高原淳写真的業務日誌 > 北海道の仕事と暮らし > 北海道の仕事と暮らし121 自然体験

北海道の仕事と暮らし121 自然体験

北海道の仕事と暮らし121 自然体験

おはようございます。
 稚内市上勇知へ。きっと涼しいに違いないと思い、ネルシャツを着ていたのだが、日差しは夏のようだった。急遽、半袖シャツに着替える。取材は9時半から。50年前の自分を思い出させるような取材内容。炎天下、取材は昼過ぎまで続いた。帰途、両腕を見たら明らかに日焼けしている。途中でものすごく眠くなり、たぶん1時間近く仮眠した。9時頃帰宅。

ワイルドな子供時代が必要

50年前の子供は、たぶんみんな好き勝手に遊ぶことができたのではないかと思います。あまり子供らしい子供ではなかった僕でも、子供らしく遊んでいた時期があった。遠い記憶では、札内川近くの草むらで遊んでいたような気がするのですが、どうもぼんやりしていてちゃんと思い出せません。
 昨日の取材の中で「昔は子供の世界で上下関係が機能していた」といった話がありました。だから、子供だけで遊んでいても、さほど危険なことはなかったのでしょう。子供の世界における組織のルール。こうした経験を積んで大人になった人は、会社組織に入ってもすんなりなじむことができるような気がします。僕にも、もうちょっとワイルドな子供時代が必要だったな……。今更ながら、そんなふうに思ってしまいます。
 知識としてではなく、実際に体験することが重要ですね。昨日の取材では「触ってみる」という体験がずいぶん多かったような気がします。カエルやオタマジャクシを触ったり、捕まえたりしていました。僕が少し離れたところで写真を撮っていたら、「ヘビを触っていた」とM氏が言っていました。M氏がスマホで写真を撮ったので、もしかしたらスロウの誌面に載ることになるのかもしれません。
 北海道はこうした自然体験にはピッタリの場所ではあるのですが、この恵まれた環境を十分に生かしているとは言えないようです。木登りや川遊びといったものには多少なりとも危険がある。あまり危険なものには近づけたくないという親の心理が影響しているのでしょうか? そういえば、僕の場合も子供の頃の小さな事故がきっかけで、釣りに行くのを禁止されてしまったことがありました。以来、釣りをするといえば、学校のグラウンドでピョンコ釣りをしたくらいです(誰もピョンコのことを知らないようですが)。
 取材で全道各地をまわってさまざまな人を取材すると、その中にはとんでもなくワイルドな生活を送っている人がいたりします。ワイルドな家庭もあって、当然のようにワイルドな子供もいる。今も子供とは明らかに違うように見える子供。これが本来の姿なのか? 何を持って「本来」なのか、勝手に決めることはできませんが、50年前にはいっぱいいた子供らしい子供と出会うことがあります。
 15年くらい前に取材で出会った子供であれば、もう立派な大人になっているはず。どのような成長を遂げたのか、この目で確認してみたいと思うことがあります。きっと、そういうチャンスもあるでしょう。

経験の有無が与える影響

僕は時代を先取りしてきたようなところがあります。子供時代にワイルドな体験を多少はしてきているはずなのですが、全体としては今の子供に近いところがある。虫取りも一通りやってはみたものの、あまりおもしろいと思ったことはない。どちらかというとペプシコーラの王冠の裏(初期はコルクだったはず)をはがして、世界の国旗を収集することに熱中していました。やけにラオスの国旗が出てきた……。覚えている人は少ないかな?
 それはともかく、自然体験と子供の中での上下関係。こうした経験をさほど積み重ねないまま大人になると、生きていくのにちょっとした不自由さを感じることになるのではないでしょうか?
 僕も実はそうなんです。虫が大の苦手になってしまいましたから、家の中に出没すると大騒ぎになることがあるのです(虫の種類による)。そういえば、数年前まで我が社にいた編集者のK氏は僕以上でしたね。シャープペンシルの折れた芯を見ただけで、びくついていたという証言があります。アリに見えたのでしょうか? 僕もセーターの毛玉が虫に見えたりしますから、同レベルなのかもしれません。
 虫の話はこの際無視するとして、もっとやっかいな問題が大人になってから現れるのではないか? そんな可能性もあります。
 なにしろ、自然の中で経験を積み重ねてきたわけではなく、本やテレビなどからの知識によって世界観が形成されている。知識としては知っていても、実際にはやったことがない。そのため、自信を持つことができない。これは大なり小なり、多くの人が感じていることではないでしょうか?
 大勢の人の前でスピーチすることができない。スピーチやあいさつを頼むと、尻込みする人がいます。ふだんの会話はおもしろいのに、大勢の前だと緊張する。十分な能力はあっても、経験がないために自信が持てない。これはよくあるケースと言えます。
 会社の中では、まだ何もやっていないのに「できない」と言い出す人もいます。やってみて「できない」ではなく、やる前から「できない」という人。これは予測困難な自然経験の積み重ねが少ないために、こうしたネガティブな意識になるのではなかろうか? 100%できるというエビデンスがなければ、行動を起こさない。組織の中には、こうしたタイプの人がいるものです。
 では、どうしたらよいのか? 僕自身、自然経験が少なかったタイプですから、心理学的アプローチは何度も試みてきました。これはある程度は有効で、我が社の中では何人もの人が体験しています。
 もうひとつは、やはり大人になってからの自然体験でしょうか。もちろん、ヘビに触ったりなどできませんから、もう少しライトバージョンで体験することになるでしょう。そうしたプログラムが大人にも子供にも必要だと思います。

〒080-0046 北海道帯広市西16条北1丁目25
TEL.0155-34-1281 FAX.0155-34-1287

高原淳写真的業務日誌