原稿の整理
3.割り付け
4.入稿
5.初校校正
6.再校校正
7.校了チェック
 このほかに、タイトルの決定やカバーデザイン、帯のコピーなどについて著者と相談しながら進めていきます。著者の意向を踏まえ、デザイナーに対して的確に指示を出すことも、編集者に求められるスキルのひとつです。
 校正という段階に入ると、著者、編集者とも、記述や文章表現が適切かどうか入念にチェック作業を行うことになります。ここでは、編集者のほかに校正者のチェックも入るでしょう(印刷会社にもよりますが)。
 校了を迎える頃にもなると、本を一冊書き上げたという深い感慨が湧いてくるに違いありません。そして、そのことを我がことのように喜んでくれる編集者がいるはずです。
 自分史を出版するというのは、人生の中でも一大事業のひとつといえるでしょう。長い制作期間、苦楽を共にするパートナーとして、信頼のおける編集者と一緒に本づくりを進めていくのがよいのではないかと思います。

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高原淳写真的業務日誌