おはようございます。
早朝のうちに仕事を2、3片付ける。午前9時、新入社員研修第17講「お金の概念」、10時20分から第18講「売上と利益」。先月19日以来となる新入社員研修。ペースをつかむのに少し手間取った。午後1時来客。観光、インバウンドの話。3時、社内でのミーティング。3時半以降は新入社員研修の資料作成。だいたいまとまった。5時半、次世代幹部養成塾第16講。テーマは「自社の情報発信力を高める5つのポイント」。6時40分帰宅。少し喋りすぎた一日だった。
家系図作成ソフト「家康」誕生の背景
昨日の最高気温は20.4度。前日に比べ、15度以上低い。それでも平年より高い。そして、我が社の3階研修室は熱がたまっていたせいか、少しホットな感じがしました。
猛暑日から1日遅れ、ややタイミングを逸して持参した僕の水出しコーヒー。何名かの人は飲んだかと思いますが、実に素晴らしいできばえです。まだ数杯分、冷蔵庫に残っている。ぜひ味わってほしいものです。水出しコーヒーのいいところは、数日保存しても風味がさほど落ちないことですね。今日飲んでもほぼ同じ味だと思います。
新入社員研修2講座と次世代幹部養成塾。伝える内容が多かったためか、夕方の次世代幹部養成塾では伝え方に若干粗雑なところがあったような気がしています。普通に話すと1時間20分かかる内容。ちょっと詰め込みすぎてしまいました。たぶん、「ビジネスのあり方に関する私見」という部分がわかりにくかったはず。ここを補足しようと思います。
我が社の歴史を振り返ってみると、基本的には「プロダクトアウト」という商品開発の仕方だったと僕は捉えています。もちろん、世の中のニーズに無関心だったということではありません。ですが、つくりたいもの、やりたいことが最初からあった。それを形にし、販売したいという気持ちが強かった。昔からそうだったはずです。基本的には受注産業である印刷会社がプロダクトアウトになるのは考えものですが、そんな企業文化を持っている。そこが我が社のユニークなところといえるのかもしれません。
僕は我が社の企業文化を色濃く反映している商品として、家系図作成ソフト「家康」が真っ先に頭に浮かびます。1995年発売。この年はWindows95が発売された年ですが、「家康」はその少し前、Windows3.1対応版として発売されました。
これはすごいものができた。そう思ったのもつかの間。一体誰が使うのか? そんな疑問が湧いてきました。家系図をつくりたいという思いを持っているのは、おそらく年配の人。自費出版(自分史)の関連商品として開発したソフトですから、ターゲット顧客は間違いなく60代以上の人ということになります。
今ならともかく、当時は年配の人はパソコンと無縁の生活を送っていました。会社においても、上司が手書きで文書をつくり、それを部下がパソコンかワープロで仕上げる……。そんな時代だったと記憶しています。ですから、「家康」は「親の家系図作成を手伝ってくれる子供がいる家庭」に向けての商品だったわけです。ごく少数の人には非常に喜ばれたが、広く普及する商品とはなりませんでした。
「現場力」が勝負の時代に
売れるか売れないかはもちろん重要ではあるのですが、僕はこうした企業文化は大切にすべきものだと考えています。マーケットインという発想だったら、「家康」は誕生していないでしょう。マーケティングリサーチなどお構いなしに、つくりたいものをつくる、必要だと思ってつくる。そんな姿勢が我が社には必要。マーケットインが企業文化になっている会社もあれば、プロダクトアウトの会社があってもよい。そんなふうに思うのです。
「家康」はその後、Windows XP対応版になってからある程度の本数が売れるようになり、一応開発費の元を取ることができました。そこで役目を終え、販売終了に。家系図作成ソフトは今でもニッチな分野ですね。
自分たちのつくりたいものをつくる。そういう姿勢から商品開発を行った場合は「売れない」というケースに直面することが多い。そもそも「市場が存在していない」こともある。これは考えようによってはビッグチャンスともいえる。市場のないところに市場を創造すれば、先行者利益を得ることができるのです。
月刊しゅんはフリーペーパーやフリーマガジンといった言葉が地方では知られていない時代に創刊され、ゼロから市場を創造した媒体。利益を生み出すまで苦労しましたが先行者利益を得ることができた。そういう商品が我が社にはいくつかあります。
ただ、市場を創造するには、冒険心と熱意と継続性が求められるわけです。失敗を恐れないチャレンジ精神を持った人が現場サイドに複数名必要となる。いつの時代にも、困難な状況を切り開いていくようなパワフルな人の存在が欠かせません。
2010年代に入って僕が感じているのは、世の中がずいぶん複雑なものになってきたということです。このため、「現場力」の重要度が増してきているのではないかと思うようになりました。経営者、管理者がすべてを把握できるわけではない。たとえば、SNSでのやりとりを経営者がいちいちチェックしている余裕はないわけです。現場で感じるわずかな変化や新しい情報。そこに敏感に対応することのできる人が必要。そして、経営者や幹部も、最新の情報を得るために自分の現場を持たなければなりません。
そう考えていくと、我が社の目指す事業イメージは、「誰もが勝手に新商品を開発している状態」ということになる。好き勝手に何でもできる会社……という意味ではありません。自立し、経営マインドを持った人が自由に商品開発できる。そういう意味です。わかってもらえるでしょうか? 僕の勝手な想像では、世の中の多くの会社がそのような方向へ向かっていくような気がします。