おはようございます。
ほぼ一日原稿づくりに専念できた。といっても、まだまだスピードは上がっていない。謎を解明しながら掘り進んでいるという状態。それでも、原稿の書き進め方が定まってきた。おそらく、このやり方以外にない。そう確信。迷いはなくなったが、代わって眼精疲労がピークに達してきた。夕方は買い物へ。
一貫したメッセージを発する
昨日、原稿を書きながら感じたこと。それは書いている内容とはまったく異なるものでした。
社長は広告塔になることが重要だ。ときどき言われることだとは思いますが、そのことを改めて感じていました。なぜなのだろう? あまり関係ないように思える原稿を書いていたのに……。
おそらく、繰り返し語られる言葉や独特の言い回し、この中に広告的要素を感じ取ったからではないかと思います。広告というものは一度限りでは効果が現れにくいものです(広告の種類にもよりますが)。繰り返し、目や耳を通して伝わってくる。何度も同じメッセージがインプットされることによって、次第にその気になってくる。ここに広告のおもしろさや恐ろしさがあるのではないかと思います。
僕の知るところ、企業経営者には誰しも一貫したメッセージというものがあるはずです。最大のメッセージは経営理念に関するものといえるでしょう。ところが、自社の理念をそのまま広告メディアを使って伝えようとしても、なかなか伝わるものではありません。どちらかというと、広報メディアを使って伝えるべき内容といえます。つまり、紙媒体か自社のウェブサイトが主な伝達手段となるわけです。
ただ、それだけでは不十分なんですね。自社の広報誌を持ち歩いて、いちいち「これを読んでください」というわけにもいかない。直接、話し言葉で伝えるほうが伝わりやすいケースが多いに違いありません。
人々から尊敬を集めるような企業には何か相応の理由があるわけですが、それを知るにはトップの言葉を聴くのが一番ではないかと思います。そうすると、必ずといってよいほど、繰り返し語られているメッセージがあるものです。一貫したメッセージ。これを持っている企業は強い。そして、社長(またはトップマネジメントの誰か)にはそれを語り続ける責任がある。そう思うわけです。
昨日書いていた原稿の資料に目を通しながら、その経営者の口から繰り返し発せられるフレーズを思い出していました。もう18年くらい聴き続けていますから、そのうちの何パターンかは僕の記憶細胞にしっかりと刻まれています。そうして、店に入ったら、ほぼ自動的にその一品を注文することになる……。広告塔としての責任に目覚め、その役割を十分に果たしている経営トップは、自社に莫大な広告効果をもたらしているのではないかと思います。できることなら、僕もそのような役割を果たしたい。いつもそう思っています。
僕は社長がトップセールスするよりも、広告塔になりきることのほうが重要だと考えています。トップセールスでは一度に一社しかメッセージを伝えることができませんが、自分が広告メディアになれば、広く伝えることができるからです。
自分の発する言葉は広告コピー
トップが口にするフレーズは、社内に対しても有効です。ワンパターンだと飽きられてしまうでしょうから、いくつかの言葉を繰り返し伝え続けることが重要ではないかと思います。繰り返し同じメッセージを伝え続けることで、知らず知らずのうちに浸透していく。とりわけ、自社の経営理念を社内に浸透させるには、メッセージの繰り返しが重要な鍵となることでしょう。
理念を浸透させるには、一度水をまいただけでは不十分なのです。表面を湿らせるだけでは、すぐに乾いてしまいます。何度も水をまき続けて、土の奥深くにまで水が届くようにしなければなりません。そのためには、一度に大量にまくのではなく、量は少なくとも、定期的にまくことが大切でしょう。
尊敬を集める企業の経営者の言葉を聴いていると、「またこのフレーズが出てきた」と感じることがあります。社長とは限りません。古参の幹部からも、あるいは若手リーダーの言葉の中にも「お決まりのフレーズ」のようなものがある。その人が一番伝えたいと思っているメッセージが込められているのだと解釈すべきでしょう。
自社には、そうした広告塔のような人が欠かせません。何といっても経営者が最強といえるでしょうが、もしかしたら今の時代においては若手リーダーのほうが効果的な広告塔となる場合も多いかもしれません。特に、採用活動では経営者よりも若手の活躍が期待されるところ。場面に応じて、複数の広告塔が活躍する会社があったら、きっと強いでしょうね。
その会社の社風であったり、その人の性格によっては、「あまり表舞台には出たくない」ということもあるでしょう。広告塔だからといって、派手に振る舞う必要はありません。伝え方は派手でも地味でもいい。ただ、自社の価値を一貫して伝え続ければよいのだと思います。
単純な話、「この会社で働いていて毎日が楽しい」といろいろなところで語る新入社員がいたとしたら、それだけでも自社の採用活動に多大な貢献をしてくれていることになるのです。
自分の発する言葉は「広告コピー」でもあるのだ。そんな自覚が社員には求められますね。そのためには社内向けのメッセージが重要となるでしょう。インナーブランディングということです。社員一人ひとりが自社の価値に気づく。理念の浸透はもちろんですが、自社商品や自社の活動の楽しさや親しみといったものを感じ取れるようなメッセージが欠かせません。社長ひとりでそれを行うと、たぶん浮いてしまうことになるでしょう。共通の価値観を持った若手リーダーらが同じメッセージを伝えてくれると、大変心強いものです。