
おはようございます。
朝食をウッドデッキでいただく。このときばかりは休日気分。あとは、プレゼン資料作成、原稿、事務的作業、荷物運び、料理。これらを繰り返しているうちに夕方を迎えた。なかなかスピードが上がらない。
インスタグラム
昨日、帯広経営研究会で発表する資料を作成していて気づいたこと。それはインスタグラムはけっこうおもしろそうだということ。「今さら?」と言われそうですね。
おもしろいのはスクエア写真である点。これがタイルのように並んでいるのが心地よく、3×3、9枚の写真の見え方が重要であるとわかりました(遅ればせながら)。
インスタグラムはインスタント(Instant)+テレグラム(Telegram、電報)の組み合わせなのだそうです。ロゴに虹があしらわれている点は、ポラロイドと共通しています。そのためか、インスタを見るとポラロイドっぽい写真が数多く見られますね。
僕はポラロイドといったら、本番撮影前の試し撮りでしか使ったことがありません。ライティングや露出をチェックするためのもの。あるいは、立ち会いに来たクライアントに見せるために撮影するもの。一枚200円くらい。けっこう高かったと記憶していますが、まあ保険のようなものでした。ポラを撮ってクライアントに「どうですか?」と見せるのは、何となく好きではなかったな……。今はモニターで簡単に確認できますが、誰にも見せずにとっとと撮影を済ませてしまうことが多い。
本題から外れてしまいますが、試し撮りで使うのはポラロイドの他に富士フイルムのフォトラマがあって、僕は後者のほうが使用頻度が高かった。ただ、温度が低いと現像までに時間がかかる。手でゴシゴシ温めてたり、息をハーハー吹きかけながら像が現れるのを待つ。今日の撮影からは考えられないようなプロセスですね。
スクエア写真に話を戻すと、僕はスクエア(正方形)という画面にはずいぶんなじみがあるのです。1981年頃にはヤシカマット124Gという6×6の二眼レフを手に入れて、熱心に撮影していました。これが安価なカメラであるにもかかわらず、非常に画質がよかったのです。
中判カメラですから35ミリより画質がよいのは当然といえるわけですが、それに加えて操作性が素晴らしかった。二眼レフでは右手でカメラをホールディングし、なおかつ親指でシャッターを押すというスタイルになります。左手の役割はピント合わせとシャッターを押すときにボディを支えること。ファインダーは上から覗くようになっていて、35ミリカメラよりもやや低いアングルから撮影することができる。ローアングルの撮影にも便利です。ヤシカマットの場合、シャッターが非常に軽く、1/15秒くらいのシャッター速度でもぶれなかった。1/4秒で手持ち撮影することもありました。
そんなわけで、僕の大学時代はヤシカマットがメインのカメラとなっていたのです。社会人になってからも使い続けました。仕事で使うことはなく、あくまでも自分の作品用。経済的に余裕がでると、ローライフレックスやマミヤC330にも手を出すことに。いずれも6×6。一時期、二眼レフだけで4台持っていました。
非日常表現
スクエア写真の魅力はどこにあるのかというと、タテにするかヨコにするか考えなくて済む……という消極的な(?)メリットがあります。
これは仕事でいつも感じていること。編集者は「タテヨコ両方の写真」を押さえることを要求するのが常。後でデザイン上の理由から必要だというのはよくわかります。ですが、ヨコ写真を撮った後にタテを撮ると、被写体に向かいながら「義務的なもの」を感じてしまう。ここがとても気になっていて、撮影者である自分に不純なものが混じってしまうような気がしてならないわけです。
タテヨコに悩まなくて済むスクエア写真は、その一点だけとっても素晴らしい。ですが、残念ながら仕事で6×6カメラを使う機会はなく、今でも「タテも押さえておいて」と指示されたりするのです。6×6デジタルカメラの登場が待たれますね。
人間の目はヨコに2つ並んでいますから、たぶんヨコ位置の写真というのが心地よく見えるのではないかと思います。これがタテ位置の写真になると、動きが表現されたり、少し不安定な心理が働いたりする。単にデザインの都合上でそのように使われることも多いわけですが、純粋に写真だけで見るとそうした傾向があると思います。
それがスクエアになるとどうなるのか? 僕の捉え方では、ちょっとした非日常表現になるような気がします。少し不思議な空間。人間の視野とは異なっているわけですから、ちょっとした違和感を感じることになる。そこにおもしろみを感じる人はスクエア写真のとりこになるかもしれません。
僕は日常の中に潜む謎のようなものをスクエア写真で表現しようとした時期がありました。1982年から1993年頃のこと。期間がやや長いのは、中だるみしていた時期があったため。二眼レフの場合、マミヤC330以外レンズ交換できません。標準レンズ1本で撮る以外にない。レンズ交換なしですから、被写体は限られる。僕の場合、撮影にはかなりの集中力が必要でした。ですから、ずっとスクエア写真を撮り続けることは困難だったのです。
バーチャルリアリティ用語なのかどうかわかりませんが、ときどき「没入感」という言葉を耳にします。スクエア写真にもそれに近いものがあって、6×6で撮っていると周囲が気にならなくなることがあります。インスタ映えを狙って写真を撮っている人もそのような心境なのでしょうか? ストレートに撮っても、日常がちょっと違った見え方になる。そのことに気づく人がインスタとともに増えているような気がします。