
おはようございます。
朝はF社へ。10時過ぎに出社。11時来客。興味深い話。午後1時、大樹高校の生徒さん20名が来社。35分ほど話をさせていただく。テーマは「働くことの意味と価値」。通常60分かかる話。1.2倍速で話す。高校生は頭の回転が速い。みんな熱心に聴いてくれていた。その後会社見学。1時間ほどで次の目的地へ向かって出発した。次の仕事は次世代幹部養成塾の準備と事務的作業。4時、札幌からY氏が来社。5時半からは次世代幹部養成塾第14講。テーマは「事例研究」。ある意味共通する2社の事例について。
平成最後の出勤日はいつもと変わらない一日となった。しかし、何かが違っているような気がした。一夜明けると雪景色になっていた。平成最後の雪かもしれない。
天職に出合う
昨日はほぼ一日、「いい会社とはどういう会社なのか?」について考えていました。東京で興した会社は平成元年7月設立。あと4日で平成が終わると思うと感慨深いものがあります。めちゃくちゃ働きましたが、いい会社でした。そのように働いても苦に感じないような会社。若くて体力があったためかもしれません。ただ、東京時代の会社は経営指針と呼べるようなものをつくっていなかった。このため、1995年頃からあらぬ方向へ向かっていった。会社には経営理念と経営ビジョンが不可欠。そう思い至ったのは、ソーゴー印刷に入社してからのことでした。
理念とビジョンがあって、それが社内で共有されている。社員全員が自社の理念体系に共感して働いている……。人数の多い会社の場合、全員というわけにはいかないでしょう。けれども、会社全体として向かう方向がしっかり定まっている会社を、僕らはつくっていく必要があります。
「今はいい」というだけの会社であってはいけない。そしてまた、今のよさの中には、小さな失敗の種がいくつもあるものです。それが育っていくと、数年後、思わぬところで足をすくわれることになるのです。会社の状態がよいか悪いか。これは現象面であって、よい状況の中には悪い種があり、悪い状況の中にはよい種がある。そう考えるようになると、一喜一憂しなくて済みますし、種の存在に気づきやすくなるものです。
大樹高校の生徒さんたちに伝えたかったのは、「純粋に働く喜び」を感じられるような生き方をしてほしいということでした。10代から20代にかけては、現象面にとらわれやすい。見た目がかっこいいとか、給料が高いとか、休みが多いといった外形的なところに目が奪われる。そうなると、本当に自分が天職だと思えるような仕事があっても、その存在に気づかないまま年をとっていくのです。
学生時代にいきなり天職と出合うという人は滅多にいないことでしょう。ですから、よくわからないまま何となく就職するという人が多いかもしれません。それはそれでOK。問題はその後。入社した会社で本気になって働くことができるかどうか? 本気になるということは、自分の意思で決め、それをやり続けるということ。努力を継続するうちに、得意な仕事がハッキリしていき、本当に好きだと思えるようになり、「これぞ天職」と考えるようになる……。そういう人は我が社にも多いのではないかと思います。
最初のきっかけが重要なのではなく、今自分が置かれている状況を肯定的に受け入れ、自分のできることを精一杯行うことで道が開けてくる。それが「純粋に働く」ということであり、その中から仕事の意味と価値がわかるようになっていくのではないか? わずか35分の講義では伝わりにくいところもあるでしょう。「激訳・キャリアデザイン」を読んでもらえればと思います。
自分の頭で考える
夕方の次世代幹部養成塾は、少し社風の異なる2社の事例を並べてみました。社風は異なるものの、共通している点があります。それはしっかり利益を生み出しているというところ。それを「マインド的アプローチ」で行っているか、「徹底した数値管理」で行っているかの違い。我が社は前者の社風に近い会社ですが、徹底度という点では事例で挙げた会社には遠く及ばない。また、後者のように数値管理を徹底するのも、我が社の社風になじみにくいと感じているところがあります。
おそらく、両者のよいところを組み合わせたような会社づくり。徹底はしていないが、別な形でいい会社を目指していくことになるのでしょう。
僕の目指すいい会社とは、人間らしい働き方ができる会社。何をもって「人間らしい」といえるのかは、意見が分かれるところでしょう。僕個人の考えとしては、自分の頭で考え、自分の考えを持ち、自分の意思で決め、自己管理しながら行動する……といった働き方。これが人間らしい働き方であり、そうした働き方ができる会社を「いい会社」と言いたい。そう考えています。
これは僕自身、他人に支配されたくないという思いが強いためでしょう。「支配されたい」と思う人はまずいない。僕は長年そう思っていたのですが、そうでもないということが次第にわかってきました。会社には指示待ちの人がいるという事実。もう18年くらい前の話になります。「指示してください。その通りやりますから」と社内で言われたことがあります。僕はビックリしましたね。半人前の人ならわかりますが、自分で意思決定すべき立場の人だったからです。
仕事で何が楽しいのかというと、できることが増え、自由度が増すというところにあります。半人前の人であれば、誰かの指示通りに動かねばなりません。当然不自由さを感じることとなる。だから懸命に努力して、仕事を覚える。覚えるだけでなく、誰よりも優れた存在になろうとする。
そういう前向きな意欲をしっかり受け止めることのできる会社が「いい会社」といえるでしょう。それがあれば、マインド的な会社でも数値管理の会社でもいい会社になっていく。
僕の頭の中には、最後に「前向きな意欲」とはどういうことか、という問題が残ります。このあたりについては、後日改めて書くことにします。