
おはようございます。
朝礼後、会社で10時まで仕事。帰宅後は雑誌「keran keran」のための写真選び。ずいぶん苦労したが、何とか終わった。続いて、原稿執筆と帯広経営研究会会報制作。夕方、経営指針研究会発表用パワーポイントの動作確認。一部手直し。
経営指針研究会第2講は6時半から。最初は企業変革支援プログラムSTEP1の自己診断。7時過ぎから「労使見解」をテーマに講義を行う。経営指針研究会は「教える・教わる」という関係ではなく、「共に学び合う」のが基本だが、労使見解については若干の解説が必要ということで第2講が設定されている。僕も労使見解の本当に意図するところを知っているとは言い難い人間だが、自分の捉え方を述べていった。研究生には「過去の出来事」ではなく、自分事として捉えられるよう、今日の労働問題についても語ることにした。話が盛りだくさんであるため、1.2倍速くらいの話し方になったのではないかと思う。1時間の発表後、グループ討議、グループ発表。9時45分頃終了。10時帰宅。
パートナーシップは本物か?
労使見解の発表から44年たって、その精神は同友会会員企業を中心に着実に浸透しているのではないかと思います。これは同友会運動の成果というべきでしょう。それに加えて、社会の変化によるところも大きい。労使の対立ではなく、協調する場面が増えてきた。さらに言えば、対立を好まない人が増えてきたのです。
世代的にはたぶん僕の世代からでしょうか。共通一次世代。その後、どの世代とはいいませんが、対立構造を生みやすい世代が間にあって、今の30代から下の世代の人たちはやはり対立を好まなくなっている。これを表面的に捉えると、パワー不足であるかのように感じてしまう人もいますが、僕はそうは考えていません。ちょっと時間はかかるものの、健全な方向で力を合わせていけば、いい仕事ができそうな世代。問題は「やけに手間暇がかかる」というところでしょうか?
労使が対立していた1970年代とパワー不足に見える今日。いったいどこが違うのか? 僕は3つの理由を考えています。ひとつは「技能の高度化と社員の高学歴化」です。仕事の仕方がどんどん複雑になっている。経営者がすべてを知っているということはあり得ない時代。特定ジャンルでは、社員のほうが社長より詳しい。そうなると、上下関係ではなく対等な関係になりやすい。
次の理由は「経済的に豊かになった」こと。物質的欲求がある程度満たされていますから、精神的豊かさを求める傾向にある。働く理由はお金が一番ではなく、自己成長だったり自己重要感だったりする。1990年代から日本は格差社会に向かっているため、一概に精神的豊かさへ意識が向かっているとは言い切れません。けれども、自分の物質的欲求を満たすために働くという人は確実に減っているといえるのではないでしょうか?
第3の理由として「パートナーシップの芽生え」を掲げました。ただ、これは「?」付きです。本当にそうなのか、現時点では何ともいえません。少なくとも、ヘッドシップ型の経営者は少なくなってきています。上から押さえつけるのではなく、部下の自主性を尊重したり、コンセンサスを得ようとする。経営者がフォロワーにまわる機会も増えてきました。この点では「パートナーシップ」といえるのかもしれません。
その一方、自分の意志では動こうとしない若手社員も見られます。昔も今も「指示待ち」タイプの人がいる。経営者がフォロワーにまわり、社員が指示待ちになると、活動停止状態になる……。これは好ましくないパターンといえます。
働く環境づくりと共育の仕組みづくり
こうした現状に「働き方改革」の流れが押し寄せているわけですから、企業経営者はよく考えて対処しなければなりません。
働き方改革によって起こっている最大の問題は、「能力格差」であると僕は考えています。成長意欲の高い人は休日が増えても残業がなくなっても、自分を成長させるための活動を行っている。問題は成長意欲の乏しい人。ひと昔前であれば、思う存分(?)働くことで意欲が乏しい人もそれなりに能力を身につけていくことができました。量をこなすことで、仕事の楽しさ、やり甲斐を感じることができた。そんな古き良き時代のやり方が通用しなくなっている。僕の意識も今日に合わせて変革しなければなりません。
そこで、「働く環境づくりの手引き」(中同協)の活用という話になるわけです。昨日の第2講ではその活用法を述べることはありませんでした。まだ出版されたばかり。僕自身、活用するのはこれからの話。ただ、経営指針成文化と対応させながら、働く環境づくりについて考えられる点がいいですね。
経営指針は「経営理念」「10年ビジョン」「経営方針」「経営計画」の4つの要素で成り立っています。働く環境づくりではこれに対応して、「経営者の覚悟(経営姿勢)」「10年後の労働環境ビジョン」「労働環境整備についての方針(未来年表)」「数値目標、生産性向上計画、組織的取り組み等」が設定されている。これらは経営指針書に組み込まれるものであり、一部は自社の就業規則にも反映されることとなります。
企業経営者最大の関心事は、自社の存続、成長、発展にあります。したがって、「働く環境づくり」のことがつい頭から抜け落ちてしまうことがある……というのが正直なところでしょう。これではいけないということを「働く環境づくりの手引き」は教えてくれています。
労使見解に基づいて「社員はもっとも信頼のできるパートナー」と考えるのであれば、自社の成長、発展だけではなく、当然のこととして社員の成長と自己実現に意識を向けていくことが重要です。
そうした観点でいえば、「働く環境づくり」と「共育の仕組みづくり」が欠かせません。一部の社員は教育や共育を「労働の一部」と誤解する可能性があります。けれども、教育・共育は個人の幸せと自社の発展の両方を目的に行われているもの。仮に今の職場を辞めても困らないようにしようと考えて、経営者は教育システムを整備しようとしています。会社のために仕事を覚えるという消極的姿勢ではなく、自分の仕事人生を豊かにするために知識・技能を身につける。そんな成長意欲を持った人が揃っている企業が、これからの時代、発展していくに違いありません。