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経営指針の話22 働く環境の10年ビジョン

経営指針の話22 働く環境の10年ビジョン

おはようございます。
 「今日こそは」と思って原稿を書き進める。少しスピードが上がってきた。だが、まだまだゴールは遠い。パソコンのモニターの設置場所を改善した結果、肩や首の痛みは軽減された。夕方、ホームセンターで机上で使える小型イーゼルを購入。資料を立てかけるのにちょうどよい高さ。これはかなり具合がよい。

むやみにとことん働いていた時代

僕は東京に住んでいた頃、とことん働いては年2、3回長めの休暇を取るという生活をしてきました。締め切りが迫ったときの働き方は相当なもの。昼間は撮影、夜と早朝は原稿執筆とデザイン。そして、午前9時28分の東西線の列車に間に合うよう、仕事を完結させる。M氏とふたりで毎月100ページくらい仕上げていた。こんな体力任せの働き方は何歳までできるのだろう……。いつもそう思っていました。
 なので、帯広にUターンしたときには、「きっとみんな余裕のある働き方をしているんだろうな」と勝手に想像していたのです。そうしたら、ちょっと事情が違っていました。「とことん働く人」「一見とことん働いているように見える人」「5時半ピッタリにタイムカードを押す人」の3タイプに分かれていたのです。僕はよくわからなくなりました。本当のところ、生産性の高い働き方をしているのは、どの人なのだろう?
 当時、社内には実にいろいろなタイプの人がいたのです。昼間はさほど仕事をせず、夕方あたりから活動を開始する人。毎月わずか数ページの記事を仕上げるために、夜中まで働く人。トイレで居眠りしている人……。もちろん、勤務時間内に生産的な活動を行っている人もいました。
 これで会社がうまく回っていれば、それはそれでおもしろい組織といえますが、当時はかなり厳しい経営状況にありました。少なくとも、会社にいる間は仕事をしていなければならない。そんな当たり前の職場環境を整えるのに数年かかったのではないかと思います(僕が整えたわけではありません)。
 しかし、それで働く環境が整ったというわけではなく、長時間勤務に依存せねばならない側面がありました。先代社長が「印刷業は労働集約型だ」と話していたことを思い出しました。中小の印刷会社には、そういう傾向はあるかもしれません。しかし、労働集約型から脱却しなければ、印刷産業に明るい将来はない。生産現場では機械化と自動化。それ以前の工程では、企画、編集、デザインといった分野で付加価値を格段に高めねばなりません。M氏や僕の東京での経験を生かせるとすれば、当然ながら印刷前の工程ということになります。
 そうしたここ10数年の取り組みは、一部ではうまくいったものの、全体としてはまだまだという感じです。個々の能力は格段に高まってきましたが、会社全体としての仕組みづくりが追いついてないのかもしれません。今はまだパズルピースがバラバラになっているところがある。これがピッタリはまると、おもしろいことになるはずです。
 で、思ったのです。個々の能力としては高いものがあるのに、組織全体としてうまくいっていないとすれば、それはビジョンと方針が共有されていないからに違いない。あるいは、共有されていたとしても、具体的に何をどうすればよいのかわかりにくいものとなっている。ここに課題がありそうです。

10年後どのように働きたいか

中同協の「働く環境づくりの手引き」の中には、「働く環境の10年ビジョン」という項目があります。ここを社内でとことん議論する必要があるのではないか? 最初は小グループで行うべきかもしれません。社員全員、60数名でディスカッションすると何もまとまらなくなりそうな気もします。やり方はこれから考えますが、10年後、自分たちはどのような環境の中で仕事をしたいと考えるのか。自分はどんなポジションにあり、どんな仕事をしたいのか? こうしたことを言葉にしていく必要がある。
 これは個人のキャリアプランとも一部重なってくるものですが、それを自社の「働く環境」と連動させて考えていく。似たような取り組みは過去に行ったことがあります。ただ、どこか考え違いをしてきたところがあったのではないか? もしかすると、僕の中に「会社優先」というような考え方があったためかもしれません。
 もちろん、会社優先の考えによって個人に自己犠牲を強いるようなことは求めていないし、そのような考えは僕の中にはありません。しかし、一人ひとりの人生のあり方について、十分イメージしてこなかったところがあります。ここが僕の反省点。10年後をイメージすれば、みんな誰ひとり例外なく、今と同じ働き方ではなくなっているはず。
 10年たってみたらこうなっていた……。そういう場当たり的なものではなく、ビジョンを描き、目標、計画を立てて、自分が本当に望んでいる働き方を実現させるべきではないか? そんなふうに思うわけです。そうした個々の理想とする働き方と会社全体の働く環境ビジョンを可能な限り一致させていく。すべて思い通りになるわけではないにせよ、ビジョン、目標、計画を紙に書いて、その通りに行動してみるということが重要なはず。「働く環境づくりの手引き」にあるフォーマット(記入シート)は、僕らにとって使いやすいものではないかと思います。
 無我夢中で働いたらこのようになっていた……。そんな人生もありだとは思います。ただ、そうしたやり方で自分の望む生き方が実現できる人は、ほんの一握りといえるでしょう。ましてや、会社組織がビジョン、目標、方針、計画を立てぬままでいて、望ましい将来が待っているはずはありません。個人も会社も最大限のイメージ力、目標設定力、企画力を使って、ビジョン及びそのための道筋を文書化すべきでしょう。
 まずは紙に書いてみる。ここから始めなければなりません。

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