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北海道の仕事と暮らし107 破壊と創造

北海道の仕事と暮らし107 破壊と創造

おはようございます。
 朝は入稿作業に全力を注ぐ。担当デザイナーにはデータ一式、取材先にはPDFを送る。その後が素晴らしい。すぐさま、デザイナーからは完成データが、取材先からは校正が戻ってきた。ひと山乗り越えたところで、たまりにたまっている案件に着手。差し迫っているものから……と思ったら、差し迫ったものがいくつもあった。それでも、次第に平時に戻りつつあることを感じていた。午後はM氏とミーティング。
 5時、ノースランド。中小企業家同友会とかち支部第45回定時総会。6時からは記念講演。講師は三重同友会の松本祐司氏。印刷業、(株)アサプリホールディングスの代表取締役。テーマは「理念の共有と見える化による経営管理 ~社員の幸せを実現する多角化経営とM&A~」。7時15分からは懇親パーティ。三井真十勝総合振興局長と米沢則寿帯広市長の来賓あいさつは、どちらも示唆に富んだものだった。農業経営部会の30周年記念事業「全道農業関連部会交流会inとかち」のPRもあった。「破壊と創造」というキーワード。シュンペーターの「創造的破壊」とはちょっと意味合いが異なるのかもしれない。破壊と創造を並列させた意味はどこにあるのか? このあたり興味深い。

20年前の「見える化の試み」

新たに効率的な方法が生み出されれば、古い非効率的な方法は駆逐されていく。企業の発展にはイノベーションが不可欠。それが創造的破壊の意味するところです。ただ、よくわからないのは、イノベーションを起こすのに「いったん古い頭の中を破壊する必要があるのかどうか」というところ。
 過去の経験値が役に立たない事柄が増えてきました。それでも、意思決定の際には過去の事例と絶えず照合している自分がいる。すべての経験値を捨て去ってしまったならば、頭の柔らかい新入社員のほうがはるかに優秀であり、正しい意思決定をするということになるでしょう。現実にはそう単純なものではありません。情報と事例は豊富に持っているほうがよいことは明らかです。
 過去の経験(特に成功事例と失敗事例)を活用しながらも、そのときの感情にとらわれないことが大切ですね。僕も数多くの事例(けっこう失敗事例が多い)を持っていますから、油断すると感情に流される。この場合の感情とは、過去の失敗が尾を引いていて「消極的な気持ちになる」といったようなものです。慎重なのはよいことですが、消極的になってはいけない。過去の失敗経験は成功するために必要なプロセスなのだと考えるべきでしょう。
 そういえば、20年ほど前の話、我が社には「見える化」に取り組もうと思って失敗に終わったという経験があります。僕が入社する少し前のことでした。1999年か2000年、我が社では工程管理システムを導入しようとしていました。それまでは紙の伝票が各工程に回っていくような仕組みだったと思います。これをオンラインでつなぐ。当時としては斬新でした。僕が入社したときには真新しいブルーのiMacが並んでいて壮観だったのを覚えています。
 しかし、このときせっかくの工程管理システムは重要な機能が使えなくなってしまっていたのです。それが「見える化」に関わる部分。作業工程の見える化という点では素晴らしい仕組みでしたが、個人の生産性や能力の見える化というところはブラックボックスのまま残されてしまいました。その機能をあえて外してしまったのです。当時の社内には、「見える化されると困る」という人が多かったのでしょう。松岡氏の講演を聴きながら、古い記憶がよみがえってきました。

破壊と崩壊の違い

僕の解釈が的を射ているのかどうか、怪しいところがありますが、「破壊と創造」という言葉には深い意味がありそうな気がします。
 創造的破壊というのは、おもに大企業の手法でしょうね。地域企業、中小企業でも創造的破壊は可能なのでしょうが、「イノベーションを起こすために現実を破壊する」という理性的行動を選択する企業がどれほどあるのでしょう?
 後付け理論でそう説明できる企業はきっとたくさんあるに違いありません。けれども、イノベーションの真っ只中にあっては、「無我夢中でやっているうちにそうなった」というケースが多いのではないでしょうか。
 さまざまな講演を聴いたり、本を読んだりするとわかるのは、やむにやまれぬ事情の中から画期的な何かが生まれることが多い、ということです。
 最初に破壊ありき。創造が先にあって、そのために古い仕組みを破壊していくという賢いやり方で進められるケースは少ない。破壊され尽くされて何も残っていないように見えるけれども、必ず何かがあるはずだ……。そんなところから新しい何かが創造されるのではなかろうか?
 イノベーションどころか、現状から一歩も前に踏み出せないでいるとしたら、それは破壊ではなく崩壊が進んでいるということなのかもしれません。崩れていくのを傍観しているようであってはいけない。自ら積極的に破壊することが大事。どちらも「壊れる」という点で同じではないかと考える人もいるでしょうが、自分で壊すのと環境変化で壊されるのとでは、意味もスピードも異なります。廃墟を残したままでは新しい建物は建てられない。脳内をいったん更地にするというのが「破壊」の意味するところなのでしょう。
 何もないように見えるというのは、もしかすると絶好の機会といえるのかもしれません。もし、目の前に何かひとつが見えたとすれば、そこに全身全霊を注ぎ込むことができるからです。目移りするものがない。そんな仕事の仕方をする人が社内にいると心強いですね。
 多くの企業経営者の網膜には、実にさまざまな風景が映っています。これがイノベーションを妨げる要因のひとつともなっている。20年前の我が社も徹底した見える化を推し進めればよかったのでしょうが、社内の声を聞くうちに平凡なシステム利用に留まることとなりました。
 松岡氏の講演にあった「理念、働く目的の共有」が大前提ですね。強引に進めるだけではうまくいかない。「何のために」が明確でなければやる気は出ない。小さな破壊を重ねながら、理念の共有を少しずつ強固なものとしていく。僕はそんなイメージを持っています。ただ、世の中の変化は激しいですから、もっとスピード感が必要ですね。

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