高原淳写真的業務日誌 > 経営指針の話 > 経営指針の話28 中小企業家同友会しりべし小樽支部山麓地区会定時総会「激訳・経営指針成文化」

経営指針の話28 中小企業家同友会しりべし小樽支部山麓地区会定時総会「激訳・経営指針成文化」

経営指針の話28 中小企業家同友会しりべし小樽支部山麓地区会定時総会「激訳・経営指針成文化」

おはようございます。
 朝は某ファストフード店で仕事をする。けっこうこのスタイルは僕に向いているかもしれない。ただ、2時間を超えると飽きる。そして、周囲の音が気にならないような対策も必要だと思った。午後1時、洞爺湖芸術館へ。特別展「山口陽介作品展」を観る。すごいな。前回よりもさらに深い世界観が表現されている。これは企業経営者が観ておくべき作品だ。勝手ながらそんな感想を抱いた。
 3時、倶知安の宿に到着。体を休ませてから、パワーポイントのデータをチェック。さっそく不備が見つかり微調整する。5時15分、倶知安中小企業センターへ。5時半、中小企業家同友会しりべし小樽支部山麓地区会定時総会。6時から記念講演。「とにかく困っている、会社や仕事を成長・発展させたい人のための激訳・経営指針成文化」という不思議な演題で話をさせていただいた。90分あるので余裕で話せるはず……と思っていたが、案外そうでもない。実習を行ったら、ギリギリの時間に。何とか質疑応答の時間を確保できた。7時半終了。持ち込んだ本は総会会場と懇親会場で販売。驚いたことに、本は完売した。二次会まで参加し、11時過ぎ宿に戻る。

面倒でも難しくも大変でもない

新入会員や非会員の方も参加していると聞いたため、講演の前半部分は比較的ていねいに話を進めていきました。
 同友会の会員であっても、経営指針の必要性を十分認識していないという人が案外多い。主な理由は「面倒、大変そう」というものだと思います。ですから、経営指針成文化に取り組むには、「本当に困っている状態になる」か、「向上心いっぱいの気持ちになる」かのどちらか。経営指針研究会参加者の中には「強引に誘われたから」という理由で入会する人もたまにいるようですが、これはラッキーなことだと解釈すべきでしょう。本当は困っているはずなのに困っていることに気づいていない人も案外多いものです。そういう人は経営指針づくりに取り組むことで、「困っている自分」に気づくこととなるはずです。
 僕は「面倒」「難しそう」「大変そう」という経営指針成文化にまつわる誤解を払拭しようと、あちこちで話をしています。全道経営指針委員長である限りは、その務めを果たさねばなりません。
 実際、経営指針成文化は面倒でも難しくも大変でもないのです。ただし、時間がかかる。即席でつくった経営指針では意味ありませんから、調べる時間、考える時間、まとめ上げる時間については十分確保しておかなければなりません。
 どうして、面倒でも難しくも大変でもないのか? それは拙著「激訳・経営指針成文化」を読んでもらえればわかります。難しく考えるから難しくなる。面倒な方向へ意識を向けてしまうから面倒な気持ちになってしまうのです。歴史家や考古学者のような気持ちになって、自社や業界の歴史を調べ上げていく。そして、心理学者になったつもりで、自分史を作成し、当時の価値観や意思決定の要因を分析していく。そのあたりから始めていけば、思わぬ発見をすることとなり、経営指針成文化に夢中になっている自分に気づくことでしょう。
 今回は僕が独自に作成したワークシート「強烈な5ステップ」を使ってみました。「強烈な疑問」「強烈な動機」「強烈な目的」「強烈なアイデンティティ」「強烈なビジョン」の5ステップ。わずか7分の実習時間でしたが、全項目一気に書き上げた人がいて、びっくりしました。常日頃、こうしたことを考えているからに違いありません。

決意表明としての経営指針

常日頃から自社の経営や自分の人生について考え続けている人。そうした人にとって、経営指針成文化は面倒でも難しくも大変でもありません。むしろ、日頃もやもや考えていることがちゃんとした形になることに、大きな喜びと充実感を感じるはずです。
 中には「言葉で表す」というところに大変さを感じる人もいるかもしれません。でも、そんなに難しく考える必要はない。「いったん言葉にしてみる」ということが重要です。完全主義に陥ると、永遠に経営指針を成文化することはできない。ちょっと違っているな……と思っても、できるだけ近い言葉を見つけてはめ込んでみる。すると、だいたいそんな感じなんだけれども、ちょっと違うな……という違和感を覚えることになるでしょう。その後も継続して考え続けることになりますから、たぶん数ヵ月後、1年後くらいまでの間にもっと近い言葉が浮かんでくるに違いありません。答はすでに存在している。単に言葉が見つからないだけなのです。
 言葉には力がありますから、その結晶ともいえる経営理念には人を動かす力があるはずだと考えるべきでしょう。本気で考え、練りに練った経営理念であれば、会社を変え、社長自身を変える力が秘められている。理念行動をしなければならないという気持ちに自然となる。社員の何割かの人もそのような気持ちになっていき、理念の浸透が進むことで社風が変わっていくことになるでしょう。そうならないとすれば、理念が本物でないか、自分が本物ではないということになる。
 今イチ本物になりきれていない自分。その状態も決して悪いわけではありません。本物になりたいという気持ちがあるわけですから、時間をかけて本物を目指せばよいだけ。僕の中にも偽物っぽい要素がたくさんあります。僕の場合、本物への道のりはまだちょっと遠い。その道を愉しい(「楽しい」ではなく)と感じられるかどうか。ここがポイントでしょうね。
 経営指針を成文化するには、本当の自分、本当の自社と向き合わねばなりません。自分、自社の実体から目を背けたいと考えている限り、経営指針を成文化することはできない。経営指針成文化に消極的な人の中にはそうした気持ちが含まれているかもしれません。それは僕の中にも実はある。ただ、いったん成文化すると、もう逃れることも後戻りすることもできません。経営指針成文化は経営者としての決意表明でもあるのだと思っています。

〒080-0046 北海道帯広市西16条北1丁目25
TEL.0155-34-1281 FAX.0155-34-1287

高原淳写真的業務日誌