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第23話 満たされているとき、何を食べるか?

第23話 満たされているとき、何を食べるか?

おはようございます。
 道北へ出張。朝7時半、M氏H氏とともに出発。12時半、中川町着。前日から道北に来ているY氏と合流。1時、中川町役場にてツアーの打ち合わせ。現地視察も含め、4時間に及んだ。僕はノータッチのプロジェクトだが、全容がだいたいわかった。終了後、Y氏とH氏は帯広へ。僕はM氏と天塩町の宿に泊まる。

食の充実度に影響を与える要素

中川町で企画しているツアーでは、夕食後にちょっとした体験が用意されているようです。このため、お酒とつまみを出すらしい。そんなとき、どんなつまみをみんなはイメージするのでしょうか? 原案ではなんと焼きリンゴ。どこからそんなアイデアが出てくるのだ? 何か必然性や中川との関連性はあるのだろうか? 話の成り行きを聞いていましたが、どうやら必然性も関連性もなさそう。
 「鹿ジャーキーがいいな」。誰かがそう発言。これなら中川との関連性が確かにある。最終決定になるのかわかりませんが、たぶん、その方向で話がまとまっていくのでしょう。
 食後のまったりとしている状態で、少しだらだら過ごしたい。そんなときに口にしたいもの。女性と男性で、求めているものが大きく違ってくるのかもしれません。僕なら、ハード系無添加の鮭とばを推したいところ。だが、中川との関連性はちょっと薄いかな? その点、鹿ジャーキーなら中川らしい。しかも、鮭とばと同じくらい魅力的なつまみといえます。噛みしめるジャーキー。イメージが湧いてきます。焚き火をしながら、中川町のハスカップワインと一緒に味わってみたいところ。
 女性であれば、こうしたシチュエーションの中で、どのようなものをつまみたいと思うのか? ここが僕にはよくわからない。ジャーキー派もけっこういそうな気はするのですが……。無難なのは、ナチュラルチーズあたりなのでしょうか。これも悪くはない。男女どちらでもいける。ここにチーズの特性というか魅力があるのかもしれませんね。
 考えてみると、だらだらとお酒を飲んでいるという状態は、僕のふだんの暮らしの中から消えてしまいました。年1、2回あるのだろうか? ほとんど記憶にありません(飲み過ぎて記憶をなくしたという意味ではない)。
 夕食でビールを飲み、その後、星空や焚き火を見ながらワインか日本酒を飲む。これだけでも十分魅力的であるように思えます。今回のツアー体験の目玉は昼間の森の中での焚き火料理だと思いますが、夜も楽しみですね。僕も撮影者としてこっそり参加する予定になっています。
 同じ「食べる」であっても、何を食べるのか、どこで食べるのか、誰と食べるのか、どんな気持ちのときに食べるのかによって、味わいはまったく異なるものとなるはずです。加えて、そのときの健康状態であるとか、空腹度によっても違ってくる。
 さまざまな要素が複雑に混じり合って、充実度に大きな違いが出るわけです。ものすごく条件の悪い状態で、素晴らしい料理をいただくことになった場合は、申し訳なさや不運に打ちのめされることとなる。しかし、賢明な人物であれば、おそらく条件の悪さを乗り越えて、最善を尽くして料理を味わうことができるに違いありません。僕もそのような生きた方を目指していますから、条件の悪さを嘆くことはありません。目の前の料理に集中する。これが重要ですね。

言葉に頼らない時間

その中でも、もっともハードルが高いと思われるのが、満腹状態で最高の食べ物が出てきてしまった……というケース。これは雑誌の取材をしていると、たまに経験することになる。食べ物系の取材が一日の中で続くこともありますし、昼食を食べた直後にカフェの取材で料理が出されるといったケースもある。こんなときは、昼食でとんかつ定食を食べてしまった自分の選択ミスを一瞬悔やむことになる。しかし、取材日の昼食はとんかつが基本と考えている僕ですから、悔やんでも仕方ありません。満腹でも十分に楽しめる。そんな自分をつくらねばなりません。
 それはさておき、ある程度お腹が満たされている状態のときの「もうひと品」。これはよく考えて選ぶべきだと思うのです。
 ここでは味、ボリュームも大きな要素を占めると思いますが、それ以上に大切なのはストーリー性や関連性といったものではないかと僕は考えます。お腹を満たすために食べているわけではない。では、何を満たすのか? すでに、体も心も十分満たされている。それでも、心のほうはもっと満たしてくれるものがほしいと願っているのではないかと思います。
 求めているものは人それぞれ異なっています。そもそも、旅に求めているものが一人ひとり違っているはず。ですから、本当に求めているものをタイムリーに提供することは不可能に近い。けれども、「場づくり」ができていれば、バラバラだったものが何となく近づいてくるような感覚になってくるものです。その場にいる全員が星空を眺める。それだけでも、一体感のようなものが生まれてくる。
 2006年、僕が社内で日本酒同好会を立ち上げようとしたときも、そうした目的がありました。残念ながら、星空を眺める(あるいはそれに類するような)場を提供することはできず、本来の目的には到達しませんでした。その後は食事会となり、今に至っています。今は春から秋まで自宅庭でジンギスカンを焼いていますから、星空+ジンギスカン+日本酒と役者は揃っている。ただ、僕が本来求めていたシチュエーションとはちょっと違ったものなってしまいがち。まあ、賑やかに楽しむのもよしとしましょう。
 何人かと、しんみり無言で星空を眺めてお酒を飲む。そんな会もいつか開いてみたいところ。言葉に頼らない時間が人生には必要ではないかと僕は考えています。言葉不要の時間。そんなときにはきっと味覚が敏感になっているはず。
 いずれにせよ、中川町のツアーがどのようなものになるのか、非常に楽しみです。

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